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神と神の“結びつき”人生も“糸”を紡いで。元伊勢一二〇 神話は今も生きている ことの葉綴り四五〇

神さまの御衣を織る「機織り」三度目

こんにちは。五月も最終週ですね。いかがお過ごしですか?
今日は、お仕事の合間に、「ことの葉綴り」のひとときです。今日noteを開くと嬉しいお知らせが! 皆さんいつも、ありがとうございます!!

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早速ですが、神話の物語へ。“機織り”について三回目となりますが、ご一緒に“時空のトリップ”へ。今日は、神代の物語に戻ってみます。


「この神風の伊勢の国は、常世(とこよ)の浪の重浪帰(しきなみよ)する国なり、傍国(かたくに)の可怜(うま)し国なり、
この国に居(お)らんと欲(おも)ふ」


天照大御神さまは伊勢の国の五十鈴の宮にお鎮まりになられました。
この五十鈴の宮は、天照大御神さまが、高天原から地上への御戸を開かれて、ご覧になり、お気に召されたところだったのです。

倭姫命さまは、皇太神(すめおほみかみ)さまのすぐお側に「斎の宮(いつきのみや)」をお建てになりお仕えされて、すぐさま、天照大御神さまのお召しになる神御衣(かんみそ)を、織るための機屋を建てて、天の棚機姫神(たなばたひめのかみ)の孫の八千千姫命(やちちひめのみこと)に、神御衣(かんみそ)を、織るようにお命じになられました。

天の棚機姫神(たなばたひめのかみ)は、天照大御神さまが、「天の石屋戸」にお隠れになったときに、八百万の神たちが話し合いをして、なんとか天照大御神さまに石屋戸からお出になっていただこうと、それぞれが使命を果たされましたときに、天照大御神さまの神御衣(かんみそ)を織られた女神さまでした。

今回は、天照大御神さま、高天原での、「機織り」に関する物語です。

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天照大御神さまの「天の石屋戸」物語

と、そもそも、天照大御神さまが天の石屋戸にお隠れになる原因
それは、須佐之男命(すさのおのみこと)さまの、大暴れ、でした。
そこも、振り返ってみますね。

“神さまも失敗して成長した”シリーズ(^^)
唯一神とはちがい、八百万の神々は、とっても愛嬌もあり、長所も欠点もあり、本当に、私たち人間とおなじようで、愛おしいです。

天照大御神、忌服屋(いみはたや)に坐(ま)して、神御衣(かむみそ)織らしめたかひし時、その服屋(はたや)の頂(むね)を穿(うが)ち、天の斑馬(ふちごま)を逆剥(さかは)ぎて堕い入るる時に、天の服織女(あめのはたおりめ)見驚きて、梭(ひ)に陰上(ほと)を衝きて死にき。「古事記」より

天照大御神さまの弟の須佐之男命(すさのおのみこと)さま。高天原に上られてきてから、どんどんと暴れん坊ぶりが激しくなっていってしまい……高天原にある、天照大御神さまのための御衣(みそ)を織る、清浄な機屋(はたや)。その屋根の天上から、皮をはいだ馬を投げ入れてしまします。
天の服(機)織女(はたおりめ)たちは、驚いて逃げまどいますが、一人の服(機)織女(はたおりめ)が、衝撃のあまり、糸を通す梭(ひ)という道具が、女性の陰部につきささって亡くなってしまったのです。
……天照大御神さまは、あまりのことにショックを受けられて……・
そして、天の石屋戸へとお隠れになられた……、という物語です。

天の石屋戸 天照大御神 須佐之男命⑦ことの葉綴り。其の百


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神さまも“失敗”して成長・変容する愛すべき神話

すでに、神代、高天原の天上界の物語にも、「服(機)屋」は、神さまの御衣(みそ)を織るとても清らかなところと綴られています。
そこで、糸を紡ぎ、機を織る天の機織女(あめのはたおりめ)たちが、神さまに奉る神御衣(かんみそ)を、織っているのです。

この「天の石屋戸」の“ひきこもり”の物語を通して、天照大御神さまは、太陽の女神さまへと“成長”なさっていくのですね。

暴れん坊の須佐之男命(すさのおのみこと)さまも、その後、高天原を追放になり、地上へと降りられて、愛し守るべき女神と出会い、英雄神へと、成長「変容」なさっていきます。

須佐之男命(すさのおのみこと)さまの子孫にあたる、大国主命(おおくにぬしのみこと)さまも、“いじめられっ子”から成長されていきます。

神話の物語って、ほんとうに、私たちと同じように、神さまたちも、悩まれ傷つかれ、苦悩されて、失敗もたくさんされて、そして成長されていく……それが、おもしろいです!! 
私たちの「生きる」ヒントになってくれます。
それも、時空を超えて、いえ、一っ飛びして、私たちを、その心を、イメージを神代の天上界へと、運んでくれるのです。

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神と神の“結びつき”人生も“糸”を紡いで。

神代の「天の石屋戸神話、そして二千年前、倭姫命さまも、その神代のままに天上界のままに天の機織女(あめのはたおりめ)である「天棚機姫神(あめのたなばたひめのかみ)」さまの、孫神の「八千千姫命(やちちひめのみこと)」さまに、天照大御神さまに奉る神御衣(かんみそ)」を、織るようにお命じになられたのです。

高天原→伊勢の五十鈴の宮→そして……現代。
でも、伊勢の神宮では、五月と十月に、天照大御神さまにお供えする絹と麻のお召し物を、古式のまま織り奉る神御衣祭(かんみそさい)」が執り行われます。
それもこれも、伊勢の五十鈴の宮に天照大御神さまがお鎮まりになられたときに、倭姫命さまが、このご神事をお定めになってくださったからこそ! 
それ以来、ずっとずっと……令和の現在も、古式ゆかしき織り方で、糸を紡ぎ織っていく……。

また、神話の神さまと神さまの「物語」には、さまざまな“結びつき”を発見することができますし、「あっこの神さまと、あちらの神さまって、ここでつながってる」と、見つけたときの、喜び
ちょっと、幸せな気持ちになれるのです。

糸を紡ぎ、機織り機に糸を通し、縦の糸、横の糸と機で布を織っていく……この“作業”“工程”そのものが、どれほど、神聖なことか。
そして「機織り」って、神代からある、神聖な“お仕事”でもあります。

また、糸を紡ぎ、縦糸・横糸を織りあげていく様は、私たちが、生まれ、育ち、出会い、別れ、泣き、笑い、怒り、嘆き、手を合わせて祈り、感謝し、それでも生きようとする、「いのちの旅」の人生そのものでもありますね……。

機織りのことで、三回も費やしました(笑)長くなりました(ペコリ)

おつきあい、ありがとうございます。
noteでの出会いとそのつながりの糸にも感謝です。
皆さまが、一瞬でも、高天原の神々や物語を、すぐ身近に感じられ、二千年前の倭姫命さまの、天照大御神さまへの真摯な尊い祈りの心も、伝わっていると幸いです。
いつも、ありがとうございます

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―次回へ
#一度は行きたいあの場所

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