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ネイティブから学ぼう〜読み取れるようになるために

 私は学生時代から英語の勉強が好きでした。
それでも苦手だったのがリスニング。壊滅的でした。

 最近勉強し直して、少し聞き取れるようになってきましたが
それでもネイティブ同士の会話は聞き取れない。
忖度なく速いし、単語の切れ目も分からないし、どんどん流れていってしまって理解が追いつかないんです。

 これって実は手話でも同じ。
(ドラマでは恐らく分かりやすく表現しているだろうと思います)

 手話を学んだとき、ネイティブのその速さ、リズムをどう習得したか
そしてそこから感じたことをお話します。
手話を学ぶ上での参考にしていただければと思います!


まさに留学

 私は通訳養成の学校に通いました。
学校は手話が分からなくても入学できます。
寧ろまっさらを歓迎されます。

1. 授業

 さて、手話の授業は初めから一切日本語はありません
分からなくても
「この言葉はこういう意味です」なんて板書もありません。

教科書なんてありません。
ろう者が手話のみで指導していきます。まさに留学。

 最初は簡単です。
色や名前、地名等、指差しで理解できますから。
ただ単語覚えるだけ。

 徐々に会話的な表現になり、見たことない手話が出てきます。
先生にその意味を質問すると、少し考えて
いくつか手話で例文を示してくれます。
それで
正直分かったような分からなかったような気持ち になります!
これ!”って答え”が貰えず、もやもや…

 でも段々、学ぶ上ではそれで良かったと気づきます。
私が求めてた “これ!”って答えというのは結局日本語。
日本語とイコールで結べない単語たくさんあるので、
徐々に感覚的に理解していきます。


2. 会話

 少し文が作れるようになり始めた頃
入学半年で、学内は日本語禁止となります。
口パクも怒られました。
全会話が手話。もちろん学生同士でも。

 何言っているか分からないし、どう言えばいいか分からない。
1年生の時、先生に夏休みの出来事を手話で伝えてみようと職員室へ行き、
「お前の言っていることは全く分からん」と追い返されたこともあります笑

 こうして24時間365日手話のみで会話して(いや土日除く)
1年くらいで簡単な会話を手話でできるようになります。
2年生からは通訳や言語学の授業も本格化し日本語での授業も増えますが、日常会話は当然のように手話でした。

まだまだ足りない

 すごくざっくりまとめましたが、実際はこんなもんじゃありません!
専門学校は2年しかないので、手話をスパルタ的に身につけさせられます。

 通訳は目指していないから参考にならない、
と感じたかもしれません。
でも2年で詰め込まなくても、
サークルや講習会も“手話のみ”で教えれば
もっと自然な手話が身につきやすいのではと思います。
英会話スクールのように、外国語を学ぶのと同じですから。

 そして通訳という観点でいえば、2年では足りないと思います。
英語など外国語通訳の方が何年かけて言語通訳になるか。
大学で専攻もせずに通訳になる方はいないと思います。
日本には手話のそういった養成制度がないために
「手話ができる」程度の人が通訳になってしまっている現状があります。
これは自戒の念を込めてです。

気づかされたこと

 卒業後、同期とろうの先生と遊びに行きました。
その先生は同世代で先生になりたて。
正直友達感覚!💦
同期もこれまでのスパルタの鬱憤を、
ここぞとばかりに先生にぶつけていました笑

「先生たちがすごいスピードで手話するから、分からないこともめっちゃあったんですけど」
「入学早々手話のみって、うちらの苦労全然考えてなかったでしょー」
「超大変だったー」


そこに先生が一言

「それはね、ぼくたちが普段この社会で感じていることだよ」

 

この記事改めて読んでみてください。
手話と日本語を入れ替えると
太字にしたところ、ろう者が社会で感じていることです。

 ペラペラと話される日本語。
聞こえない(分からない)と思っても
「唇を読めばいい」
「あとで要約文渡すから」
と悪気なく簡単に言われる。
はっきり分からなくてもやもやしても、
手話での答えなんてもちろん示されません。

 ろう者がいる中で、声だけの会話をしていることでどれだけ疎外感をおぼえるか。
私たちは学校で逆の立場で、身を持って体験しました。

読み取れるようになるために

 ろう者でなくても、仕事場で学校で仲間内で
「自分だけが分からない状況」
「自分だけ詳細を知らされず、結果だけを渡される状況」は
壁を作ります。

 私は障害(バリア)はこちら(マジョリティ)が生み出していて、こちらから壊すべきものなのだと気づかされました。
他にも私では気づけていないことが、たくさんあると思います。
私含め聴者から、それらを学ぶことはできません。
だからこそ、ネイティブから学ぶことをオススメしています。

 手話以外の言語を学ぶときも皆同じだと思います。
ネイティブから実感を持って学び、
ネイティブのスピードを読み取る力と共に、
当事者の思いを読み取れることが
言語、異文化を学ぶ大事な要素だと思っています。




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見てないのでネタバレも基本的に無いです。↓↓


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