読書メモ【バイアスとは何か/藤田政博】

バイアスを避ける方法として「構造化分析テクニック」というものが紹介されている。
名前からして有効そうだが、例えば確証バイアスを避けるテクニックとして「競合仮説分析」というものがあり、次のように紹介されている。
(1)他の仮説を考えてみること
(2)仮説に基づいてそれぞれの証拠を評価すること
(3)その証拠の評価に基づいて、それぞれの仮説がどの程度信用できるか改めて検討すること
(4)それぞれの仮説に反する証拠を参照して仮説が反証に耐えうる程度を検討しながら、もっとも信用できそうな仮説を選び出すこと
(5)将来にわたって、その仮説を確証するような指標にどのようなものがありうるか、またはその仮説を反証しうるような指標にどのようなものがあるかを明らかにしておくこと

これは使えそうなプロセスだと思ったが、しかし続きにオチがあって、引用すると・・・
「競合仮説分析の有効性の実験報告があります。(中略)結果を単純にまとめることは難しいですが、期待されたほどには確証バイアスを低減させることはできなかったと言えそうです。
他の研究によっても、競合仮説分析は十分な有効性が評価されていないので、別の方法を考える必要がありそうです。」

思わず「いや有効とちゃうんかーい!なんで紹介してんねん!」と心の中で叫んだが、それだけバイアスは根深いということだろう。
この筆者は、そもそもバイアスはなんでもかんでも避けるべきものなのか、という議論の前提を疑うような問題意識もお持ちのようなので、付き合いかた次第ということだろうか。

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