草潟 一寿穂

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草潟 一寿穂

[くさがた かずほ]です。心に響いたことや浮かんだストーリーをまっすぐに伝えられるようになりたい。 ブログはこちら→https://ameblo.jp/kaa-san-a/

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  • [SF] 連作短編 キャプテン・ドレイク・シリーズ

    数々の伝説に彩られた戦闘艦「宇宙の驚異号」で銀河を駆け巡るキャプテン・ドレイク。星の光すら届かぬ虚空に住まい、宇宙くまなくその名の轟く海賊であるが本人は無法者であることを頑なに否定している。 そんな彼は宇宙一の美貌と噂のエリザベスも同道し幾多の驚異に出会い伝説を作っていく。宇宙最大の謎をひっそりと解いてしまったコンピュータ。他に類を見ない超頭脳を持ちながらなかなかその能力を発揮できないでいるロボット。巨万の財宝と忌まわしい病の謎に包まれた星。ドレイクがこの境遇に至ったいきさつも語られ、そしてドレイクを追い求める影。そんなキャプテン・ドレイクを取り巻く冒険談5篇。

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私の作品紹介 (草潟一寿穂)

#私の作品紹介 ここ #note に公開している私の作品について簡単な解説をします。 自分で言うのも何だけど、作品はバラエティーに富んでいるというか、バラバラなので(笑)、多少の整理が必要かもしれないと思う。 「山猫と物語と私」 https://note.com/kusagata/n/n5d8b39493468 #note に載せた「小説としては」最初の作品で、私が「これから小説を書いていきます」という 宣言 的な意味も持った作品。 山猫が出てくるのと、冒頭知らない相

    • 見上げれば青い雲 [キャプテン・ドレイク2]

      今回の物語は最初のエピソードよりも以前に遡る話である。この物語ではドレイクが今の道に踏み込んだいきさつが語られる。 (公開時期は5番目なので私のページでの並びはおかしくなっているがこれが二番目のエピソードでまちがいないので)                            (全34,000字) 人は旅に魅了される。時を経て旅の形態も多岐に考案された。そのひとつに豪華客船の旅がある。魅力あふれる数々の観光目的地を巡るために面倒だが避けて通れない面倒な『移動』をまるごと

      • シンプルなプロフィール

        名前 : 草潟一寿穂 (くさがた かずほ) 性別 : 男性 社会人人生をサラリーマンとして過ごす。病気のためやむなく早期リタイア。遅まきに小説を書くことを志す。 会社での仕事は全く関係ないことだったが、自分が表現と創作に対する指向があることはずっと自覚していた。絵も描いてみたけれど我ながら箸にも棒にもかからなかった。だから、小説を書いて、書くために必要な資質が最低限備わっていると自分で思えた時は本当に嬉しかった。今もその嬉しさは去っていない。 公開するペースは遅いけれど、

        • 危険な旅

          2021年にnoteに公開した小説を「創作大賞」応募のために修正を加えて新たに公開しました。 ごくありきたりなはずだった旅行がおかしなことになり、同時に主人公は秘めた自分の心とも対峙しなければならなくなる。 (全15,500字)     1 俺、朝倉輩我は目を覚ました。まだ靄のかかった脳に飛び込んできた光景のせいで身体が引きつった。思わず逃げようとする防御反応を引き起こしたのは、いくつかの雲が眼下に浮かぶ風景だった。別にどうということはない。今は旅客機に乗ってるのだから

        • 固定された記事

        私の作品紹介 (草潟一寿穂)

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        • [SF] 連作短編 キャプテン・ドレイク・シリーズ
          6本

        記事

          覚えなき流刑 (後編) [キャプテン・ドレイク 5]

          その男が苦心惨憺の上、宇宙の驚異号に乗り込んでキャプテン・ドレイクに会おうとした目的が明かされる時が来た。 後編 (17000字)                         マットは淡々と話を続けた。 「まず、俺の本当の素性から話す。生まれ故郷はドランティという星だ。半分以上が海で遠洋漁業が盛んだ。気候は温暖で、大陸には草木が豊かに生い茂る美しい星だ。俺が親から付けられた名前はウィリアム・マシュー・ドゥジオンだ。その星を永く統治するドゥジオン王朝の時の王の六番目の

          覚えなき流刑 (後編) [キャプテン・ドレイク 5]

          覚えなき流刑 (前編) [キャプテン・ドレイク 5]

          あり得ない侵入をなしとげた犯人は数奇な運命に捉えられた男だった。そして男とキャプテン・ドレイクとの関係は? 前編 (19000字)                         全面ステンレス。壁も天井も、床ですらステンレス製の塵ひとつない廊下。そしてとどめの重厚なステンレス扉の前にしゃがみ込み、手にした目が飛び出るほど金のかかった電子機器をドアの鍵の近くに当て、ディスプレイをじっと見つめる。あっけないほどさりげなく浮かび上がった12桁の数字をドアのテンキーに打ち込む

          覚えなき流刑 (前編) [キャプテン・ドレイク 5]

          キャンプの日 ( the non-fiction days )

          朝目覚める度に理由を求めてしまう日々の私。そんな日々にもいつかは終わりが訪れる。 the non-fiction days は BAND-MAID の曲名からです。題については「私の作品紹介」も見てください。                         (1万字) 眠りの世界に少しずつ現実が入り込んでくる。 捉えどころのない、しかし妙に親密な印象だけを残して眠りの世界の出来事が少しずつ背景に消えていって、ベッドに横たわる自分だけが残る。目を開けずに考える。起きて何か

          キャンプの日 ( the non-fiction days )

          財宝の星伝説 [キャプテン・ドレイク 4]

          キャプテン・ドレイクが困難な探索の末探し出した超頭脳ロボット、サイジーは海賊船『宇宙の驚異号』に来て果たしてどんなふうに過ごしているのか。                    (12章 全26,000字) 始まりは穏やかなひととき 足下の地面は一面視線の届く限りどこまでも純白に装っている。海の色は極寒の地でしか見ない濃い藍色。陸のはるか彼方に目を向けると凍りついたような白銀に輝く山々がそびえている。空の色は水平線近くは白みの強い水色でグラデーションを作って上に向かうほど

          財宝の星伝説 [キャプテン・ドレイク 4]

          恒常的指令 [キャプテン・ドレイク 3]

          キャプテン・ドレイクは宇宙に一台きりしか造られなかったロボットを              探索する途につき数々の試練に遭うこととなる。                (15000字) 恒星間の気の遠くなるほど恐ろしい真空を縄張りとして暴れ回る海賊キャプテン・ジョン・ドレイク。そしてその海賊船『宇宙の驚異号』操艦の全機能を担う艦載コンピュータの私。その私にかつてドレイク艦長からひとつの恒久的指令が与えられた。 「ミスター。いいか、入手できるすべての情報を駆使してこのことをず

          恒常的指令 [キャプテン・ドレイク 3]

          つかのまの(Brief) 邂逅(Encounter)  [キャプテン・ドレイク 1]

          ◆ あらすじ (キャプテン・ドレイク・シリーズ全編) ◆ 数々の伝説に彩られた戦闘艦「宇宙の驚異号」で銀河を駆け巡るキャプテン・ドレイク。星の光すら届かぬ虚空に住まい、宇宙くまなくその名の轟く海賊であるが本人は無法者であることを頑なに否定している。 そんな彼は宇宙一の美貌と噂のエリザベスも同道し幾多の驚異に出会い伝説を作っていく。宇宙最大の謎をひっそりと解いてしまったコンピュータ。他に類を見ない超頭脳を持ちながらなかなかその能力を発揮できないでいるロボット。巨万の財宝と忌まわ

          つかのまの(Brief) 邂逅(Encounter)  [キャプテン・ドレイク 1]

          夏の夕風と見知らぬ妻。そして迷子

          ありふれた一日として過ぎ去るかに思えた夏の夕刻は、思ってもみなかったことの始まりだった。                              (10000字)                                               麦茶を入れたグラスは外側に水滴をつけてガラスのテーブルに置かれている。テレビの低い話し声が部屋に溶け込むように流れている。昼間は座っているだけで汗ばむほど暑かったが夕刻になってほっとする涼しい風が暗くなってきて視界がすぐ

          夏の夕風と見知らぬ妻。そして迷子

          危険な旅 Ver0.9

          (本作の修正版をnoteに上げなおしています。でも、いただいたスキを残すためにこの版も残しておきます。) 普通こういうことを人と話すことはないし、それどころか自分でもはっきりとは意識していない、捉え所のない、しかし確実に頭の中にある想念を小説の筋に落とし込んで、この小説を読んだ誰かの心に共鳴するものがあればうれしいと思う。 (全15000字)     1ワイ(私)、朝倉輩我(ともが)は目を覚ました。まだ靄{もや}のかかった脳に飛び込んできた光景のせいで身体が引きつった。考

          危険な旅 Ver0.9

          ハードボイルド稼業 - 3(完) -

          俺は布の袋をポケットから出すと彼女の前に置いた。彼女は眉を上げてもの問たげな表情をしたが、黙って袋を開けて中身を出した。指輪を見ると訝しげな表情をしてしげしげとながめだした。スターリングの話とことごとく食い違っているのが決定的になった。 「これは何? どういうこと?」 何だかそんな成り行きを想像はしていた。だから驚きはしないが、返答に困ることには変わりない。俺は再び両手を広げた。我ながら芸がないが。 両手を開ききるそのタイミングで俺のコーヒーが運ばれてきた。コーヒーのカップ

          ハードボイルド稼業 - 3(完) -

          ハードボイルド稼業 - 2 -

          口と目を半ば開けた表情のない横顔の下の地面に、見てる間にもじわじわと血が広がってくる。俺はしゃがみこんで首に指を強く押しつけた。脈はまったく触れない。視線を上げ、隠れていた物陰から恐る恐る集まってくる群衆を見る。彼らに声を張り上げて告げた。 「死んでる。警察を呼べ」 立ち上がり、俺はしかしその場に留まらず、もと来た方へ歩いていって自分の車に乗り込み走り出した。 仕事の話を交わしたばかりの依頼人があっさりとこの世から退場してしまった。しかも俺にとっては初仕事だ。スターリングは

          ハードボイルド稼業 - 2 -

          ハードボイルド稼業 -1-

          私立探偵である私は、その日昼食を終えて店を出た路上でとある依頼を受けた。 アメリカ。1900年代はじめ。 そこには私立探偵という職業があった。またそのころ作家ダシール・ハメットがハードボイルドという新しい小説ジャンルを創造して私立探偵の活躍を描いた。そして彼自身も名の通った有力探偵社ピンカートンの実際の探偵でもあったため、世の人達が作中の探偵の活躍と実際の探偵業を重ね合わせて考えることは自然な成り行きだった。そんなハメットやら他のミステリー作家やらの小説を読んで、私立探偵

          ハードボイルド稼業 -1-

          山猫と物語と私

          私は人生のいろいろなことにつまずいていた。どん底だった。メンタルの病に罹って勤め先を無くした。ほどなく頼りの妻に見捨てられた。家から出ることもままならなくなり、絶望に支配されてしまわないために残る力をすべてふり絞る日々となった。長年ひとつの会社に勤めたのに寂しい辞め方をせざるを得ず。会社人生を思い返せばたくさんのことがあったはずなのに自分に誇れることがあきれるほどひとつも思い出せない。子供がなかったから子供を育てて世に送り出せたんだからいいじゃないかと自分に言いきかせることも

          山猫と物語と私