根源に繋がりしなやかに生きる「倭姫命世紀」ことの葉綴り九〇四回
一粒万倍日+神吉日+母倉日
おはようございます。八月二十二日(月)。今日の暦は、六曜は「先勝」で、午前が吉。先んじることで幸を勝ち取るという日。十二直は「閉」で、“閉じ込める”のに良い。金銭を銀行などの納める(閉じ込める)、お墓を建てる、穴が開いていたら塞ぐなど。貯金するにはいい日です。二八宿は「張」で、お参り、祭祀、婚礼、就職、お祝いごとに吉。種まきに大吉。
そして、吉祥日の「一粒万倍日」。一粒の種が万倍に実るとされます。婚礼、引越し、開店開業、新しいことを始めるのによい日。宝くじ購入も、お財布新調もありですね。
さらにご神事やご先祖供養によしの「神吉日」と、天が人々を母のように慈しむ「母倉日」です。
今週も、皆さまお元気でお過ごしくださいね。
初の夫婦神、伊邪那岐・伊邪那美さまの神話より
天照大御神さまにお仕えされて、各地をご巡幸され、伊勢の神宮をご創建された倭姫命さまの<一代記>とされる「倭姫命世記」。
この物語の、”はじまりと終わり”に、倭姫命さまが、天照大御神さまのご神慮による訓えがあります。
それを理解するために、神話の神代の物語に遡ります。
初の夫婦神となられた、伊邪那岐命さまと、伊邪那美命さま。
ご成婚の儀式として、高天原の「天の御柱」を、伊邪那岐命さまは左廻りをされて、妻の伊邪那美命さまは右から廻られて、妻の側が最初に「まあなんていい少男(おとこ)」と声をかけます。けれど誕生した赤ちゃんが蛭子となり、流れてしまわれ、たいそう悲しい想いをされます……。
そして、高天原の神々にご相談をして、成婚の儀礼をやりなおしされた……という下りがあります。
今度は、伊邪那岐命さまは、「天の御柱」を左廻り、妻の伊邪那美命さまは右から巡り、次に、伊邪那岐命さまから、「なんといとしい少女(おとめ)よ」と、声をかけられました。
そして、この後、国生み、神生みをされていくのです。
元を元とし、本を本とする
元を元とし、
本を本とするゆえなり
長くなりましたが、倭姫命さまの仰られる、「左々右々」は、この神代のことまで、遡るのだろうとされています。
神さまにお仕えするお祀りするというのは、古来からの伝わってきた習わしを大切に、違うことがないように、それが大切なのですということです。
これ、普段暮らしていると、わかりづらいかもしれませんが、ご神事や儀礼においては、「元型」というのは、とても大切な気がします。
その神さまに“つながる”というか、神聖さのテンプレートを“降ろす”というか、森羅万象、自然の神々の働きに、“同調”させていただくというか……今も、祭祀において、儀礼、祭祀の手順をとても重要視します。
全国の神社それぞれに受け継がれるものあれば、その古来からの習わしにそって執り行われています。
変わりゆく流れに委ねつつ、変わらない根源を持つ力
うまくいえないのですが……倭姫命さまのこの古来から訓えの、元は神代からつながる「左々右々元元本本」について。
心をこめて身体で、「左々右々元元本本」で、右の物は右に、左の物は左に、古から違うことなく、ご神事を取りおこなうことで、もしかしたら、神代の根源の祭祀、神祀りのテンプレート(元型)に、根源に繋がれるのかもしれませんね。
例えば……“時空間を超えて一つになる”といいますか……。
よく、能や狂言、歌舞伎、日本舞踊、茶道、華道など、「形」から入る芸の道がありますよね。
それだとイメージつきやすいでしょうか?
まず、大切なのが、その古来からの「形」を受けいれて心を込めて体現をしていく。
それが、その根源を感じること。
芸の道でも、その「形」があってこその、変革へと至るといいます。
倭姫命さまの祭祀における「左々右々元元本本」の訓えも、その後、歴代の皇女で、天照大御神さまにお仕えされた「斎王(いつみのみこ)」はじめ伊勢の神宮で受け継がれ、その後も、今も、伊勢の神宮で、また宮中の祭祀にも受け継がれています。
時代が変わり、変化していくこと、流れを感じることもとても大事なことですが、一方、こうした“変わらない”尊いもの、根源へとつながりをがあることも感じられる感性が、大切な気がします。
私は、「二律背反」という言葉が好きなのですが、
きっと、“変わらない尊いもの”、根源を感じながら、同時に、真逆でもある、時代の転換期の変化も受けいれて、その流れにも身を委ねることができる。
……きっと、それは、自分の生きる軸、柱になり、大地に足をしっかりつけて立ち、同時に時代の㔟いや事象で、揺らぎ動いても、ポキっと折れない竹のようなしなやかで強い軸を持てるのではないでしょうか。
これからの時代をも、「生きる力」につながっていく気がします。
いかがでしょうか?
長くなりました。また伊勢の神宮には、神代の物語を再現するご神事もあります。次回はそれを!
―次回へ。
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