見出し画像

「亀山香能 箏曲コンサートⅤ ―語り伝えて―」

山田流箏曲家の亀山香能さんのコンサート。
2019年から始まった「箏曲コンサート」の5回目になります。
 
ご承知の通り、お箏にはざっくり分類すると、生田流と山田流という2つの流派があります。
山田流は、「山田検校が、河東節や謡曲を参考に、物語のような内容を持った新しい箏曲として江戸で創始した流派」(文化デジタルライブラリーより)ということで、軽やかな箏の音にボリュームのある歌が特徴といえます。
 
今回、1曲目の中能島欣一作曲「千代田の雪」では、
前列に箏8名、尺八1名、後列に歌が9名、という編成でした。
「合唱団」みたいですが、この歌が、とても良いのです!
お箏の歌は、学校で習う西洋の発声とは違って、とても自然です。
一人一人の声が重なり合って、不思議な音が鳴り響きます。
ずーっと聴いていると恍惚状態に陥ります。
山田流のお歌は、お箏に興味がない方にも、是非とも一度は聴いていただきたいです。
 
2曲目は亀山さんが演奏する古典の「乱(みだれ)」に合わせて、鈴木福さんが「つきのうさぎ」(いもとようこ文)を朗読する、という趣向でした。
すっかり好青年になられて芸能界ひっぱりだこの福さんですが、ご家庭が邦楽ご一家とのことで、ご本人もお箏を弾かれます。
きっと曲はすでにご存じなのでしょう。
ぶっつけ本番に近かったようですが、お話と曲とがぴったりと合い、はじめからこの取り合わせで一つの作品であったかのようでした。
「乱」は、今後はこの組み合わせで聴いていきたいなあと思いました。
 
3曲目は「岡康砧」
元々山田流箏曲であったものが途絶えてしまい、胡弓の曲として残っていたとのこと。
明治20年代に胡弓曲から箏曲へ編曲し、再び日の目をみることになったそうです。
今回の演奏は、中能島欣一編曲版を生田流の箏曲家と演奏するというものでした。
密かに楽しみにしていた遠藤千晶さんと岡本慎太郎さんのご登場です。
田辺頌山さん、つい先日も拝聴いたしましたね。
 
4曲目は大曲の「石山源氏(上・下)」
こちらは山登松和さん、善養寺惠介さんがご登場。
ゲストが豪華すぎて目がくらみますが、曲も素晴らしく素敵でした。
歌詞の多くは、能の「源氏供養」の抜粋とのことで、歌は謡いのようでもあり、台詞のようであります。
箏・三絃・尺八だけで、幽玄の世界がふわーっと広がります。
 
とても贅沢で心洗われるひととき。
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
 
*「さん」とお呼びするのは、大変失礼であると重々承知しておりますが、「客席からの眺め」では、「先生」方も、「さん」付けで表記させていただいております。何卒ご了承くださいませ。
 
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
https://kotonoha-1tw1.glide.page/dl/d0a5f4
 
*************
会場 北とぴあさくらホール
日時 2024年8月4日(日) 14:00 
プログラム
フリートーク 司会:野川美穂子
一、 千代田の雪 岡田八千代作詞/中能島欣一作曲
  歌・箏:亀山香能 桐香会
  尺八:川村葵山
二、 乱による『つきのうさぎ』八橋検校作曲/いもとようこ文
  箏:亀山香能
  朗読:鈴木福
三、岡康砧 作詞・作曲者不明/中能島欣一編曲
  箏替手:亀山香能
  箏本手:遠藤千晶
  三絃:岡村慎太郎
  尺八:田辺頌山
  歌:中彩香能
四、石山源氏(上・下) 千代田検校作曲 
  歌・箏:亀山香能 上村和香能 佐々木千香能
  歌・三絃:山登松和
  尺八:善養寺惠介
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?