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「結ぶ人」と「ゲームの力」で地域を再生する2つの事例がすごい

さまざまな課題を解決する知識を、すでに人類は持っている。

あなたの長年苦しんできた個人的な悩みから、地球規模で遅々として解決に進まない大問題まで、実にさまざまな課題に対する知識を。

人類が何千年にもわたって文章化して、蓄積してきた知見は、それほどまでに膨大であり、偉大である。

そして今も、その知見の総体は日々膨れ上がっている。

毎日毎日、ありとあらゆる分野で研究論文が発表され、最新技術が開発されているのです。

では、それでもなぜ問題は片付かないのでしょう?

「知識は溢れかえっているのに、その知識をインプットする人間の側の処理、スピードがボトルネックになっているからだ」

フォト・リーディング(写真を撮るようなペースで本を読める技術)の開発者はそう述べています。

それも一理ある。

ですが、僕には、ボトルネックがもうひとつあるように思うのです。

<共創が下手だという問題>

それが、共創が下手だという問題です。

僕がそのことを強く実感したのは、高校生の時でした。沖縄の小さな市の貧困家庭で生まれ育ち、一度も県外に出たことのなかった時です。

親族には高卒までの人しかおらず、会社の正社員すら数える程しかいませんでした。偏りのある人間関係の中にいたのです。

僕はもっといろんな世界を知りたかった。
いろんな人に会ってみたかった。

でも、県外に行くお金はない。

その時思ったのです。沖縄には、県外・海外から毎年何百万人も人が来ているはずだ。なら、街で適当に話しかけてみればいいのでは?

そうして始めたのが、登下校のバスの中であえて人の隣に座り、インタビューするという個人的な企画です。勇気のいるチャレンジでした。

当時はスマホもパソコンも持っていません。だから、ブログに書くわけでも、YouTubeにアップロードするわけでもなく、ただ知りたくてその活動を続けました。それが僕の価値観を育ててくれたように思います。

あの時、何を学んだか。

自分の視野を広げるために世界を旅できなくても、諦めなくていい。話すはずがなかった誰かと語り合うことだって自分の世界を広げてくれる。

ということです。

<なぜみんな協力し合わないんだろう?>

遠くに出向かなくも、答えはそこにあったりするもの。どこかから出向いてきた誰かがすぐそこにいるんだから。

高校時代にそれに気づいた僕は、続けて不思議に思いました。

なぜみんな協力し合わないんだろう?

バスの中、ショッピング中、駅でスマホを見る時間、こういう時に隣の人に相談したら、自分の悩みが解決したり、ゴールへ向かう協力者が見つかったりするかもしれないのに。

日本人はシャイだから?

それは違います。僕らは、そんな習慣を身につけるべきと、一度も習っていないのです。やり方を知らないし、賞賛されることとも思っていない。

知らない人と話して変なことに巻き込まれたらどうする?

たしかに。その心配は妥当です。

どうやら僕らは、多様な人が自由に移動する世界にいる代わりに、初対面の人と上手く協力するための基本的信頼を失ってしまったようです。

いや、それどころか、全員が一台ずつスマホを持って、ひとつずつ個室を持っている世界にいる代わりに、身近な人と話す機会も失ってしまっているのかもしれません。

その代償は?

食料が余っている家庭があるのに、必死で低賃金で働きやっとそれを手に入れる家庭がある。身近に相談できる人がいないため、不登校や自殺がなくならない。スマホの操作がわからず、携帯ショップに老人が殺到する。

果ては、世界の絶対的貧困や環境問題が、解決の道具は持っているのになかなか思ったより進まない。

僕らは過剰なまでに、それぞれが持っている知見をうまく持ち寄って解決する力に乏しい、と思いませんか?

<ファシリテーションとゲームが人を結ぶ>

一緒に考えましょう。

世界中で、今よりもっと上手く、人々が手をとりあうことはできないのか?

できれば、仕事の関係を超えて。世界規模の問題のために。

住んでいるゲストハウスで、たまたま泊まりにきた宿泊客の方達とボードゲームをしながら、考えていました。

そして、気づきました。

あ、これじゃん!

僕の住んでいるゲストハウス(よすが)は、富山大学生たちがスタッフとして運営しているのですが、彼らが人と人を結びつける達人なのです。

たぶん、いろんな企業が羨むレベルでファシリテーターの宝庫です。

加えて、ボードゲーム・カードゲームを一緒にプレイするところから打ち解けたりすることが多い。

よすがの日常風景をお伝えすると。

日本各地、世界から泊まりに来た初対面の人たちと、いつも来る学生・学生スタッフたちがコタツを囲んでボードゲームをしたり、深い話をしたりしています。

結果、安いを理由に泊まりに来た人も、翌朝には「帰りたくない。また来るから!」って涙ぐむことが日常茶飯事。富山の観光客数を地味に押し上げていると思います。

ゲストハウス寄処Twitter/写真最奥の人が僕
ゲストハウス寄処Instagram


よすがでは、国内外のお客さんと仲良くなり、富山での一泊を楽しんでもらうことを目的にボドゲや学生スタッフを活用しています。

ですが、ファシリテーターとオフラインの共同ゲームのこの驚くべき力をもっと広く世の中の役に立てられるのではないか。

<ファシリテーターを育て、ゲームで環境問題に取り組もうとする会社>


この仮説に大真面目に挑んでいる会社が富山県にあります。

株式会社プロジェクトデザインです。

この会社、「新たな価値を産み出すプロジェクトを数多くデザインし、自ら動いて形にすることで、社会に貢献する」ことを経営理念として掲げ、さまざまなビジネスゲームを開発してきました。

たとえば、ビールの会社の受発注業務をミニチュア版の舞台で繰り返しシミュレーションし、本番でスムーズにできるようにするとか。

これらも面白いのですが、最近はビジネスにとどまらない世界規模の問題にも、ゲームの力で挑もうとしているのです。そこにファシリテーションの要素も入っていて、非常に興味深い。

どんなものかと言いますと、

SDGsやカーボンニュートラルについて、ゲームをしながら知識を深められる。だけでなく、ファシリテーターの後押しを得て、ゲームの後に現実で、初対面の人同士が新たなプロジェクトを生み出して動き出してしまうようなものなのです。

これは、ホームページの文章を借りてきて「そうらしい」という意味で言っているのではありません。

僕は一度プロジェクトデザイン主催のSDGsゲームに参加したことがあるのです。その時の体験がすごかった。次章で詳しく伝えます。


<自分の動きが可視的にマクロな世界に反映される>

環境問題に取り組もう、地域の課題に取り組もう。

そう言ったって、自分にできることは微々たるもの。何かが変わる実感は乏しく、検索に10秒もかかればイライラする現代人にとっては辛いもの。

ですが、「SDGs de 地方創生」というゲームでは、自分の行動(特定の役割を割り振られた25人くらいがいる中で、特定のカードを持つ他の参加者を探して交渉するなど)が如実に大きな問題に影響を及ぼします。

どうそれがわかるかというと、下の画像で女性の背後にある4つの指標とマグネットです。

これを見ると「環境は改善したけど、経済がダメージを受けてる」みたいなマクロ状況がこのマグネットで可視化されるのです。

そのおかげで、架空の地域の危機がリアルにわかるので、老若男女が参加しているのですが、みな軽く汗をかくくらい真剣に取り組み始めます。

そうなってくると面白くて、地域の再生は場にいる全員の共通の喜びになります。リアルではこの感覚を醸成するのにとてつもなく苦労していることを考えると、目をみはる効果です。

僕が参加した時は、全部の指標を押し上げることに成功したのですが、もうね、ちょっと忘れられないくらいの達成感でしたよ。

忘れっぽい僕ですが、あの場にいたメンバーの顔はけっこう覚えているくらい。

プレイ時間は半日がかりとかなり長いのですが、プレイをしていると途中で「あぁ!」と深く気づく瞬間があるんですよね。

現実でもこうやって進めりゃいいんだとか、初対面の人と予想だにしなかった共同が生まれる喜びってこれかとか、地域が一つになる感覚ってこれかとか、そういうことを体に刻まれる感じです。

その上で、ゲーム後のワークショップにて実際にプロジェクトを生み出すという流れ。完璧です。

このゲームを世界の5%くらいの人がプレイしたらたぶん本当に世界が変わります。そう思うくらいの体験でした。

僕自身イベントを開くことがあるのでわかるのですが、この半日がかりのワークショップには無駄がないし、ゲームを終えた後日までの影響度が高い。


地域再生や環境問題に取り組みたい方は、
ぜひ参加を検討していただきたい!

<取締役の竹田さんにインタビューしたい!>

初対面の人を結びつけ、共創を生み出す。

共創が下手だという人類のボトルネックを「ゲーム」と「ファシリテーション」で解決できないか、という話から始まり、富山の2つの事例を紹介しました。

書きながら熱が高まってきまして、今思い出してもとにかくプロジェクトデザインさんの取り組みが良かったので、取締役の竹田さんにインタビューをすることにしました。

聞きたいことは、ずばり社会変革の起こし方。

竹田さんがどんな未来を描いているのか、どんな過去を経てプロジェクトデザインにたどり着いたのかなど、お聞きしたいと思います。

ゲームに参加した際にFacebookで繋がっておりましたので、いざ連絡!

お引き受けいただいたので、次回、竹田さんへのインタビュー内容を記事にしたいと思います。お楽しみに!

引用元のホームページリンク


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久高 諒也(Kudaka Ryoya)|対話で情熱を引き出すライター
サポートいただいたお金は、僕自身を作家に育てるため(書籍の購入・新しいことを体験する事など)に使わせていただきます。より良い作品を生み出すことでお返しして参ります。