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読書感想文【栗山ノート】栗山英樹著

こんにちはコウカワシンです。

今回、栗山英樹(くりやま・ひでき)さんの著書【栗山ノート】を読んで感じたことを書かせていただきます。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)2023では見事、侍ジャパンが優勝を決めました。

なんといっても大谷翔平(おおたに・しょうへい)選手をはじめとする日本を代表する野球選手たちの大活躍で優勝を決めることができたのですが、忘れてはいけない人がいます。

侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹(くりやま・ひでき)さんです。

栗山さんは、コーチ経験もなく北海道日本ハム・ファイターズの監督に就任し、周囲の心配をよそに名選手を育て上げ続ける知将として知られています。

その礎になったのが、野球を始めた小学1年から毎日書き続けている「野球ノート」です。

本書は、その「野球ノート」に綴られた言葉の数々から、人と組織と自分自身の育て方を解説したものです。

栗山英樹(くりやま・ひでき)人物像

栗山英樹(くりやま・ひでき)さんは、1961年4月26日に東京都で生まれました。中学、高校、大学を経て、ヤクルト・スワローズにドラフト外(テスト生)で、入団します。

自分は指名され即戦力として期待されているわけではないので、チームの勝利に貢献できる自分になることを強く意識されていたそうです。

小学1年、野球を始めたころからつけていた野球ノートは、プロになってからも続き、練習後や試合後にノートを書くことを習慣化されました。

しかし、監督の狙いどおりにプレーできなかった、チャンスで凡退したこと、失点につながるミスをしたときなどは、ペンを持てない日があったといいます。

2012年に日本ハム・ファイターズの監督になってからは、シーズン前のキャンプから必ずノートを開き日記感覚でつけていったといいます。

ノートに書くことは、「自分自身で気づくこと」「選手やスタッフに気づかされること」が主で、チームを勝たせることができなかったり、勝っても反省点があったらそれを書くことで、頭の整理ができるそうです。

プロ野球選手になってからメニエール病を発症したため実働7年と短く、引退後はスポーツキャスターとして活動し、コーチ経験もないままファイターズの監督という重責を担ったからには学び続けなければいけないと感じたそうです。

古今東西の古典を中心に読書を重ね、自分の立ち位置を考えながら野球ノートをつけ、そこから野球を野球の常識だけで読み解くべきではないという思いにたどり着かれました。

そこから『四書五経』などの古典経営者の著書から抜き出した言葉で埋め尽くされていったとのことです。

このように栗山さんは、たいへんな読書家であり、読書で得た先人偉人の智慧と自分自身の経験を合わせて血肉にされていったのです。

「ノート」を書く目的は?

本書から感じた栗山さんが毎日ノートを書く目的が次の通りです。

  • 自分自身の頭の整理

  • 自分が他者や現状に対してどのような行動を取るべきかの参考

  • 自分が前に進むための思考をするため

人間、悩みや頭の中にあるモヤモヤは、一度頭から出して書き出す(言語化する)ことでかなりスッキリ整理されるといいます。

そうすることで、今後の行動の参考になり、ポジティブに前に進んでいけるということでしょうね。

何を「ノート」に書くのか?

「ノート」に書くといっても何か軸になったり、今後に向けた参考になることが必要です。

栗山さんは、次のようなことを「ノート」に書き留めています。

  • 古今東西の古典や経営者の著書から抜き出した言葉

  • 今日の出来事(チームが勝てなかったこと、勝っていても反省点)

  • 自分自身が気づいたこと、他人(選手やスタッフ)から気づかされたこと

すべては、自分の学びになるということですね。

古典や経営者の言葉というのは、たとえ大昔だったとしても、どれもその人の経験から来たものばかりです。ですので、現代人のわたしたちにとってもとても重要なことだと思います。

「ノート」をどのように活用すべきか

せっかく書き留めた「ノート」も、ただ書いているだけでは意味がありません。

そのノートをどのように活用すべきかは次の通りです。

  • 「ノート」によって明らかになった自分の現地点を確認する

  • 自分が他者や組織(チーム)に何ができるかを考える

  • 自分がこれからどうしたいかを言語化して確認する

「ノート」を書くことにより、頭が整理されると自分の置かれた現地点が明確になります。

栗山さんはたえず「自分の責任を果たせているだろうか」と自問自答されているそうです。自分やチームが不調にあえいでいるならなおさらです。

そんなときに書き写したたくさんの言葉から、苦しみと真正面に向き合うことができ、苦難を乗り越えた先には、苦しみ自体が意味があることだったと思えるのです。

前向きになるためには、それなりの準備が必要ということですね。

「ノート」は、頭の中を整理させ、自分の立ち位置(監督として、仲間として、人間として)チーム内でどのように振舞えばいいかを教えてくれる

「ノート」とは、日記の意味合いもあるでしょうけど、将来の自分に向けての所信表明でもあると感じました。

人間は、何ごとも準備ができていないと、なかなか成果のともなう行動ができないものです。

「ノート」はその準備ということです。

そして先人たちの言葉が、教えが、生き様が、支えにもなってくれます。

スポーツでも仕事でも、人間関係の構築でも、何かを生み出す途中には何かと苦難や悩みがあるかもしれません。

そんなときにこの本書『栗山ノート』に綴られた言葉たちが何かしら答えをくれるかもしれません。

指導者やリーダーのみならず、部活とかで頑張っている学生さんたちにも響くのではないでしょうか。

ぜひご一読いただきたい一冊であると感じました。


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