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アンビバレンス

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どんな形容詞も邪魔だ。
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2016年12月の記事一覧

Twitterを辞めようと思った。何度も。
でもどうでもいいようなTweetにその人が反応してくれるのが嬉しくて、そのためだけに残しておいた。結局離れられずに見てしまう。リアルタイムで流れるその人の状況を、苦悩も喜びも、句読点や助詞から汲み取るつもりで。身を滅ぼすなら一緒がいい

正真正銘の異性であったら抑えきれない恋愛の激動と受け取られるであろう言葉や行動を時には取っているに違いないのに相手は気づいてくれない、あるいは気づかない振りをして友達でいたいと望んでいるのか、雲のように流動的で掴みようのない私にも相手にも謎だけれどそれすら愛しい奇跡としてみたい。

絶対に告白しない。好きな人を好きでいたいから。恋愛や性愛で止まる感情ではない、友情も尊敬も嫉妬も畏怖も思慕も応援も全部あっての好きなんだ。関係に名前はいらない。一面では、一言では、伝えられない。言葉は朽ちた。もっと、包括して愛したい。死ぬまで引きずる覚悟はできている。

照葉樹林が燃えている

照葉樹林が燃えている

やっぱり頼むと思った、とバイトの先輩に笑われる。私の心は一つだった、バイトが終わったら冬限定カクテルのホットグリーンティーウーロンを飲むのだと。

透き通った深緑は妖艶な揺らぎを魅せ、素直に美味いと言えない味にも関わらず数日後につい欲してしまうような罪なカクテルなのだ、照葉樹林は。

削られた氷に浸る冷えた照葉樹林だけでなく、湯気を揺らめかせる温かな照葉樹林もまた試してみたいものだ。グリーンティー

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優しささえも欲しくないんだと言ってサークルを全て辞める僕に、辞めても関係は断てないよと言う彼女は、好きだからこそ距離が欲しいと僕が言い出したら何て返すのだろう。

#小説 #エッセイ

それ寒くないのと聞く私に、雪の季節だからこそアイスが美味いんだよと笑いかけた彼は、雪の持つあたたかさを常に既に知っていた。私の胸があつくなるのを知らなかったにしても。

#短文 #恋

何書いてるの見せてと笑いかける彼女に、文章見せるのは公開オナニーだよと拗ねたように背を向ける。知ってるよと優しくせがむ彼女は、じゃあ私たち出会い方間違えちゃったね、と私に言う。半分同意し、でもどんな出会い方でも貴女を好きになっていたさ、とそんなこと言えない私は今日も文章を吐く。

貴女からの贈り物

貴女からの贈り物

よく実った良質のコーヒー豆を二年以上自然乾燥させ、熟成させたオリジナルのブレンドコーヒーを使用しております、と、和紙に似た質感の、茶色い紙に書かれている。トラファルガー色に一滴、ベージュを垂らしたような、落ち着いた茶色だ。つまり、死を告げるような冬の落ち葉色よりは、ずっと明るく穏やかだ。

その上質さ満点の説明文をひっくり返すと、そちらの面は伝票になっていた。カレーセット、コーヒーは食後、トータル

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ヘッセ『郷愁』を読み返して。
「ことばや不純な欲望によって曇らされなかった彼女への愛を、私は、この時ほど自分を幸福にし清浄にしてくれるものに感じたことはかつてなかった。」
告白なんてしなくて良かった。

押し潰した切なさは、そのままでいた方が幸福なのかもしれない。

#エッセイ

あるいは友情という名の

あるいは友情という名の

空が燃えていた。楼閣が浮いていたんだ。蜃気楼の彼方に。迸る放射線を閉じ込めるのに失敗したんだろう。それにしたってあそこまで隆々と解き放たれる光は、稀にしか見れないだろうに。私は目が潰れそうになった。 映像が、乱暴に中断される。母親がカーテンを開ける音が聴こえる。と思ったら今度は、遠縁となった友人が呼ぶ声が聴こえる。幻聴だ。こんなの、夢だ。急に恐怖が襲った。自分が何処にいるのか、わからなくなっ

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プラネタリウムを背負って歩いているのだと錯覚するほど星が綺麗で、夜空が僕だけのためにあると夢見ることができたから、彼女が僕の知るはずのない好きな人とクリスマスを過ごすとわかっていても、嫉妬が0.1ミクロン和らいだ。

#短文 #恋

炊きたてのご飯をサランラップで包む。僕は覚悟を決める。どんなことが起きても彼女を守り抜く。サランラップより手軽な爽やかさで、けれど確実に、密着するほど側で。

#短文 #小説

ぼくは飛んでゆく

ぼくは飛んでゆく

ぼくは、彼女の兄と同じ日に生まれた。春はまだ遠い、寒い日だった。

生まれた頃、足取りはおぼつかず、目をきちんと開けて彼女を見ることもできなかった。彼女はぼくをそっと抱き上げて、つんつん尖った毛を撫でた。

彼女はいい匂いだ。ミルク味の煙草を吸っているに違いない。彼女のセーターの中に潜り込みたくなるんだ。彼女の柔らかな指先は、ぼくの毛を飛び越えて、ぼくの器官まで愛撫する。思わず声が漏れると、彼女は

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愛人という言葉が現実で使われるのを、彼女を好きになって、深く知って、初めて耳にした。アイジン。彼女の発した単語はあまりに大人で、宇宙語で、僕は目が回って発狂寸前だった。僕がその歳上男性だったら貴女をそんな風にはしない、と言うのは傲慢か。

#短文 #小説 #恋