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なかにし(nia)
2018年4月19日 12:57
僕はどうして人間なんだろうと考えたことがあるか。世界はどうして透明なんだろうと考えたことが。或いは空の色を移したバターの味だとか、それらがトーストの上で溶けていく速度について。愚かな君と僕の300日後については後で話そう。あっという間の50日を突破して、残りの15日は誰かにあげる計画でもいいな。夕焼けの燃える世界の意味は。月がわざわざ満ち欠けをして、星がその遺影を夜に残し続けていく意味は
2016年8月31日 23:44
空と海って似てるね。とろむ空に、さっきまでなかった小さな光をみつけて、一番星をみつけて、思わず泣いた。豆電球の灯りみたいな光の粒にどうしようもなく泣けてくる。長くなった煙草の灰がぽたりと落ちた。———2016.06.14 スマートフォンのメモより明け方だったのか、真夜中だったのか。と思ったら19:44だった。
2016年8月25日 21:49
誰も居ない教室で、机に頬を引っ付けて窓の外を見ていた。木々に遮られる視界の向こうにプールが見える。ピッという耳につく笛の音、バシャバシャと水を打つ小麦色は簡単に想像がつく。グラウンドからは野球部の掛け声が微かに届き、どこかで練習しているらしい吹奏楽部の間抜けなスケールは時折止まりながら中庭や駐輪場に響いている。 すっかり着慣れた制服は、今となっては自分のキャラクターに一番合った着こなしというも
2016年7月22日 00:51
自分一人では歩けないと思っていた道を、手を引いて歩いてくれる影があった。それはいくつもいくつも重なって、ゆるやかにえいえんにわたしの手を握ってくれた。けれど、それじゃあだめなんだって。一人で歩けなくちゃ意味が無いんだって、わたしは言った。影は離れなかった。わたしには、手を離す勇気がなかった。手を離すくらいなら、繋いだまま腕を切り落とす方がましだと思った。そのまま死んでし
2016年7月20日 16:15
透明な蜻蛉を抱いて、笑う少女がいた。夏の青い空に照らされて、地面から雨のにおいはすっかりと消えてしまったらしい。青い鳥を肩に乗せた少年は、仄暗いトンネルの向こうへどんどんと進んでいく。 ぎざぎざに割れた空き瓶の欠片で、僕たちは緑色の血液を作った。流し込む先には、もう既にきらきらした音が待っていると知っていた。透明な蜻蛉は日向に揺れて、もう誰も笑ったりはしなくなるけれど。 あ
2016年7月20日 16:02
何者でもない人の声を聴きたいとおもった。何者でもない誰か。だけど確かに息をしている人。やさしくて、臆病で、月の匂いがするあの子は今どこで、誰の隣で眠っているんだろう。天の川を溶かしたら、夏の終わりにきみに会えるかな。