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#短編
短編【蛍光灯のノイズ】小説
客の出入りを知らせる軽快なチャイムの音。
温めますか?袋はご利用ですか?
という店員の声。
お願いします。いえ、結構です。
という客の声。
トイレを使うためだけに急ぎ足で駆け込んでくる足音。
新商品を何度も繰り返し宣伝する店内放送。
商品を手に取りカゴに入れる摩擦音。
そして、コピー機の電子音。
コンビニエンスストア『リトルエレファント』では、そういった音が同時に、あるいは間をあけて溢れている
短編【主よ御許に近づかん】小説
主よ。
私は貴方の為に煉獄へ逝くのです。
たとえどんな恐ろしい業火に焼かれようとも私の心は天国にあります。
貴方と共にいます。
ですが決して貴方の御名を口には出しません。
それどころか私は貴方のことを口汚く罵ることになるでしょう。
そんな事をする度に、いえ、そうしようと考えるだけで、この身が引き裂かれる思いです。
我慢なりません。
私を罪から清めてください。
私は自分の背きを知っています。
そ
短編【ネコミミパンダのチャーム】小説
どうして彼女にだけ視線が行ってしまったのか。その理由を探してみても今となっては分からない。そもそも理由なんてなかったのかも知れない。
あの人はバス停のベンチに腰掛けていた。
彼女だけがぽつんと一人で座っていたというのなら気に留めてしまったとしても理解はできる。
だけどバス停には彼女以外にも人がいたのだ。三人掛けのベンチには彼女の他に足を大股に広げ右足を小刻みに揺らしているスーツ姿の男が座って