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AIと芸術について書き連ねるある役者の手記

これは2部構成の2部目です。 未読の方はこちらの記事を先にどうぞ。https://note.com/koyo_koyo/n/n6886522c7407 以下、私の文章です。 昨年発表され話題になったイラ…

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AIと芸術の未来:役者の視点から

去年話題になった、イラストAIとチャット型AI。その素晴らしい能力と手軽さによって、イラストレーターやライターの業界が揺るがされた。 音楽もAIが製作した優れた作品が…

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リチュアルホールケーキ

陽炎を見つめる。 キッチンから漏れる灯りと蝋燭の火が顔を照らし黒いテレビ画面に浮かび上がらせている。 昔の人はこの蝋燭の火で生活していたのかと思うと、『蛍雪の功…

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これは多分、夢

ある日、斬られる夢をみた。 痛みが妙にリアルで飛び起きる。大量の発汗。 じっとりと濡らす汗が身体を冷やしていく。 『起きているときでも、こんな風に痛みと汗が出るほ…

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11月1日午前0時01分

「ユキヤから返信きた?」 軽く脱色したウルフカットの後ろ髪とスマホをいじりながらマナツが問いかけてきた。 俺はスマホに目を落としたまま答える。 「いやー、既読スル…

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かあさんのいえ

以下の記述は、当病院で入院治療を続けている男が看護師にしきりに話す夢の内容である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー アラームが耳を突き抜ける。 ジ…

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灼熱

8月某日、気温37度、室温26度。 国から貰った金で買ったゲーミングチェアに浅く座りながら、次のオンライン会議で提案する17文字で済みそうな企画内容を原稿用紙4…

ジル・バレンタイン

 朝、鏡を見たらゾンビになっていた。  …は?なんで?意味わかんない。バレンタインチョコ作るのに夜更かししたから?  え、え、マジヤバいどうしよう、こんなんじゃ…

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AIと芸術について書き連ねるある役者の手記

これは2部構成の2部目です。
未読の方はこちらの記事を先にどうぞ。https://note.com/koyo_koyo/n/n6886522c7407

以下、私の文章です。

昨年発表され話題になったイラストAIとチャット型AI。
その驚くべき性能と手軽さで、イラストレーター業やライター業界隈が震え上がったらしい。
音楽もAIでかなり良いものが出来上がるという。

技術の進歩と共に消え去る仕事と

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AIと芸術の未来:役者の視点から

去年話題になった、イラストAIとチャット型AI。その素晴らしい能力と手軽さによって、イラストレーターやライターの業界が揺るがされた。
音楽もAIが製作した優れた作品が生み出されるという。
技術が進歩するにつれて、職業が消滅していくことは古今東西に存在してきた。しかし、芸術分野がそれにさらされるということが、今回の問題の核心だ。

人工知能が芸術という人間の特権領域に踏み込んでしまった。

人間存在

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リチュアルホールケーキ

陽炎を見つめる。
キッチンから漏れる灯りと蝋燭の火が顔を照らし黒いテレビ画面に浮かび上がらせている。

昔の人はこの蝋燭の火で生活していたのかと思うと、『蛍雪の功』って本当か?満月の日以外暗すぎて見えないんじゃないか?と疑問を抱く。

蝋燭の火にしたってこれじゃ暗すぎる。
仏壇に添えるくらいのサイズは欲しい。

明るさだけを求めるなら、神社のお焚き上げとかキャンプファイヤーとか、おっきな炎が良い。

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これは多分、夢

これは多分、夢

ある日、斬られる夢をみた。
痛みが妙にリアルで飛び起きる。大量の発汗。
じっとりと濡らす汗が身体を冷やしていく。

『起きているときでも、こんな風に痛みと汗が出るほどリアルな芝居ができたら良いのに…』

……あぁ、
もう私は芝居に侵されているんだ。

ふっと笑って二度寝した。

11月1日午前0時01分

11月1日午前0時01分

「ユキヤから返信きた?」
軽く脱色したウルフカットの後ろ髪とスマホをいじりながらマナツが問いかけてきた。

俺はスマホに目を落としたまま答える。
「いやー、既読スルーだわ。アサミからは?」

「未読スルー」

「マジで二人でデートしてんじゃね?」

「あり得る〜」
気のない返事だ。

今日は本来、アサミ、ユキヤ、マナツ、俺の四人でハロウィンパーティっぽいものを俺の家で開催するつもりであった。
「2

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かあさんのいえ

かあさんのいえ

以下の記述は、当病院で入院治療を続けている男が看護師にしきりに話す夢の内容である。

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アラームが耳を突き抜ける。
ジリリでもなくピロピロでもなく何とも形容しがたい不思議な電子音なのがうちの目覚ましの特徴だ。非常に脳に響く。
鼓膜から伝わる振動を遮断しようとしたとき、
『起きなさい龍之介』

「母さん、もう5分寝かせてよ」

『いけません。準備、朝食の

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灼熱

灼熱

8月某日、気温37度、室温26度。

国から貰った金で買ったゲーミングチェアに浅く座りながら、次のオンライン会議で提案する17文字で済みそうな企画内容を原稿用紙4枚程度まで薄く薄く引き伸ばしていた。

インターホンが鳴り、そっけなさと愛想良さが半々くらいの返事で対応する。
明らかに困憊した配達員に感謝の言葉を述べ、配達してくれた昼食を食べることにした。
ポテトが若干萎びているじゃないか。

久しく

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ジル・バレンタイン

ジル・バレンタイン

 朝、鏡を見たらゾンビになっていた。

 …は?なんで?意味わかんない。バレンタインチョコ作るのに夜更かししたから?
 え、え、マジヤバいどうしよう、こんなんじゃ学校行けない。
休む?いや、折角作ったから渡したいし……。

顔の青さはメイクでどうにかなる。
だるいのはきっとゾンビになったせいだから体調不良じゃないはず。

……いや、体調不良か。腐ってるんだし。

え、まって、腐ってる?
くさい?く

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