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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#箏

「亀山香能 箏曲コンサートⅤ ―語り伝えて―」

「亀山香能 箏曲コンサートⅤ ―語り伝えて―」

山田流箏曲家の亀山香能さんのコンサート。
2019年から始まった「箏曲コンサート」の5回目になります。

ご承知の通り、お箏にはざっくり分類すると、生田流と山田流という2つの流派があります。
山田流は、「山田検校が、河東節や謡曲を参考に、物語のような内容を持った新しい箏曲として江戸で創始した流派」(文化デジタルライブラリーより)ということで、軽やかな箏の音にボリュームのある歌が特徴といえます。

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「ラガヴーリン62 第10回記念公演 箏・三絃・胡弓コンサート」

「ラガヴーリン62 第10回記念公演 箏・三絃・胡弓コンサート」

東京藝術大学邦楽科生田流箏曲同期生の会の演奏会です。
62とは、大学を卒業された年とのこと。
それから30ウン年?
それぞれが演奏活動を続けられてきて、このコンサートで一同に会します。

大学に入るまでのバックグラウンドも、卒業してからの環境も音楽性も様々。
ある意味、メンバーの共通点は、あの時あそこに一緒にいた、というだけと言っても過言ではないと思います。
そんな方々が、30年以上もそれぞれの

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「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

1994年に新しい邦楽システムを作ろう、と旗揚げされた「雅びの会」。
その東京支部の演奏会です。

入り口でチケットを提示すると、モギリの方が「どうぞ楽しんでいってください」と声をかけてくださいました。
そのお言葉通り、たっぷり楽しませていただきました。

全14曲。
自身も箏を演奏する作曲家達の、弾いて楽しい、聴いて楽しい曲が次から次へと現れます。
演奏者は、プロアマ問わず、箏の流派も問わず

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「和と洋の響演 上下天光 其の参」

「和と洋の響演 上下天光 其の参」

バリトン・ピアノ・篠笛・箏という不思議な4人組。
音楽の玉手箱を開けたかのように、きらめく曲が次から次へと現れて、目を離す、もとい、耳を離す隙もありません。
実は超絶技巧満載らしいのですが、それを全く感じさせず、さらりと演奏されている4人をみていて、以前パーカッショニストの會田瑞樹さんがおっしゃっていた言葉を思い出しました。
「音楽の下僕たれ」
まさに、音楽の下僕たる4人組です。

前半は、二人

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「木村麻耶 箏リサイタル ~音楽でシエスタ~」

「木村麻耶 箏リサイタル ~音楽でシエスタ~」

西国分寺で古民家を再生した建物で1983年からクラシックのハウスコンサートを開催されている「りとるぷれいミュージック」さま。
今回登場されたのが木村麻耶さんです。

いつも思うのは、お箏はどこで演奏されるかによって、音が大きく変わるということ。
桐の木でできたお箏は、木造の建物の中で演奏されると、本当に柔らかい「お箏らしい」音になるとしみじみ感じます。
ホールで聴くことが多いですが、そんな建物での

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「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

紀尾井ホール小ホール。
生田流箏曲白秋会を率いるお家元の会。
江戸時代の曲を、箏・三味線・胡弓で演奏。

と聞くと、
堅苦しそう、かしこまって聞かなくてはならなくて、そして眠そう。
そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、そのイメージが覆る「演奏会」ではなく「ライブ」でした。

幕開けは2面の長磯箏で「みだれ/京みだれ」
長磯箏は、豪華な装飾がなされたお箏です。
蒔絵や螺鈿、鼈甲で彩ら

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「箏と写ー生々流転」

「箏と写ー生々流転」

千葉県誕生150周年記念いちかわ芸術祭のイベントの一つとして、開催されたコンサートです。
市川市にある千葉商科大学の学生制作映像によるコラボレーション・コンサートとのことで、中山法華経寺本院大客殿にて開催されました。

会場は、お寺の大広間。
バックの襖には、河瀬 蛙友氏による水墨画「敦煌莫高窟・三危山」が描かれています。

演奏された5曲のうち3曲は、そのふすま絵に、曲に合わせて制作された映像

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「音のカタログVol.11」

「音のカタログVol.11」

邦楽器を使った曲を作る、西洋音楽の作曲家さん達のグループ、〈邦楽2010〉によるコンサートです。
前回は2021年10月に第10回が開催され、お邪魔しました。
いろんな曲が次から次へと登場し、とても楽しかったことを思い出し、今回も足を運びました。

作曲家の方は、普段は、ご注文があって初めて、曲を作るのでしょうか。
依頼者の意向や、制約の中で作曲されることが多いのかなあと思います。

この「音

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「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

二十五絃箏を作られた野坂操寿さんの娘さんでいらっしゃる、惠璃さんのリサイタルです。
とても、とても、素敵でした。

「赤とんぼ」
右手の爪音からトンボが飛び回り、左手からは茜色から藍色に移り変わる空と秋の空気が立ち上ります。
「雪は降る」
音が鳴っているのに、雪に吸い込まれた無音の世界が広がります。
辺り一面、真っ白で、何も見えず、何も聞こえない世界。
音が鳴っているのに。
「胡哦」
美しい美し

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「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

明日佳さんの、待望のソロ琴ライブ。
とても良かった!面白かった!楽しかった!
美しい和室で、PAもエフェクターも無し。
目の前で演奏される箏音をダイレクトに浴びるという、とても贅沢な時間でした。
明日佳さんのまっすぐな演奏は、とても清々しくて、心が洗われるようでした。

ポイントは3つ
1.箏の生音
2.アナログ
3.お客様

プログラムは、
前半は明日佳さんオリジナル曲で「世界を駆ける、お琴

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「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

昨年行きそびれてしまった山本亜美さんのリサイタル。
ようやく行くことが出来ました。
今年のテーマは「手繰る、みちしるべ」
様々なご縁が繋がり実現したという、貴重なプログラムを披露してくださいました。

まずは何と言っても、「太助箏」
江戸時代の名工、菊岡太助が作った箏が、100年以上の時を超えて、舞台に登場しました。
美術館のコレクションになってもおかしくない、骨董品のような楽器です。
それが、

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「お茶の間サイズの現代音楽史♪ 作曲家山本和智 自作を語る」

「お茶の間サイズの現代音楽史♪ 作曲家山本和智 自作を語る」

山本和智さん作曲のウワサの「糸電話」が演奏される、と聞いて馳せ参じました。
公益財団法人うらやす財団主催「現代音楽レクチャーシリーズ お茶の間サイズの現代音楽史」(全6回)の最終回。

楽しそうなシリーズですが、その存在を知ったのが最終回、というのが悔やまれます。
それでも、とても聞きたかった「糸電話」ならぬ、「3人の箏奏者と室内オーケストラのための『散乱系』」を体感出来て、とても楽しかったです

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「The 箏 KOTO spin-off」

「The 箏 KOTO spin-off」

深海さとみさん、福永千恵子さん、吉村七重さん
大御所お三方による「The 箏 KOTO」の4回目の公演です。

サブタイトルはspin-off。
これまでは大曲が多かったのですが、皆さまの声にお応えして、「聴きやすい曲」にしてみたとのことです。
確かに、他の演奏会でも耳にしたことのある「聴きやすい曲」のラインナップです。
ですが、全然違います。

トップバッターは福永千恵子さん「鳥のように」

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「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

2日前はオール長澤勝俊作品でしたが、今回はオール伊福部昭作品です。
長澤作品が「湿った日本の風土」だとしたら、この度の伊福部作品は「乾いた西アジアの風」。
演奏スタイルも、大合奏とは対照的に、お一人だけでの演奏です。
一音一音丁寧に紡ぎ出される音を聴いているうちに、いつの間にか伊福部ワールドに引きずり込まれていました。

プログラムは3曲ながら、いずれも大曲ばかり。
「胡哦(こが)」
「胡人のう

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