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人は理屈では動かない。(坂本龍馬からリーダーシップのあり方を学ぶ)

数年前ではありますが、ある上司の対応にかなり苦労した経験があります。

その上司は、相手を論破することに全力を注ぐタイプであり、その矛先は部下である自分にも容赦なく向けられました。

どんなに反論を試みようとも、「わかった」と言わせるまで議論が延々と続くため、最後は根負けして彼の指示に従わざるを得なくなるのですが、その結果残るのは悶々とした思いだけでした。

一旦指示通りに進めるものの、納得感がないまま仕事を渋々進めるので、効率も悪く、そのため結果も伴わないことが多かった気がします。

人は理屈では動かない、とよく聞きますが、それをまさに身をもって体感した経験でした。

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」に、坂本龍馬が議論を行うときのスタンスを解説するシーンがあります。

 『竜馬は議論しない。議論などは、よほど重大なときでないかぎり、してはならぬといいきかせている。もし議論に勝ったとせよ、相手の名誉をうばうだけのことである。通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生きものだし、負けたあと持つのは負けた恨みだけである。』( 司馬遼太郎「竜馬がゆく」 より)

この通り、その時の私は自分の思うように仕事を進めることが出来ず、自信をも失い、そして影では相当その上司の愚痴をこぼしていた記憶があります。

この記事もありますが、坂本龍馬は人を動かすためには「対話」が必要であることを知っており、対話を通じることで、薩長同盟を始めとする様々な偉業を成し遂げたと言っても過言では無いと思います。

チームや組織を率いる立場(企業においては管理職)にある者は、一定の権限を有する事から、自分は偉い立場にあり、率いるメンバーを管理統制し従わせるのがその役目だと勘違いしてしまいがちです。

その傾向に警鐘を鳴らし、リーダーシップのあるべき姿を端的かつ的確に表現されている記事を見つけました。

『リーダーシップとは「言うことを聞かせること」ではない』 山本 梁介[スーパーホテル会長]

スーパーホテルさんは、先日行われた『第9回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞』で「審査委員会特別賞」を受賞された企業です。

社員を大切にし、社員に寄り添い、真摯に耳を傾け、一人ひとりの内発的動機を引き出して活き活きと活躍してもらう。その結果会社の業績も伸び、こんな素敵な賞も受賞される。

これこそがリーダーシップのあるべき姿だなと感じましたが、そのスタイルを確立されるまでには様々なご苦労と葛藤があったのだと知りました。

コンサルタントであり、先日『ノルマは逆効果』を出版された藤田勝利さんも、その著書で以下のように述べています。

   “コンサルティングや人材育成の現場で(中略)近年特に実感することがあります。それは、論理的・戦略的には正しいと思う方針でも、社員が心からワクワクしてやってみたい、挑戦してみたい、と思わなければ人が動かず、実現しないうことです。”  (「ノルマは逆効果」 藤田勝利 より)

坂本龍馬の時代から、恐らくはもっと古くから、人を動かす(リーダーシップを発揮する)ための要点は変わっていないにも関わらず、なぜ管理統制や一方的な指示命令型のリーダーシップが世間を横行してしまうのか。

なんとかその原因を解き明かすことはできないものかと考えています。



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