介護エッセイお笑い芸人経験者@寿(ことぶき)

デイサービスの介護職員として働く元よしもとの芸人経験者。介護・介護現場で起こる出来事を…

介護エッセイお笑い芸人経験者@寿(ことぶき)

デイサービスの介護職員として働く元よしもとの芸人経験者。介護・介護現場で起こる出来事をもとに、介護の見方をポジティブに変える・介護の気づき・介護の楽しさを伝えるツッコミ目線の笑えるエッセイを描いています。40代・母70代、実家暮らしの中、母の介護を見据えて介護職へ転職。

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介護のキャッチコピー公募で賞をもらってぼくはちょっとだけ覚悟を固めた

これをミッションに掲げています。作品とはこのnoteに書いているエッセイだったりコラムだったり。はたまたキャッチコピーや作文だったりします。 全国老人福祉施設協議会・第14回 介護作文・フォトコンテスト「キャッチフレーズ部門・最優秀賞」 を受賞しましたこのキャッチコピーは、ぼくがデイサービスで高齢者介護をする中で生まれたキャッチコピーです。 ぼくは必死に利用者さんの名前を覚えて。 利用者さんはぼくの名前を少しの間だけしか覚えていない。 何度も自己紹介をするうちに、心の中

    • 解けないナンプレ

      「新聞読んでるの?」 「この数字を埋めてくやつ?難しいね意外と」 「ああ、それナンプレって言ってうちのデイサービスでもやってもらってるよ」 「毎日ね、頭使わないとって頑張ってるんだけどね」 「いいよ、無理してやらなくても。楽しくないならあんまり効果ないかもしれないし」 「・・・」夢中になってナンプレに挑む母。 ぼくには、一生懸命やっているところをアピールしている母に見えた。 ぼくが介護の仕事をしているおかげで、毎日にように介護を意識せざる終えなくなった母は、もし

      • 憧れの正社員

        はたちで上京し、30歳の時にお笑い芸人を辞めて社会に潜り込んだ。 その頃のぼくにとっては、芸人をしていた頃のほうが地上だったので、一般社会で戦っていくことが潜ることになる。 今となっては一般社会も特殊な業界や裏社会もどっちが地上でどっちが地下なのかなんて垣根が無くなってきつつあるけれども。もしかしたらお隣さんは某有名YouTuberかもしれないしTikTokerインフルエンサーかもしれないし。 芸人を辞めてすぐは途方に暮れていた。芸人を辞めたキッカケはコンビの解散だった。

        • 【書きかけ全公開】個人ブログは〇〇で楽しい

          noteで記事を書くのもの楽しいですが、個人でブログを開設して記事を書いていくのも楽しいですよ。 やっぱり個人ブログは、好きなようにデザインやレイアウトを変更したり、お問い合わせを作ったり色々できるからです。 あと、アクセス解析を見るのが楽しくなります。(開設当初はアクセスがなくてしんどい時期もありますが) アクセス解析のデータを分析して、リライトをかけた記事が検索上位に上がってきた時、飛び上がるほど嬉しかったし、文章を書く楽しみが増えました。 さらに、ブログに貼っている広

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        記事

          感情失禁(かんじょうしっきん)

          この言葉も嫌い。 脳機能の障害により「泣いたり・笑ったり・怒ったりといった感情を過度に出してしまう状態」のことを指す。 介護以外でも使われる用語かもしれないが「失禁」って。というか、大切な人との別れがあったり、映画をみたり小説を読んだりして号泣することも感情失禁じゃん。だって脳では「泣くのを我慢しよう」と思っても、止められない自然な涙もあるのだから。それも感情失禁と言うのか。認知症の方もそうじゃない方も、お年寄りも子供も関係なく感情失禁だ。 そもそも「失禁」を広辞苑で調べ

          残存能力(ざんぞんのうりょく)

          介護の勉強をしていると出てくるこの言葉。 ぼくは、この言葉が嫌いだ。 ザンゾンノウリョク。まず音の響きが好きじゃない。濁点が耳障りだし漢字の見た目もカタイ。意味はそのまま「その人に残された能力」。要するに、できること・できないことを見極めて、できることは本人に動いてもらえるように介護者が支えるようにして能力の維持に努めていきましょう、ということ。(間違ってたらすみません) 大人だから言っていることはわかる。決してネガティブな発想で生まれた言葉でないことは理解できる。でも、

          介護職員だからって

          40歳を越えて涙腺が崩壊してきているぼくに、感情を抑制しコントロールしながら介護の仕事をするということが、できるわけがないのだ。 利用者さんにも一緒に働く職員にも介護を取り巻く世間にも、悲しみを覚えるし怒りを感じるし。プロなのだからできて当然。なんていうことは、できれば言わないでほしい。 ただ、言えるとするならば、ネガティブな感情との付き合い方を理解できているとは思う。瞬間的メタ認知。心の声や頭の中では超おしゃべり。繰り広げらたネガティブな言葉たちを、一歩引いたもうひとり

          浮腫か命か

          感触は紙粘土。足の甲を親指でグッと押してみる。するとゴルフコースに転々とあるバンカーのように凹んから、ゆっくーり時間をかけてもとの形に戻ろうとする。 まるまると太った大根。ありきたりな表現だけど本当にそうだからそう言うしかない。ぼくは痛々しいを通り越して「はぁ〜」と感嘆のため息がでる。 入浴介助で足元を洗っているとき、ぼくは何個もバンカーをつくって人体の不思議を感じていた。ぼくに遊ばれているじいちゃんも「すごいだろ」と言って笑っている。とく痛みは感じないようで、しゃーないなぁ

          介護職員のやめ方いろいろ

          入ってきたと思ったら、知らぬ間にいなくなっている。 野良猫が敷地に足跡だけ残していくような。 介護職員の定着のしなさにびっくりするし、話を聞いてみると、介護施設を転々とした経験がある人ばっかりで驚く。ご多分に漏れずぼくも、3年のうちに3箇所を経験しているわけで。 介護の仕事が嫌なのではなく、人間関係や方針などの環境が合わなくてやめていることがほとんどだ。ご多分に漏れずぼくもそういった理由だった。 しかしながら、ひと月で辞める。1週間で辞める。当日辞めるといった愚行をしては

          100万円の手切金

          LINEで送られてきたメッセージ。 登記に変更にかかる手続きのための諸経費 登記変更・出張費・宿泊費・印刷物・ホームページの住所変更、etc。 合計 100万円 スクショ撮っておけばよかった。ムカつきすぎて消してしまった。耳揃えて一週間後には振り込んだ。兄の銀行口座に。 そしてLINEを消去し、兄と繋がっているSNSのアカウントは全て削除した。 「もう、この家とは縁を切る」兄はそう言ったので、この家の情報元を片っ端から消していった。ぼくがこうしてnoteを書いている

          いったいぼくは何のためにnoteを書いているか

          noteの上での連続投稿は、一度日付を越えてしまったために途切れてしまったが、半年以上は毎日noteを書いている。まぁnoteを書いているというよりも文章を書いている。 noteのために夜出かけるのをやめた。noteのネタ探しのために出かけるようになった。noteを書くために生きている、というのは言いすぎだけども。楽しく続けられているし読んでくださる方に感謝しかない。 でも、節目節目で訪れる大いなる試練。 「いったいぼくは何のためにnoteを書いているか」問題。 わか

          いったいぼくは何のためにnoteを書いているか

          朝起きたら自宅ではないところに居ると思って自宅に帰ろうとして自宅を出てたらしいが自宅に帰れなかった

          月に一度、いとこのおじさんの様子を見に行っている。 いとこのおじさんはパーキンソン病だ。症状としては中程度。シルバーカーを押して一人で散歩しにいくことはできるけれど、足の出が悪くつま先が上がらない。いつ転倒してもおかしくない状態だ。そして、おばさんと二人暮らし。老老介護の夫婦だ。 「ちょうど話したいことがあったのよ」と、二人が暮らす6階のマンションにお邪魔したらコーヒーもでないまま、すぐに報告会が始まった。 ケアマネージャーさんからの提案で「訪問リハビリはどうか?」と提

          朝起きたら自宅ではないところに居ると思って自宅に帰ろうとして自宅を出てたらしいが自宅に帰れなかった

          メリケンサックみたいなプライド

          椅子から立ち上がって食堂に向かいたい。 この方は脳梗塞の後遺症で片麻痺がある。 まず、立ち上がりやすいように椅子に浅く座ってもらいたい。ご自身で健側を足を前に出して半分だけお尻を前に出してもらう。患側は一部介助で健側のお尻の位置と合わせる。 膝下の足の位置を膝より手前に引いてもらう。前かがみになってもらい健側で手すりを持ってもらう。掛け声と共にご自身で立ってもらう。立ち上がった時にふらつきがないかを確認し、立位が安定したのを確認してからT字杖に持ち替えてもらう。杖・患側・健

          クソ真面目な共犯者

          無視しているのではない。 ぼくは付き合わないというコミュニケーションの方法をとっているだけだ。いやそれが「無視していることになるのだよ」と言われれば、もう、どうぞご自由にという話になる。 高齢者はとにかくお話好きの方が多い。そりゃそうか、80年近く生きてきたのだ。積み重ねてきた言葉の数、思考の数が違う。 忘れていく言葉や捨ててきた言葉があったとして、今現在残っている言葉はその人にとっての蒸留酒、アルコール度数の高い胸焼けしそうなフレーズが散りばめられている。喋って吐き出した

          早く人間になりたーい!

          ぼくは現在45歳。世の中的には中年。 だが、介護施設では若いとチヤホヤされている。この業界で感じる居心地の良さのひとつである。 前職のホームページ製作会社では新卒の子がバンバン入ってきていた。技術革新のスピードが速い業界では、若いとうことが圧倒的な武器になる。技術の習得も早く体力があるからだ。 その点、介護業界ではぼくより体力がある人がそういない。利用者さんにも職員も、ぼくより上の年齢の方がいる。 70代の介護職員の方が、現場でバリバリに入浴介助や体操・レクリエーションをやっ

          パンク少年とホワイトベアー

          今日のデイサービスでのレクリエーション。 フロアの椅子を円に並べて利用者さんに向かい合って座ってもらう。総勢12人。足元に新聞紙を置いていき、足だけでビリビリに紙吹雪のように細かく破ってもらう。 介護施設で行われる定番のレクリエーション。足だけで新聞紙を操ることによって、足の筋力を維持する効果もある。利用者さんは思うように言うことを聞かない足にヤキモキしながら中には手を使う人も出てきて、ちょっと盛り上がる。 細かく破いた新聞紙を円の中心に集める。利用者さんに「うちわ」を一枚