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宮殿を逃げ出して 履中天皇四 神話は今も生きている ことの葉綴り七一五

実弟、墨江《すみのえ》の中津王なかつみこの謀叛

おはようございます。三連休最後の日曜日、また雨から雪になりそうです。二月十三日の暦は、六曜、「先勝せんしょう」で、午前が吉。先んじることで幸を勝ち取れるといわれる日。十二直は「あやぶ」で、物事危惧する日。何事も控えめがよし。婚礼などのお祝いごとは吉。
二十八宿は、「ぼう」で、婚礼、開店開業、移転、旅行、衣類の新調、ご神事、仏事などすべて大吉。そして、ご神事に関する吉日の「神吉日かみよしにち」です。
雨や雪の準備など先んじて、備えておくとよさそうですね。そして今夜は、『鬼滅の刃 遊郭編』最終話!(^^)

早速ですが、第十七代、履中りちゅう天皇さまの物語に入ります。

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父、仁徳天皇さまが天下を治められていた難波の宮で、皇祖神の天照大御神さまに、新穀をお供えする「新嘗祭」を終えられて、祝宴の美酒に酔い、眠ってしまわれた履中りちゅう天皇さま。
そのとき、難波の宮に、火の手が上がります。
すぐ下の弟の墨江《すみのえ》の中津王なかつみこが天皇の命を亡き者にし、皇位をわがものにしようと、反逆を起こしたのです。

燃え盛る炎
逃げ出すものたち

そこに、天皇さまの姿はありません。

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命を救った家臣、阿知直あちのあたえ

大君さま、お目覚めください!

いうがはやいか、家臣の一人、阿知直あちのあたえは、事態の深刻さに気付いたのでしょう。言葉よりも先に体が動いていました。

なんとしてもお命を守らねば……。

阿知直あちのあたえは、酔って熟睡されたままの天皇さまを抱きかかえると、こっそりと宮殿から連れ出し御馬に乗せると、一気に、大和へと向かったのです。
多遲比野たぢひの(大阪府羽曳野市)に到り、天皇さまは、酔いも収まり眠りから目を覚まさます。

宮殿で眠っていたのに……周りを見渡してもあたりは真っ暗です。

ここはいったいどこだ? 

大君さま。お目覚めになられましたか?
墨江《すみのえ》の中津王なかつみこさまが謀叛を起こされて、宮殿に火を放ったのです。
そこで、眠っていらした大君さまをお連れして、大和へと逃げるのです。

阿知直あちのあたえの話を聞いて、天皇さまは、どんなお気持ちだったでしょう。

まさか、同じ母の弟の……あの弟の墨江《すみのえ》の中津王なかつみこが……謀叛を……私の命を狙った?!……

冬も間近の深夜です。
吹きさらしの風も冷たく、また、目覚めてすぐのお身体には、その冷たさが身にしみます。
さらに、聞かされた弟の謀叛……あまりのショックに心も凍てついていきそうです。

風から身を守る屋根も、壁も宮殿もありません。
野宿することなど、生れてはじめてのことです。

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遠く燃えゆく難波の宮

多遲比野たぢひの
むと知りせば
立薦たつごも
持ちて來ましもの
むと知りせば

多遲比野たぢひので、
一夜、ここで寝ると知っていれば、
立薦こも(むしろを立てて風を防ぐもの)でも
持ってきたものを……
ああ、多遲比野たぢひので夜を過ごすと知っていれば……

天皇さまは、こんな歌を詠まれたのです。

そこから、また御馬で進まれて波邇賦坂はにふざか(埴生坂)(羽曳野市)に到られます。
この埴生坂の上から、難波の方角を振り返ってみると……
真っ暗な夜空の中に、難波の宮のあたりが、あかあかと燃え盛っていたのでした。

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#みんなでつくるアルバム
#古典がすき

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