読書メモ【民主主義とは何か/宇野重規】

宇野先生といえば、日本学術会議への任命拒否問題でお名前を知った方であるが、この本は読後の満足度の高い、とても素晴らしい内容の本だった。古代ギリシャからの歴史をたどりながら、民主主義の基本をおさえつつ、考えるネタを提供してくれる。
アリストテレスの「民主主義にふさわしいのは抽選であり、選挙はむしろ貴族政的な性格を持つ」という指摘には目から鱗が落ちた。選挙と代議制が民主主義などという考えは、ここ数百年の誤った考えではないのか。抽選にすれば小選挙区の問題も解決するし、明日から二世議員もいなくなる。
この考えは裁判員制度にも通じている気がする。裁判の目的が正しい判決をくだすことではなく(そもそもそんなこと不可能だ)、共同体の意思決定を行う主体が、誰であるべきなのかということだ。高度な訓練を受けた専門家は、あくまでサポートをする立場だ。
衆議院を抽選にして、参議院は弁護士並みの難易度の資格試験合格者のみにすればいいのではないか。

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