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栗原ちひろのnote小説(無料)

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単発のショートショートと超不定期連載「何も起こらない探偵事務所」の無料マガジンです。更新は超不定期です。
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2019年4月の記事一覧

合同誌「少女文学」栗原ちひろサンプル

合同誌「少女文学」栗原ちひろサンプル

2019/5/12コミティア発行予定の企画合同誌「少女文学 第一号」に寄稿した栗原ちひろ作品のサンプルです。合同誌についてはこちら↓

黄金と骨の王国 ~半竜人と死せる第一王女の章~

 穴には死が詰まっていた。
 闘士の死。もしくは、獣の死。穴から這い上がるにはどちらかが必要だった。
 闘技場とはそういうものだ。天上の王都でもそうだし、《海鼠色の蛇に似た竜》の名を冠した四十七番目の塔に近い貧民の

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5/12コミティア個人誌サンプル【7】

5/12コミティア個人誌サンプル【7】

2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその7です。6はこちら↓

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6・一番暗い海の底で君と出会った 
「夜の海は好かねえなあ。いまひとつ、よくねえよ。そう思わねえか、エリオ」
「今更帰れないのに、何言ってんだ。もうだいぶ沖に来てるし、ルカ兄貴の着てるそのスーツ、くっそ高えしさ」

 振り返りもせずにエリオが言うと、漁船の甲板にしゃがみこんだルカが嘆きのうなりをあげた。彼はい

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5/12コミティア個人誌サンプル【6】

5/12コミティア個人誌サンプル【6】

2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその6です。5はこちら↓

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5・人形操者のナイトクルージング 
 腹の底から揺さぶられるようなエンジン音と、有機的な揺れ。潮の香りに入り交じるオイルの臭い。削った黒大理石みたいにつやめく、夜の波。
 自分たちを包むすべてを楽しみながら、ジルドはうっとりと言った。

「これが夜釣りだったら、もっと楽しいんだけどね。よく冷えたスプマンテと、

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5/12コミティア個人誌サンプル【5】

5/12コミティア個人誌サンプル【5】

2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその5です。4はこちら↓

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4・片手に銃、片手に夜への招待状 
 「う、うわあああああぁぁぁ!」

 あっという間に叫びが遠くなっていき、エリオは窓枠を掴んで身を乗り出した。
 花柄男がぐんぐん遠くなる。落ちて行く、落ちて行く。
 エリオの大好きな真っ青な海に落ちて行って――ばしゃん、と高い水しぶきが上がった。エリオはまだしばらく海面か

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5/12コミティア個人誌サンプル【4】

5/12コミティア個人誌サンプル【4】

2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその4です。3はこちら↓

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3・宝探しはなんのため? 
 エリオははっとしてドアを見る。客は三人。
 手前の二人はごく普通のちんぴらに見えたが、一歩後ろに控えた奴はいささか面倒くさそうだ。何せ、ド派手な花柄シャツに真っ白なスーツをまとい、どこで売っているのか見当もつかないヒョウ柄のボルサリーノをかぶった、三十代後半くらいの脂ぎった男だ。

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5/12コミティア個人誌サンプル【3】

2019/5/12コミティア発行予定の同人誌サンプルその3です。その2はこちら↓

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2 野良猫は天使を誘う エリオが海から上がって二十分ほど後。
 エリオとエリオの兄貴分のルカは、海辺のレストランの厨房にいた。

「ほふぇで、ひょうのほんだひひゃんだが」
「ちゃんと、口の中のもの食ってから言え」

 エリオがうんざり顔で言うと、ルカはリスみたいに頬張っていたパスタをようやく呑みこむ。彼は

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