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2020/11/03読書メモ

『ビギナーズ倫理学』デイヴ・ロビンソン④

人は道徳に取り組むことによって道徳的になる。ちょうど、ピアノを練習することによってピアノが弾けるようになるのと同じなのだ。
まずは両親や教師がわれわれに道徳的であるように促すが、しばらくすると、われわれは多かれ少なかれ無意識のうちに道徳的人間になる。正しく行動することが、第2の天性となるからだ。
アリストテレスは、自己実現の手引きを与えてくれるかもしれない。だが、他人といかにかかわるべきかを教える道徳規則は手に入らない。とはいえ、道徳は「技術」すなわちスキルにきわめて近いとする点で、彼は正しいのかもしれない。物理学の研究よりも車の運転の習得に似ているのである。

(道徳あるいは倫理が、物理学の研究よりも、車の運転の習得やピアノ練習に似ているというのは、ほとんどの人にとって概ねそうだと思う。個人で研究して原理原則を発見するというよりも、周囲の影響(言動や行動)によって身についてしまった癖のようなものに思える。自分が思っているよりも、家族や所属する集団の影響は大きい。アリストテレスの考え方はプラグマティックであり、中庸を選ぶという技術を学習することで、道徳的に行動できるようになっていく、ということだと思うが、本当にそうなのだろうか。世の中の変化にあわせていくという意味では、確かにプラグマティックで有効な考え方にも思える。他人とのかかわりの道徳規則は手に入らいないというのは、定言命法や功利主義のことをいっているのだろうか。一歩進んで、自分の判断基準の核を明確にするという意味では、物理学の研究のように、思考実験と原則の言語化も必要に思える。)

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