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阪神タイガースの定量分析

阪神、残念でした・・・。 ペナントレースがほぼ終わったので、ちょっと定量分析をしてみたが、得失点の差をチームの実力と考えると概ね実力どおりの順位となった。(※中日とDeNAのみ逆だが。) これを見ると阪神の弱点は得点力(5位)ということが分かる。それでも失点が少ないので、1位のヤクルトとの差は1試合あたり0.48点と最も近い実力差ということにはなる。 得点力と相関の強いセイバーメトリクス指標であるOPS(出塁率+長打率)を確認しても、チームはやはり5位で、個人別でも上位

    • 読書メモ【民主主義とは何か/宇野重規】

      宇野先生といえば、日本学術会議への任命拒否問題でお名前を知った方であるが、この本は読後の満足度の高い、とても素晴らしい内容の本だった。古代ギリシャからの歴史をたどりながら、民主主義の基本をおさえつつ、考えるネタを提供してくれる。 アリストテレスの「民主主義にふさわしいのは抽選であり、選挙はむしろ貴族政的な性格を持つ」という指摘には目から鱗が落ちた。選挙と代議制が民主主義などという考えは、ここ数百年の誤った考えではないのか。抽選にすれば小選挙区の問題も解決するし、明日から二世議

      • 読書メモ【私たちはどこから来て、どこへ行くのか/森達也】

        今年読んだ本の中でダントツに面白い。 森達也さんの名前は知ってたけど、社会派のドキュメンタリー監督というイメージを持っているだけで、作品は観たこと無かったが、こういう突き詰めた哲学的思考の持ち主だったのか。 議論相手の科学者については、福岡伸一氏、池谷裕二氏、竹内薫氏は著作を読んだことがあったが、その他の人は名前も知らなかった。しかし、その他の方々の著作も読んでみたくなった。

        • 読書メモ【私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2/朝日新聞社編】

          この本、人選の比率がいまいちだなあ。小説家や作家の人が多くて、ほとんどがつまらない内容だった。物語創作や文章技術はプロだろうけど、小説家を優れたオピニオンリーダーだと思う誤った幻想があるのではないか。 逆に医療に関わる専門家は、岩田先生と西浦先生の2人だけ。日本の専門家に対する意識の低さには気が滅入るが、お二人のインタビューはいずれも興味深い内容だった。 特に西浦先生へのインタビューとオードリー・タン氏へのインタビューを比較すると、それが日本と台湾の緊急時対応の比較になってい

        阪神タイガースの定量分析

        • 読書メモ【民主主義とは何か/宇野重規】

        • 読書メモ【私たちはどこから来て、どこへ行くのか/森達也】

        • 読書メモ【私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2/朝日新聞社編】

          読書メモ【食べものから学ぶ世界史/平賀緑】

          この本は残念ながら、はずれだった。タイトルには世界史とあるが、そこまで広くはなく、資本主義の発展に伴い、食べものが商品化していく話。それ自体は興味深いテーマだが、情報量が少なく、考察も浅くて、全く読みごたえなし。ジュニア新書だからかなあ。

          読書メモ【食べものから学ぶ世界史/平賀緑】

          読書メモ【プライバシーという権利/宮下紘】

          仕事柄、法令を調べることも多いが、個人情報保護法制において世界をリードしているのはEUのGDPRだ。逆にアメリカには個人情報保護に関する連邦法がなく、知る限りではカリフォルニア州の州法しかない。 GDPRが、他国よりも厳格なのは何故なのか。ナチスのユダヤ人大量殺戮に、個人情報が利用された歴史的背景があるからだ、というのは以前に聞いたことがあったが、IBM社のパンチカードを利用して個人情報の収集・分析していたという具体的な手法をこの本で知った。 そのような歴史的背景から、個人情

          読書メモ【プライバシーという権利/宮下紘】

          読書メモ【リスク心理学/中谷内一也】

          よくあるリスク・マネジメントの本ではなく、行動経済学のような内容だった。行動経済学は、自分が以前から興味を持っている社会心理学と似ているが、違いはどのように説明されるのだろうか。 先日読み終わったバイアスの本とかぶる部分も多く、いずれもにおいてもカーネマンとトゥベルスキーが紹介されている。以前に読んだカーネマンの本、今だったら、以前より理解できそうな気がする。もう一度読み直してみるかな。 社会心理学の認知的不協和理論や行動経済学のプロスペクト理論は、いっけん非合理な人間の

          読書メモ【リスク心理学/中谷内一也】

          読書メモ【バイアスとは何か/藤田政博】

          バイアスを避ける方法として「構造化分析テクニック」というものが紹介されている。 名前からして有効そうだが、例えば確証バイアスを避けるテクニックとして「競合仮説分析」というものがあり、次のように紹介されている。 (1)他の仮説を考えてみること (2)仮説に基づいてそれぞれの証拠を評価すること (3)その証拠の評価に基づいて、それぞれの仮説がどの程度信用できるか改めて検討すること (4)それぞれの仮説に反する証拠を参照して仮説が反証に耐えうる程度を検討しながら、もっとも信用できそ

          読書メモ【バイアスとは何か/藤田政博】

          2020/11/11読書メモ

          『日経大予想2021これからの日本の論点』日本経済新聞社[編]⑥ (ちょいまとめ) 国民に給付される社会保障費は年間約120兆円(年金57、医療39、介護11、子育て8、その他7)と、2020年度当初の一般会計予算102兆円を大きく上回っている。今年はコロナ対策でさらに増え、ひとり10万円の給付金だけでも13兆円必要で、国債発行で賄っている。 社会保障費の財源の5割は社会保険料(労使折半)、4割程が税金、残りは年金積立金の運用益などとなっている。しかし、日本の行政は税金の

          2020/11/11読書メモ

          2020/11/09読書メモ

          『THE BIG ISSUE 2020.10.15』ルドガー・ブレグマン インタビュー (ちょいまとめ) 『隷属なき道』でユニバーサルBI(ベーシックインカム)を提唱したオランダの歴史学者ルドガー・ブレグマンが、第二作では人間の本性の掘り下げに取り組んでいる。多くの人が考える人間の生来的な暴力性は、ネガティビティ・バイアス(人は、よい情報よりも悪い情報に注意を向けやすいこと)によってつくられたイメージ。悪い出来事を取り上げたニュース等に晒されることで、不安になったり疑り深くな

          2020/11/09読書メモ

          2020/11/07読書メモ

          『ビギナーズ倫理学』デイヴ・ロビンソン④ 「中世最大の神学者であるトマス・アクィナスによれば、法律は政府の思いつきではだめで、神に付与された自然法を反映する万人のための共通善にとって必要なものであり、法律が自然と一致しなければ人々には破る権利がある、としている。」 スコラ哲学というと、物凄く難解なイメージを持っていたが、これだけだとそうでもないな。要するに、悪法も法なり、という法治主義ではだめで、自然法に基づく実定法による法の支配が重要だ、ということを言っているだけに思え

          2020/11/07読書メモ

          2020/11/06読書メモ

          『日経大予想2021これからの日本の論点』日本経済新聞社[編]⑤ 「東京の国際金融都市構想は、概ね10年おきに浮上しては毎回頓挫しており、今回は4度目にあたる。今回は目的を、国民の生活レベルを引き上げることだとした。ヘッジファンドを含む資産運用会社の海外からの誘致に力を入れ、その結果、日本の資産運用のレベルが上がれば、預貯金に滞留している個人金融資産の拡大につながるとしている。」 この話がいまひとつピンとこないのは、自分の資産運用の考え方のせいだろうか。投資信託での運用を

          2020/11/06読書メモ

          2020/11/05読書メモ

          『人が人を裁くという』小坂井敏晶⑦ 蓄積された記憶はそのまま維持されるのではない。新情報との接触を通して常に再解釈され、更新される。多くの場合、我々は幼少時の出来事を実際には覚えていない。しかし、親から同じ話を何度も聞かされるうちに、あたかもその情景を幼児の頃から覚えていたような錯覚ができあがる。 記憶は時間とともに再編成される。だから、最も新しく更新された記憶内容が一番強い現実感を伴う。 ハリスは犯人ではないと断言した事実を被害者女性は忘れ、犯人に間違いないと初めから確信

          2020/11/05読書メモ

          2020/11/04読書メモ

          『日経大予想2021これからの日本の論点』日本経済新聞社[編]④ 日銀の3つのコロナ対策 1.企業等の資金繰り支援 ・コマーシャルペーパー(CP)・社債等の買い入れ:残高上限約20兆円(従来は約5兆円) ・新型コロナ対応金融支援特別オペ:約100兆円 2.金融市場の安定確保 ・国債のさらなる積極的な買い入れ:無制限 ・米ドル資金供給オペ拡充:無制限 3.資本市場におけるリスク・プレミアムの抑制 ・ETFの積極的な買い入れ:年間約6兆円→当面、上限年間約12兆円 ・J-REI

          2020/11/04読書メモ

          2020/11/03読書メモ

          『ビギナーズ倫理学』デイヴ・ロビンソン④ 人は道徳に取り組むことによって道徳的になる。ちょうど、ピアノを練習することによってピアノが弾けるようになるのと同じなのだ。 まずは両親や教師がわれわれに道徳的であるように促すが、しばらくすると、われわれは多かれ少なかれ無意識のうちに道徳的人間になる。正しく行動することが、第2の天性となるからだ。 アリストテレスは、自己実現の手引きを与えてくれるかもしれない。だが、他人といかにかかわるべきかを教える道徳規則は手に入らない。とはいえ、道

          2020/11/03読書メモ

          2020/11/02読書メモ

          映画『メイキング・オブ・モータウン』パンフレットの解説 ゴーディはフォード社の組み立てラインで仕事をしたことがあり、彼のシステム開発のビジョンはそれをベースにしています。 ゴーディが思いついた仕組みとは、プロデュース、編曲、ダンスなど各工程を回ることで新しいスターを誕生させる手法だった。フレームだけだった鉄の塊がピカピカの新車として工場を出ていくように、スターを生み出すことができると考えたゴーディは、ダンスやエチケットも含め徹底した管理体制を敷き、全米No.1ヒットを連発し

          2020/11/02読書メモ