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リチュアルホールケーキ
陽炎を見つめる。
キッチンから漏れる灯りと蝋燭の火が顔を照らし黒いテレビ画面に浮かび上がらせている。
昔の人はこの蝋燭の火で生活していたのかと思うと、『蛍雪の功』って本当か?満月の日以外暗すぎて見えないんじゃないか?と疑問を抱く。
蝋燭の火にしたってこれじゃ暗すぎる。
仏壇に添えるくらいのサイズは欲しい。
明るさだけを求めるなら、神社のお焚き上げとかキャンプファイヤーとか、おっきな炎が良い。
11月1日午前0時01分
「ユキヤから返信きた?」
軽く脱色したウルフカットの後ろ髪とスマホをいじりながらマナツが問いかけてきた。
俺はスマホに目を落としたまま答える。
「いやー、既読スルーだわ。アサミからは?」
「未読スルー」
「マジで二人でデートしてんじゃね?」
「あり得る〜」
気のない返事だ。
今日は本来、アサミ、ユキヤ、マナツ、俺の四人でハロウィンパーティっぽいものを俺の家で開催するつもりであった。
「2