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【何冊読んだことありますか?】これだけは読んでおきたい海外文学20選(2014年5月号特集)


20世紀海外文学ベスト10

変身:フランツ・カフカ

 ある朝、悪い夢から目が覚めると、一匹の大きな虫に変身していたというヘンテコな小説。死後、サルトルなどの実存主義作家に再評価され、世界的なブームに。プルーストやジョイスと並ぶ20 世紀文学の開拓者と評価されるカフカの不条理文学。

若い芸術家の肖像:ジェイムズ・ジョイス

ジョイス自身をモデルにしているらしい芸術家の、幼児から大学生の頃までの意識の中を書いた小説。どこまでが現実で、どこまでが頭の中で考えたことか分からないような書き方をしている。人間の意識の中を覗くように鑑賞できる小説。

チャタレイ夫人の恋人:D・H・ロレンス

チャタレイ夫人の夫は戦場で負傷し、下半身不随となる。夫人はセックスレスということより、人間として見られていない寂しさから森番のメラーズと情事にふけり、真の愛に気づいていくという物語。今読むと、特に猥褻でもなんでもない。

異邦人:アルベール・カミュ

母親の葬式の翌日、彼女と海で泳ぎ、喜劇映画を見て、関係を結ぶ。その後、アパートの隣人のアラビア人をピストルで撃ち殺し、裁判でなぜやったのかと聞かれると「太陽のせいです」と答える不条理小説の最高傑作。ノーベル文学賞受賞作。

蠅の王:ウィリアム・ゴールディング

灼熱のジャングルに子どもたちが数十人いる。設定は少年冒険物語のようであるが、子どもたちは意見をまとめられず、建設的な仕事もできない。そして、二派に分かれて闘うようになり、相互不理解の悲劇が繰り広げられる。社会性崩壊の物語。

軽蔑:アルベルト・モラヴィア

リッカルドは妻エミリアの心変わりに悩む。なぜ愛が覚めたのか。そして問いつめると、もう愛していない、あなたを軽蔑していると言われる。
リッカルドの苦悩とエミリアの魅力がよく分かり、ラストに切なくなる、愛の不毛を描いた一冊。

ロリータ:ウラジミール・ナボコフ

ハンバートという学識ある男は幼い少女に魅力を感じてしまう性向があり、12 歳のロリータに会い、一目で恋に落ちる。その後、ロリータの母親が死に、男はロリータを連れてアメリカ中を放浪する。異常性愛の物語というだけではない傑作。

イワン・デニーソヴィチの一日:アレクサンドル・ソルジェニーツィン

ソ連時代の悪名高い収容所、その囚人の姿を描いた小説。主人公はただ生き抜くために全精力を使っている。
不思議にユーモアがあり、人間は食べて生きている、ということを感じずにはいられない人間文学。作者は1970 年にノーベル文学賞受賞。

百年の孤独:ガルシア・マルケス

南米の町を舞台に、その町がどう生まれ、栄え、衰亡していくかを百年の歴史として構築。その歴史の中にいる一族の六代にわたる家族小説。
1982 年にノーベル文学賞を受賞し、世界中でブームになったマジックリアリズムの傑作。

存在の耐えられない軽さ:ミラン・クンデラ

舞台はチェコ。テレザはトマーシュという男と結婚する。男もテレザを愛している。なのに男はセックスしないではいられない漁色家。歴史とは何かに迫る大きな小説であり、哲学小説と呼びたいほど奥が深いが、一方でポルノすれすれの性愛文学。

近現代文学ベスト10

罪と罰:ドストエフスキー

大局的な正義のためなら法や規範をも超越する資格を持つという独自の理論を持つ青年ラスコーリニコフは、あこぎな高利貸しの老婆アリョーナとその妹を殺害。老姉妹殺害犯を追う敏腕予審判事との間で壮絶な心理戦、頭脳戦を繰り広げる。

カラマーゾフの兄弟:ドストエフスキー

直情的な長男、皮肉屋で知的な次男、皆に愛される敬虔な三男の物語。三人の父親フョードルの他殺体が発見され、長男に嫌疑がかかる。裁判は進むが、判決前日に使用人が自殺、次男は発狂、不穏な事態が絶えないなか、ついに運命の判決が下る。

戦争と平和:レフ・トルストイ

ピエールは莫大な遺産を相続するが、なんのために生きているか分からない。その親友のアンドレイは勇敢な軍人で、二人はナターシャに恋をするが、三人はナポレオンのロシア遠征に巻き込まれていく。559 人の人物が登場する大長編小説。

アンナ・カレーニナ:レフ・トルストイ

政府高官の妻アンナは若い将校と不倫の末、彼の子供を出産する。しかし、夫は世間体から離婚に応じない。
将校はアンナを連れて国外に出奔するが、社交界から締め出され、アンナは将校の愛情まで疑い、絶望する。
世界文学史に残る一大巨編。

クリスマス・キャロル:ディケンズ

スクルージは冷酷でエゴイスト。マーレイの葬儀でも布施を渋り、まぶたの上に置かれた冥銭を持ち去る守銭奴ぶり。クリスマスの前夜、マーレイの亡霊が現れ、自分の将来を見せられて心を入れかえる。愛と感動のクリスマスプレゼント。

ゴリオ爺さん:バルザック

パリの貧乏下宿の屋根裏部屋で、嫁いだ二人の娘に全財産をつぎこむゴリオ爺さん。その孤独の死を看取ったのは、いつか社交界に打って出て出世しようと野望をたくましくする田舎出の青年ラスティニャック。小説群・人間喜劇の要となる作品。

ボヴァリー婦人:フローベール

エマは結婚生活に幻滅し、レオンに惹かれるが、レオンはパリに去っていく。次にロドルフと関係するが、捨てられる。3 年後、エマはレオンと再会。一方、贅沢のため借金がかさみ、どうにもならなくなる。19世紀リアリズムの代表的小説。

白鯨:メルヴィル

船長エイハブは、片足を奪った白鯨に復讐心を燃やしている。そして、白鯨を発見、追跡するが、死闘の末に船長は白鯨に海底に引きずり込まれ、船も沈没する。鯨の生態と捕鯨の実態を織り込みながら、船長の悲劇的運命を描いた大作。

キャッチャー・イン・ザ・ライ:J・D・サリンジャー

ホールデンは学業不振で退学処分となり、寮を飛び出してニューヨークに戻る。妹に何がしたいの?と聞かれ、「崖から落ちそうになる子ども
をつかまえる」と言う。欺瞞に満ちた大人社会への反逆を描き、全世界で6000 万部読まれた普及の名作。

グレート・ギャッツビー:スコット・フィツジェラルド

ニューヨーク郊外の高級住宅地に住むニック。その隣人のギャツビーは毎夜豪華なパーティーを開き、ニックも招待される。第1次大戦後のニ
ューヨーク郊外を舞台に、元恋人を取り戻そうとする男の悲劇的な生涯を描いた名作。

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※本記事は「公募ガイド2014年5月号」の記事を再掲載したものです。

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