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山ばあちゃん【怪談・怖い話】

小学校の頃の思い出は、今も心の中に鮮やかに残っている。実家はど田舎で、公園なんておしゃれなものはなく、学校が終わると友達と山や神社で遊ぶのが定番だった。
特に、お気に入りの山があって、目印さえ守れば子どもでも頂上まで行ける。そこには小さな祠があった。猪が出るから目印から外れちゃダメと大人たちに言われていたが、反対側には何があるのか、どうしても気になって仕方がなかった。

ある夏休み、友達に内緒で山に行くと言って、一人で冒険に出かけた。頂上に着くと、祠の裏側に崩れた看板と通れそうな道を見つけた。これは何かのサインだと思い、興奮しながらその道を進んだ。

初めて通る道は新鮮で楽しく、何も考えずにどんどん進んでいくと、突然目の前に集落が現れた。人気のないその場所は、空き家だらけだった。子どもの好奇心に抗えず、探検を始めることにした。

いくつかの空き家を見回り、奥に少し大きな家を見つけた。中に入ると、広くてきれいな家で、居間っぽいところでおやつを広げていると、人の声が聞こえてきた。

誰かに見つかったらまずいと、慌てて逃げようとしたが、襖の奥から「誰か来たの?」と声がした。逃げ出すよりも謝った方がいいと、襖を開けると、布団で横になっているおばあちゃんがいた。

「よくここまで来れたね、怒ってないよ」と言われ、話すうちにだんだんと打ち解けていった。おばあちゃんは一人暮らしで寂しいから、たまに遊びに来てほしいと言われた。あたしは、また明日来ると約束して帰った。

夏休みの間、何度かその家に遊びに行った。誰かに話されると困るので、いつも一人で訪れていた。おばあちゃんは、家族が町に引っ越した際に置いて行かれ、一人で暮らしていた。

ある日、帰りが遅くなり親に怒られ、正直に山の話を打ち明けた。すると、うちのおばあちゃんが青ざめ、急いで近くのお寺に連れて行かれた。住職にお祓いをされ、お守りを渡された。

何も教えてもらえず、それからは山に行くこともできず、友達とも遊べなくなった。小さな村なので話は広がり、夏休み明けには友達からも避けられるようになった。不登校になり、引きこもり生活が始まった。

その後、おばあちゃんが亡くなり、山にも行けず、ネットで調べても何も出てこなかった。実家が嫌で県外に引っ越し、アルバイトしながら生活していたが、最近、去年お守りをなくしてから毎日あの山の集落の夢を見るようになった。

夢の中で山ばあちゃんは元気になり、足も治って畑仕事をしていた。一方であたしは体調を崩し、病院に行っても原因不明のまま入院した。バイトも辞めて引きこもり、夢は毎日続いた。ある夜、夢の中であたしが山ばあちゃんの布団に横たわり、足が動かなくなった。目が覚めても足は動かず、救急車で病院に運ばれた。

原因不明のまま入院し、地元の病院に転院した。親に連絡して地元に戻り、リハビリを受けているが、足はほとんど動かない。お守りをなくしたことや夢のことを親に話すと、再びお祓いに連れて行かれた。

親が話しているのを聞いて、山ばあちゃんのいた集落の話だろうと思ったが、この足では確認できない。一生このままなのか、自分も山ばあちゃんのようにあの集落でひとりぼっちになるのか、恐怖を感じる。

[出典:127 :本当にあった怖い名無し:2023/09/23(土) 16:06:11.63 ID:ofyoVUIN0.net]


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