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映画録

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年間約40-50本の辺境映画ファン。ミニシアターで約2時間の逃避行をしています。欧州映画とアジア映画、最近インド沼はまりがち。古い映画感想はブログに→https://blog.g… もっと読む
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記事一覧

「落下の解剖学」と結婚の落としどころ

「落下の解剖学」と結婚の落としどころ

第94回アカデミー賞発表(日本時間3月11日)翌日、主演女優と犬の名演技話題にそそられ『落下の解剖学』を観にいった。オスカーの主演女優賞は エマ・ストーンにさらわれ、脚本賞のみの受賞となったものの、カンヌ映画祭のパルムドールやもん、期待どおり秀作だった。

ザンドラ・ヒュラーがすご過ぎた。

プロローグ

フランスの雪ふかい山荘に住んでいる、仲睦ましい一家 ...息子はどうやら視力にハンディキャッ

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メメント と コーヒーアンドシガレッツ

メメント と コーヒーアンドシガレッツ

新装オープンした、ミニシアター:テアトル梅田(元シネ・リーブル梅田)にて、二本立て自主興行。
15年程前、梅田スカイビルのご近所で働いてた時期、自分好みのマイナーな映画がかかると仕事上がりによく観に行ったものだ。
改装後はカフェスペースも生まれ変わり、緑のガーデン見下ろしながらの珈琲タイムもまったりくつろげる。いま大阪で最旬デート処かもしれない。

メメント

この映画は相方とビデオを借りてきて二

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ボケなのかマジなのか。のっけからヘン。マグロと恋愛した夢をみた..とはじまるのだから。電話でそそのかされ「うーみーしーばーうらっ」まで電車で出かけていく私。ブレードランナー×沖縄が三重県のコンビナートにつながる不思議。最後までキレよく痛快だった
第111回 芥川賞 39/113

三兄弟と、数字の3

三兄弟と、数字の3

ちょっとした集まりで、大勢の人前で自己紹介時におのおの
「好きな数字は何ですか」
そう訊かれるというのがあった。なるほど、会話の糸口にちょうどいい。
すると、ほぼ9割の人が自分の誕生日または誕生月を答える結果となった。
 名前:だれそれ
 所属:なになに
 好きな数字:7 7月生まれだから
と、いうぐあいに大体のひとは、自分の好きな数字・ラッキー数字は自分の誕生日または誕生月と思い込んでいるという

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「枯れ葉」のカウリスマキ 監督特集 労働者三部作の「パラダイスの夕暮れ」「マッチ工場の少女」を連続で。前者でスーパーをクビになる色気のある女が、後者では搾取する親や自分をもてあそんだ男への復讐する少女を演じ,女優さんすごかった。音楽センスはレベチ,不条理な幕引きも余韻残る。

小学校前に,母にリカちゃん人形を取り上げられたことを思い出した。女の子と人形の関係は根深い絆があるもの。えらい地位の人がみな男性で,女性は口角上げて愛嬌ふるまってなんて,無理ムリ。
女らしく,男らしく,ってなんなん。最後にKenも自分らしさに気づいて良かったわ #バービー

ヒンディ語版ヴィクヴェダ観た。お伽話導入から惹きこまれ,ラストまで前のめり。リティック魅せるダンス! タミル版同様挿入歌も強し! 正義と悪は紙一重。オモテとウラの視点の違い,伏線を見逃さないで。あとサイフ・アリー・カーンの上腕筋すごかった。嫁はカリーナ・カプール,なるほど最強だ

寂れた路上の水たまり, にじむネオン看板“燈火”の文字。往時のきらめきも派手さもなく,ただ朽ちていくのを待つ香港の街。最愛の夫をなくし喪失感のシルビア・チャンが等身大の演技でジワる。ネオン職人だった夫の顧客を弟子と訪ねるうち,秘めた恋まで開けてしまう... #燈火は消えず

くだらない下ネタ話のあと,ガガガァッーと銃撃&瀕死の逃亡シーン。一切説明なく突っ走るのはタランティーノの得意ワザ。ゆるいラジオDJが流れる中での緊迫シーン,もう爆爆するしかない。裏切・仁義・任務・報復にまみれた男ども。音楽もプロットも最強かつ最狂だった。

あぁスカッとした!

インド映画 #マジック 1本で,賢いヴィジャイ×タフなヴィジャイ,嫁さん命のヴィジャイと三変化楽しめた。後半の(父)大将とアイシュ(母)の物語、タミール讃歌と田舎での群像ダンスが良かった。前半はちょっと退屈だったのはヒロインのせいかも? “医療は無償化”ホンマお願いします

大阪アジアン映画祭2024 〜 盗月者

大阪アジアン映画祭2024 〜 盗月者

第19回大阪アジアン映画祭 オープニングに行ってきた。チケットは売出開始後わずか4分で即売。なぜなら香港で人気絶頂のMIRROR 出演,2/9公開されたばかりアクション話題作だ。

開会セレモニーが終わり、香港ガラで香港監督陣の一言あいさつを経て,いよいよ上映。

ヤバすぎ,危ねぇ!ぐぐぐっ,前のめり。
ずっと緊張の連続で息継ぎできなかった。

秘蔵時計を狙う国際窃盗団。銀座の雑踏を縫いくぐり,香

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哀れなるものたち  俺らは何に縛られてるの?

哀れなるものたち 俺らは何に縛られてるの?

“欧州のはじまりゆうたら ギリシャどすえ。
神話やら 医術やら 芸術やら
哲学みたいなもんは 
何千年も前からウチらの暮らしに 
根づいてきました よってに 
こないな画風と物語になったんどす。
もしも 鼻についたら堪忍しておくれやす”

..我が妄想.. (なぜか京都弁)

そんな監督のつぶやきが聞こえてきそうな一大絵巻だった。
博物館をぐるりと一周し、はぁぁもうお腹いっぱい 満足至福

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PERFECT DAYS 私もヒラヤマだった。

PERFECT DAYS 私もヒラヤマだった。

ヴィム.ベンダースといえば「ベルリン・天使の詩」(1987年)だろう。
その映画には当時『刑事コロンボ』で人気絶頂だったピーター・フォークが出演しており、20代だった私は期待をこめて映画館へ観に行った。ところが、退屈で難解で、居眠りしそうで、何が言いたいのか正直よくわからんかった。アート系作家ってこんなんなんや、と全然内容が頭に入ってないのに「ベルリン、観てきたよ。まぁまぁやったワ」と粋がって大人

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『枯れ葉』と、にわかフィンランド通

『枯れ葉』と、にわかフィンランド通

仕事はじめの週末、映画『枯れ葉』を観た。エピローグに流れるシャンソン『枯葉』(たぶん)フィンランド語の響きが心地よく、映画館を出てからもずっと脳内リフレインしていた私。

その夜、仕事場に偶然に北欧っぽいカップルが来店したため、思いきって“フィンランド人?”と聞いてみると

“そう!どうしてわかったの!” と大喜び
“今日、フィンランド映画を観てきてん”

ほぅら と『枯れ葉』のポスター見せると、

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