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美智子上皇后陛下と神話 倭建命様其の三二 神話は今も生きている ことの葉綴り五五七

九月九日「重陽の節句」

こんにちは。曇り空で涼しい秋の朝、今朝も神社にお参りしてきました。
明日の九月九日(木)は、菊の節句こと「重陽の節句」ですね。
この由来は、数字の「」は陰陽五行では、陽の吉数で、九が重なる陽の数なので、「重陽」と、吉祥となります。ただ、陽と陽で、陽の気が強くなるので、邪気を祓うとされる秋の花「菊」の花で、健康、不老長寿、繁栄を願う節句なのです。
菊の花びらを浮かべたお酒や、旬の栗ご飯など、秋の味覚を味わいたい季節ですね。

九月九日(木)は、吉祥日の「一粒万倍日」、一粒が万倍に育つとされる日。六曜は、勝負なしの「仏滅」。十二直は「(とづ)」で、すべてを閉じ込めるのにいい日。支払いを納めるのもいい。
二十八宿は、「(けい)」で、樹木の植え替えに吉。建築、祭祀、参拝、婚礼、旅行も吉。そして、ご神事に関することが吉の「神吉日(かみよしにち)」です。

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弟橘比賣命さまの御陵を

さて、神話の物語に入ります。
倭建命(やまとたけるのみこと)さまの物語。

最愛の后、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまが、皇子の身代わりとなり、海の神の祟りを鎮めるために、 “人身御供”となり、入水なさいました。
倭建命さまが東征を成し遂げ、天皇の元へと還るように」という祈りと、焼津で野火に囲まれて窮地に陥りながら、我が身を気遣ってくれた感謝の想いを抱きながら、海へと入っていかれたのです。

海神の怒りは静まり穏やかな海へと戻ります。

七日後倭建命さまは、浜辺に流れ着いた、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの「御櫛」を見つけられて、その地に御陵をおつくりになり祀られました。
神奈川県横須賀市の「走水神社」さんには、日本武尊(やまとたけるのみこと、倭建命)さまと、弟橘媛(おとたちばなひめ、弟橘比賣命)さまがご一緒にご祭神としてお祀りされています。

『古事記』には、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの御櫛が流れつき、御陵をつくられた海岸がどこかは記されていません。
けれど、「走水神社」さんの由緒には、倭建命さまが御所を建てられた「御所ケ崎」「旗山崎」に、御櫛が流れつき、そこにお社を建てたとあります。

もしかしたら、弟橘比賣命さまが入水されて、海が凪ぎ穏やかになったあと、一度、御所ケ崎の岬へと戻られて、御船の修理をされて、そして上総国へと向かわれたのでしょうか?

もしくは、そのまま房総半島へと渡られて、その浜辺で御櫛をみつけられたのでしょうか……。

そんなことに想いを馳せてしまいます。

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美智子様と日本の神話


この神話の物語を、子どもの頃に読まれて、とても感銘を受けられたのが、美智子上皇后陛下であることは、ご存じでしょうか?

1988年、国際児童図書評議会(IBBY)ニューデリー大会で、「子どもの本を通しての平和―子供時代の読書の思い出」と題した基調講演をされました。

講演の中で、子ども時代に読んだ思い出の本をご紹介される中で、
小学校に入られてすぐ、戦争中だったその疎開先に、お父様が持ってきてくださった本の中に、子どものために書かれた日本の神話伝説の本があったそうです。

民族の子供時代のような太古の物語」を、とても面白く読まれたそうです。

そして、美智子上皇后陛下(当時は、美智子皇太子妃)は、神話について、こう語られています。

一国の神話や伝説は、正確な史実ではないかもしれませんが、不思議とその民族を象徴します。
これに民話を加えると、それぞれの国の地域の人々が、どのような自然観や生死観を持っていたか、何を尊び、何を恐れたか、どのような想像力を持っていたか等が、うっすらとですが感じられます。
父がくれた神話伝説の本は、私に、個々の家族以外にも、民族の共通の祖先があることを教えたという意味で、私に一つの根っこのようなものを与えてくれました。
(略)この本は、日本の物語の原型ともいうべきものを私に示してくれました。やがては、その広大な裾野に、児童文学が生まれる力強い原型です。

美智子上皇后陛下が、成長なさっていく過程で、「異国を知ろうとするときに、その国の物語を知りたいと思うきっかけ」になったといいます。
そして……。

父のくれた古代の物語の中で、一つ忘れられない話がありました。
6世紀以前の一人の皇子の物語です。
倭建御子(やまとたけるのみこ)と呼ばれるこの皇子は……

と、弟橘比賣命さまとの物語を語られていくのです。

少し長くなりそうです。
この続きは次回に!
宜しくお願い致します。

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「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
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ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
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最新のマガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。

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