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人生の長い休暇

今日は曇りのち雨の空模様です。
西の方から大雨となっていて台風も発生しました。

今日も りこちゃんと こざる達は、
いつものように 皆で一緒に 夕飯を 賑やかに食べて、
ラジオを聴きながら、食後のお茶を飲んでいます。

「『すっぴん』の先週の金曜日の放送を配信サービスで聴いているんだ。」
「ぼく達、番組が始まる時の、高橋源一郎さんの話がとても好きなんだけど、
先週のお話も すごく良かったんだ。」
皆、うんうん頷きます。

「源一郎さんは、40代の6, 7年間、イギリスのブライトンに行っていたんだよ。」
「競馬好きなので、5月から10月頃、毎月、通ってたんだって。」
「飛行機の安いチケットを買って、安いホテルに滞在して、
食事も安く調達して、それでイギリス中の競馬場を回ったんだ。」
「図書館や美術館、夜は安いチケットを探してミュージカルも観に行ったんだって!」

話をしている源一郎さんは、とてもとても楽しそうです。

「『安いチケットを探して』って、すごく嬉しそうに言うよね。」
「うん、学生時代のような、お金はないけど心は希望に溢れている、そんな感じで
このイギリス滞在の時期が、とっても充実していて楽しかったんだってわかるよね。」

源一郎さんがイギリスに通っていたのは、
1990年代の初めから終わりくらいだそうです。
その頃、ヨーロッパまで直行便が飛ぶようになったと思います。
その前は、一つか二つ、別の空港を経由して行きました。

「そうだよ、りこちゃんも確かアンカレッジ経由で行ったって言ってたよね?」
「そうよー、アンカレッジ経由。」
「時間もその分、余計にかかったんだよね。」
りこちゃんは、うんうん頷きます。

直行便が出始めた頃は、たぶんチケットはまだ高くて、
あちこち経由して行く方が安かったと思います。

「それに その頃は まだ今みたいにインターネットが普及していなかったと思うから、
自分で安い飛行機やホテルをスマホやパソコンで探して予約するなんてことは
できなくて、代理店に電話したり行ったりして探していたんじゃないかなぁ。」

インターネットがなかった時代から、
日常生活にあるのが当たり前の世の中に、あっという間になりました。
とても便利な世の中です。

でも「安いチケットを探して」と言う源一郎さんは、とても嬉しそうです。
ネットがなかった時代を生きてきた人たちには、
不便なのかもしれないけど、何故か楽しいこの感覚、
わかるように思います。

「それにネットで、どこでもつながる世界じゃなかったから、
日本から出てしまえば、違う世界の違う時間が流れるし、リフレッシュできたんだと思うな。」
「今は、どこへ行こうとインターネットで簡単につながっちゃうから、
便利だけど、完全に休むのは難しいよね。」


源一郎さんは、人生の長い休暇を自分でとっていたと言います。
日本にいるとリフレッシュできないけれど、
イギリスでは、誰も自分を知らないし、自分も誰も知りません。
自分を見つめ直す時間だったと言います。


「こうして人生の休暇をとって、ひとりで自分を見つめ直す時間、必要だよね。」
皆、うんうん頷きます。

「でも、大手企業の正社員ならともかく、非正規社員や、
中小企業の社員には、とてもとても無理だよ。」
「源一郎さんみたいに長い期間でなくてもいいから、
人生に一度、一週間でもいいから、皆が普通にとれるような
そんな世の中になってほしいな。」
「よくわからないけれど、豊かになるって、そういうことも含まれているんじゃないかなぁ。」


ラジオからは、源一郎さんが選んだ今朝の一曲、
ミュージカル『レ・ミゼラブル』の中の『オン・マイ・オウン(On My Own)』が流れてきます。
りこちゃんも、こざる達も大好きな歌です。
皆、うっとりして聴いています。
実際に会場にいるような雰囲気です。

「音楽って、本当にとってもいいね。」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今夜から明日の 大雨、台風、どうぞくれぐれも気をつけてください。
よい毎日でありますように (^_^)


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