彼岸の呼び声【稲川淳二オマージュ】
北陸の海岸を夏の日がオレンジ色に染めてもう日はだいぶ西に傾いている。波打ち際を三人の若者がやってきた。と、キラキラと輝くすぐ傍の沖合で、何かがひょこっと現れて消えた。「あれは何だろう」「え、何が?」「いや、今あの辺りに何か見えたような気がしたんだ」眩しく照り返すその辺りを指を指して見せた。二人が目を細めてそちらを見たんだけども、何も見えない。「おい、なんにも見えないじゃないか」「確かにそれは見えたんだけど、消えたんだ。それは人間のように見えたんだけどなぁ」「ふーん、じゃあサー