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生後6ヶ月からクラシックを聴かせる中国の“教育熱”を訪日インバウンドへ🔥

読者のみなさま、初めまして。行楽の戴琰と申します!

私は大学三年生からインターンとして行楽で働き始め、今年で入社7年目になりました。
日頃は主にインバウンド系企業や自治体のオンラインプロモーション企画、中国現地で開催するイベントの企画・運営を担当しています。

戴琰(たい えん)

大学では日本語を専攻し、日本語が堪能。
大学時代に行楽のインターンに参加し、
本物の日本を中国に伝えることにやりがいを感じて行楽に入社。
日本政府観光局・佐賀県・鹿児島県などのSNS運営や、自治体・日系企業の広告プランニング、
上海国際映画祭や商談での通訳など、数多くのイベント企画と現場運営リーダーを務め、
行楽のオフラインイベントを50回以上成功に導いてきた。

一言:人事を尽くして、天命を待つ

はじめは大学生だった私も、去年出産を経験して、いまは子供を育てながら行楽で働いています。(ちなみに、中国には育休制度はあまりなく、128日間の産休ののち、仕事に復帰しました)

そこで今回の記事では、私が一児の母として感じている中国の教育について紹介したいと思います。


中国の教育熱とは

かつては人口が増えすぎて困っていた中国も、今では少子高齢化が進行し、1980年に始まった一人っ子政策も2014年に廃止されました。
そして、現在一人っ子政策で生まれた世代が親世代になっています。

働き盛りの私たちの世代は、お金に余裕が出来始めています。
ただ、お金はあっても日々の仕事が忙しく、自分でお金を使う時間はありません。そして、自分の子供の教育費にお金を使うようになりました。
これが教育熱です。
そして、コロナの影響で近年さらに教育熱は高まりを見せています。

自分の子供を良い大学に入れるためには良い高校に、良い高校に入れるためには良い中学に、良い中学に入れる為には…と教育熱は過熱していき…。
ついには生後数ヶ月から塾に通わせ、"早期教育"を受けさせる教育ママも多くなっています。

下の画像は、そんな"早期教育"の音楽のカリキュラムの一部。
生後6ヶ月からクラシックを聴かせて、赤ちゃんの感受性や表現力を磨くそう。

早期教育、いくらなんでも早期すぎやしないか

下の画像は授業料の表。最低一年から通うことができるようで、長く通うほど割引されているのが分かります。
1年だけ通うと14200元、約28万円です。
教育費に糸目はつけない、それが教育熱です。

我が子のためなら…!


中国の教育ママが絶大な信頼を置くミキハウス

そんな中国の教育ママ達は、ベビー用品に対するこだわりも強いです。

日本製の粉ミルクやオムツが中国で人気、という話は日本でも割と知られていますが、実はベビー服も日本製のものが人気です。

特に、ミキハウスは中国の教育ママに絶大な信頼を置かれています。

下の画像は、中国のインスタ的アプリ「RED(中国語:小紅書)」で見つけた、ある母親が投稿したもの。これら全てミキハウス製の靴です。

スニーカーマニアさながら


次にお見せするのは、私が入っているママ友のグループチャットのトーク履歴。ここでもミキハウスの話題が出ていました。

Wechat(微信)のママ友グループ


ママ友の一人が買ったミキハウスのオーバーオールの着心地やサイズの話をしています。
ちなみにそのオーバーオールとは…。


ミキハウスのデニムオーバーオール

なんと19万8000円。宝石がついているため、この値段なんだそう。

それに、このオーバーオールは中国では販売されていないので、日本の代理購入業者からわざわざ取り寄せる必要があります。
なので、商品代に更に料金の1,2割分の手数料や輸送費が加算されることになります。


教育熱が訪日インバウンドに与える影響

①サマーキャンプで日本の学校に

JNTO 訪日旅行誘致ハンドブック 2022にもあるように、中国の教育熱は訪日インバウンドにも影響があります。

そもそも日本は中国人にとって、子連れの旅行にピッタリの国です。
日本は子供向けの娯楽が多く、距離も近くて治安も衛生も良く、生活環境や文化が近い。
私の周りのママ友も、今後海外旅行に行けるようになったら、最初に行くのは日本!と決めている人はすごく多いです。

また、このまま教育熱が冷めなければ、日本へのサマーキャンプが盛んになるかもしれません。
最近、中国では自分の子供をサマーキャンプに行かせる親が増えています。

中国で開催されているサマーキャンプの様子

私はこのサマーキャンプを日本の学校で開催すれば、中国の教育熱心な親がこぞって申し込むのでは、と考えています。

というのも、日本の学校教育は中国でとても評判が良く、しばしばニュースでお手本のように取り上げられています。
例えば、子供達だけで規律を守って盛り付け・配膳・片付けをする学校給食や、清掃業者ではなく子供自らが行う掃除は、私たち中国人には衝撃的な光景に映ります。
“教育熱”で子供の教育に熱心な親が増え、習い事をさせる親も増えました。ただ、趣味を深める教育は盛んでも、家事などの生活に直結する教育はまだまだ浸透していません。

大事に大事に育てられ、自然とワガママになってしまった子供が多い中、「日本の学校教育を我が子に体験させたい」と思う親は少なくない筈です。

②中国の教育ママがベビー用品を買いに

先に挙げたように、教育熱で日本製のベビー用品は更に人気が高まっています。
円安のいま、中国のコロナ対策が緩和されて中国人観光客数が回復すれば、必ずベビー用品の爆買いが復活するでしょう。

中国のコロナ政策の先行きは未だ不透明ですが、いずれは段階的に緩和されるでしょう。
その時、一番初めに日本にやってくるのは都市部に住む富裕層の旅行者です。

つまり、日本の自治体や企業は富裕層をターゲットにしたインバウンド施策を立てるのが先決で、大型バスで免税店と観光地を回るような団体旅行者のことはひとまず後回しにするべきです。

その点でも、サマーキャンプはまさに都市部の富裕層がターゲット。
コロナ以後の新たなインバウンド施策にピッタリです。

それにサマーキャンプを通じて、富裕層の子供に日本のファンになってもらえば、大人になった後も再び日本旅行に来てくれることでしょう。

これは将来のインバウンドのための”種まき”でもあるのです。


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