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エピソード③ 視点を変えることで居場所をみつけることができたCさんの場合

自己理解と仕事理解をやっておけと言われけど・・・

学校から就活前にやっておけと言われた『自己理解』と『仕事理解』でしたが、そもそも、何がしたいのか分からなかったわたしにはそれができなかった。だから目標設定の視点を変えることにしました。

元来、わたしは天邪鬼な性分なので、行き詰まった時は人と違うことをやってきた。仕事探しに迷ったわたしは、こんな時は『自己理解』と『仕事理解』とか言ってないで人との出会いに視点を変えるのが良いんじゃないか?と考えたんです。

就職活動をやっていれば、進路に影響するような良い出会いや言葉があるかもしれない。その時にはその出会いや言葉を優先順位の上位に持ってきてもいいかも。むしろそれがサインだと考えるのが良いと考えることにしました。

わたしがなぜそう考えたか?それはわたしの学生時代のバイト経験があったからです。

人との出会いの大事さを理解した学生時代のバイト

わたしは3年間で何度かバイトを変えました。わたし自身は特に「この仕事がしたい」というのがなく、時給の高さだけでアルバイトを選んでいました。ところが、職場での人間関係が嫌になり3ヶ月~半年くらいのスパンで5回アルバイトをを変えた。その後、2年生の冬からようやく今のバイトで定着したわけですが、実に2年近くもの長い間漂流したことになります。

今のバイトはカラオケ店です。そのカラオケ店は待たせているお客様が退屈しないようにゲームセンターも備えています。だからアルバイトのわたしはゲームセンターの方も担当します。

別にアミューズメント関連が好きだったわけではありません。ただ、ここで働いているうちに気づいたことがありました。

『好きな職場(仕事)を見つけられた人は、同時に人と良い出会いも果たしているんじゃないかな?』ということに。

仕事を好きになれるかどうかは取り巻く環境に大きく左右されると思います。好きだと思っていた仕事が嫌になるのは、たいていは嫌いな人に囲まれていることが多い。少なくとも私にはそうでした。

過去を振り返ると、2番目のバイトがそんな感じだった。そのバイトはスーパーの鮮魚部門で魚を捌く仕事でした。私にはこの仕事が案外性に合っていたようで、マグロ、ハマチ、サーモンなら何時間でも飽きずに捌いていることができました。ところが、結局はパートやバイトに対する社員の意地悪に我慢できなくなって半年で辞めることになったんです。

それに比べ、最初は何とも思っていなかったカラオケ店の仕事は、良い仲間たちと一緒に取り組むことですっかり好きになっていた。バイトに来るのが楽しくて、そのうえお金まで貰えるなんて素晴らしすぎる!

そして、このようなことは社会に出てもきっとよくある話だと思ったのです。

やりたいことが見つかっていないわたしは、そのように考えて、人との出会いに期待しました。きっと相性の良い人との出会いが毎日を楽しくするはずだと信じて。

わたしの周囲の友人たちは他の学生と同じく人気の金融やIT業界や知名度の高い企業から選ぶ人が多かった。

わたしにはそれれの善し悪しはわからない。でも、わたしにはなんとなくその決め方がミーハーに思えた。わたしに言わせれば単なる群集心理に見える。元来の天邪鬼な性分のせいでわたしは周囲の行動にかなり偏見を持っていたのかもしれません(笑)

ハッキリ言って、わたしは人気の業界である金融やITには絶対不向きだ。そもそも経済に全然興味ないし、友人に呆れられるほどのメカ音痴だし。

それに、知名度の高い企業はそれだけで倍率が高く、書類選考で落ちる可能性が大きい。それにこんな考えだから、興味のない業界だったら、応募しても勝ち抜くだけの気概なんてさらさらない。絶対無理!

だから就職活動の競争を勝ち抜くためには「選択」と「戦略」が絶対必要だと考えた。そしてまず選択から取り掛かることにしたのです。

自分の適性がよく判らないから、とにかくたくさんの企業の話を聞くことにした。そして、聞けば聞くほど、自分は知らないことだらけなんだと気がついた。そして無我夢中で動いているうちに、未知なことにドンドン魅かれていきました。

わたしの数少ない長所が好奇心です。そんなわたしにとって企業リサーチはとても楽しかった。やっているうちに自然に好奇心が高まった。無知の穴を埋めたくなったし、もっとたくさんの企業を知りたいと思うようになった。

人材サービスの方との運命的な出会い

そんな時に人材サービスの方との出会いがあった。

その企業の人事担当者が言うには、人材サービスというのは人材の紹介や派遣という方法で企業の人材確保に貢献する仕事らしい。だから多くの企業を取引先に持っており、業種や職種も多岐に渡る仕事。

(これなら私の好奇心を満たしてくれるかもしれない!ヨッシャー!!)

私は心の中でニンマリした。

担当の方に具体的にどのような業務があるのか聞いたところ、意外にも回答は標準的なものだった。営業・総務・経理・人事・その他一つ一つ聞いていった。その中で自分の性に合っていそうなのはやっぱり営業じゃないか?と思った。営業を通じて沢山の企業や人と出会い、多くの業界を知ることができる。そう、これは『知的好奇心』なんだ!

それ以前のわたしには『営業』というと、なんだか数字に追われるストレスフルな仕事というイメージしかなかった。ところが話を聞いていくにつれて、私にとってはとても魅力的な仕事に思えた。もちろん、数字の目標のない営業なんてありえない。でも、その一面だけで敬遠するのではなく、『営業』を『外交』や『交渉術』と発想を転換して、多くの知識を活かせるようになればかなり楽しくなりそうだ。

そして就活をやっている経験から、自分が営業に向いているような気がしていた。就活を通じて、わたしは自分自身の行動力を見直していたので、この行動力を営業で活かせる、こう考えた。そして営業なら多くの出会いがあるでしょう。多くの出会い!きっと毎日が楽しくなるような出来事が待っていると期待が膨らむ。

大学のキャリアセンターに相談に行ったとき、まずは『自己理解』と『仕事理解』に取り組むことを勧められました。今にして思えば、『何がしたいかわからない』、『何から手を付けて良いかわからない』、そもそも『何がわからないかがわからない』といった状態だったので、十分な自己理解は無理があったと思う。当然、同じように仕事理解だって、形だけ・・・、勉強で言うところの暗記科目のようになってしまったでしょう。知識として頭に入れるだけでは、およそ『理解』と呼べないものになってしまったでしょう。

実際にわたしが就職活動に取り組んで思ったのは、『自己理解』も『仕事理解』も就職活動を始めなくては見えてこない部分が多いんだな、ということでした。

『出会い上手は一生の得、出会わせ上手は社会の徳』

私は就職活動を通じてこの名言?を思いついた。社会に出たら、これを座右の銘にして営業頑張ろっと!

キャリアコンサルタントより

今回のエピソードの中にはいくつかの発見がありました。

一つ目は『仕事を好きになれるかどうかは取り巻く環境に大きく左右される』ということです。

よくある話に『好きな仕事に就いたけど人間関係(環境)が悪いから辞める』というのがあります。逆に仕事に興味を持てなくても『人間関係(環境)が良いからここで頑張ろう』と環境を理由に居場所を決める人も多いです。

『何がしたい?』よりも『誰としたい?』で決めることも正しい答えを見つける方法だと言えるようです。

2つ目は『好きな職場(仕事)を見つけられた人は同時に人と良い出会いも果たしている』というものです。

本エピソードの学生は人との出会いに期待し、そして魅力を感じる進路を見つけました。さらに営業に対する仕事理解も発想の転換で自分が楽しめる理解に改めました。まさに出会いの結果、今の自分に良い仕事を見つけたと言えるでしょう。

 そして最も大きな発見は『知らないことだらけの自分に気がついた』ことだと思います。これによって本人なりの問題意識が芽生えたのでしょう。それがなければ、ただの好奇心が本人の言う『知的好奇心』に熟成されることはなかったと思います。

 行動 → 出会い → 発見 → 成長というサイクルを知ることができるエピソードでした。

<全体目次>


はじめに(語ります・・・)
【第1章】職業選択・出会いによって進路を決めたケース

◇就職活動は足を使うことが大切!

合同企業説明会等のイベントには欠かさず出席し、多くの人事の方や企業の方々の話を聞いた。1社でも多くの企業と『出会う』ことが大事。運命の出会いはきっとある!
エピソード① 会社の『教育方針』に感銘を受けて入社を決めたA君の場合
エピソード② 出会いを通じて『飢えや渇きを満たしてくれそうだから決めた』B君の場合

◇行き詰った時には視点を変えてみよう

今、見ているものより多くのものが見たいと思ったら、より高いところに上がらなくてはならない。もう一段上がれば視野を拡げ、選択肢を増やすことができる。それが成長である。

★エピソード③ 視点を変えることで居場所をみつけることができたCさんの場合

大切なのは早く決めることではなく、決めた何かを信じること

企業研究にも会社説明会へも気持ちは消極的だった。周囲に言われて仕方なく赴いた先に怠け者の自分を変える不思議な発見があった。

★エピソード④ 就職活動で仕事への考え方が全く変わったD君の場合

◇出会いの先に希望を見つけることがある

自分の中で何が重要かを考えれば、『早く決めよう』などという雑な気持ちにならない。『これからしっかり歩める道であるか?』、『頑張れる環境であるか?』を見定めること。

★エピソード⑤ 自分が何をしたいかを明確にしたおかげで、会社との出会いに希望をみつけたEさんの場合

◇『働くこととは何か?』と向き合った

社会人になると生活の大部分が仕事になる。そのため、収入を得るための手段として仕事を選ぶのか?または人生の目標となるような仕事を選ぶのか?自分は後者だった。

★エピソード⑥ アルバイトで出会った先輩の存在が就活のゴールを決めたFさんの場合