介護エッセイお笑い芸人経験者@寿(ことぶき)

デイサービスの介護職員として働く元よしもとの芸人経験者。介護・介護現場で起こる出来事を…

介護エッセイお笑い芸人経験者@寿(ことぶき)

デイサービスの介護職員として働く元よしもとの芸人経験者。介護・介護現場で起こる出来事をもとに、介護の気づき・介護の楽しさを伝えるエッセイを描いています。40代・母70代、実家暮らしの中、母の介護を見据えて介護職へ転職。

記事一覧

固定された記事

介護のキャッチコピー公募で賞をもらってぼくはちょっとだけ覚悟を固めた

これをミッションに掲げています。作品とはこのnoteに書いているエッセイだったりコラムだったり。はたまたキャッチコピーや作文だったりします。 全国老人福祉施設協議会…

漫画にして分かりやすく伝わりやすくされていることが、
投稿主の方の想いが伝わってきます。

https://note.com/shu_kaigosha/n/n713c67ca6a55

10年の歳月を経て

ハタチで実家を飛び出して、10年後に芸人を辞めて実家に帰ってきた。 10年前に実家を送り出してくれた母も、ぼくと同じように10歳歳をとる。 10年の間、実家に帰ったのは…

回想法レクリエーション

※ページが重いので開く時はご注意ください。 デイサービスでレクリエーションの時間。手を変え品を変えいろいろと試していくのだが、その中で「回想法」がある。 「昔の…

排泄の失敗を防いで記録より記憶に残る介護をしたい

ぼくは1日に何回トイレに行っているのか。 排泄は意識的な行動であり無意識の衝動であり、回数なんかいちいち数えていない。 デイサービスに来ている利用者さんは、介護…

タオル一枚されど

デイサービスには、入浴に必要なタオルを持ってきてもらう。 全部で三枚。脱衣所で椅子に座るときお尻の下に敷くタオル。入浴中に体を洗うタオル。そして体を拭くバスタオ…

開幕、前蹴りが飛んできた。

前蹴りが飛んできた。 これでも学生時代はハンドボール部に所属していた体育会系出身。ディフェンスを抜き去るためには近づき過ぎてもダメで、遠過ぎたら今度はフェイント…

デイサービスの1日

ご自宅へお迎えにあがることから始まる。 送迎ひとり暮らしの方もいるし、今日が利用日なのか抜けてしまっていて、出掛ける準備が全くできていない方もいる。 朝食後のく…

10年前のチラシデータ

朝起4時起き、まず大きなため息をつく。 暗がりの中、カーテンを探し月の光を部屋の中へ招き入れ、着替えて顔を洗い家を出る支度をする。 アルバイト先のスーパーまでは自…

共感しないことも大事

「あの人気難しい人だから、なんか難しいことばかり言うでしょ」 確かに誰が見ても気難しい人はいる。誰が見ても気難しい人を前に「気難しいよね」と言ったところで「そら…

あ・うん

ぼくの肩に手を置いて、上から押しつけて体重を乗せてくる。 隣にいるじいさんは、ぼくを上から見下ろして得意気な顔をしている。 スクワットをしなければならないのはア…

母に提出する反省文

夕飯前、リビングのソファーで座っている母。 いつもと変わらぬ光景だが、その部分だけがぼくの目には立体的に映った。 「あれ、お腹でてきない?」 いつもなら見てみぬ…

優しい嘘ってあるじゃないですか。あれですよあれ。

「ぼくね洗濯もの畳むことが下手くそで、綺麗に畳めないからお願いしてもいいですか?」 東京で一人暮らしをしていた時は、毎日のように洗濯していたし今でも自分の洗濯物…

大きな誤解を生みそうだが、しかし

「こちらに来て頂いていいですか」「ぼくと一緒に来ていただけますか」「お風呂の準備が出来たので、こちらへ来ていただいていいですか」「そちらの椅子に座ってもらってい…

はじめて自分で「1円」を稼いだとき、
小学生のようにハシャギました😄

執筆中は全文公開!
毎日少しずつ更新中!

https://note.com/kotobuki_care/n/n26edc758c2a9

解けないナンプレ

「新聞読んでるの?」 「この数字を埋めてくやつ?難しいね意外と」 「ああ、それナンプレって言ってうちのデイサービスでもやってもらってるよ」 「毎日ね、頭使わない…

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介護のキャッチコピー公募で賞をもらってぼくはちょっとだけ覚悟を固めた

これをミッションに掲げています。作品とはこのnoteに書いているエッセイだったりコラムだったり。はたまたキャッチコピーや作文だったりします。 全国老人福祉施設協議会・第14回 介護作文・フォトコンテスト「キャッチフレーズ部門・最優秀賞」 を受賞しましたこのキャッチコピーは、ぼくがデイサービスで高齢者介護をする中で生まれたキャッチコピーです。 ぼくは必死に利用者さんの名前を覚えて。 利用者さんはぼくの名前を少しの間だけしか覚えていない。 何度も自己紹介をするうちに、心の中

漫画にして分かりやすく伝わりやすくされていることが、 投稿主の方の想いが伝わってきます。 https://note.com/shu_kaigosha/n/n713c67ca6a55

10年の歳月を経て

ハタチで実家を飛び出して、10年後に芸人を辞めて実家に帰ってきた。 10年前に実家を送り出してくれた母も、ぼくと同じように10歳歳をとる。 10年の間、実家に帰ったのは指折りぐらいの回数。実家に帰る目的といえば同級生と会うためで、実家でゆっくりすることなんてなかった。 心も体も住所も実家に戻り、10年ぶりに母親とゆっくり話す。 深い時間リビング。ぼくは缶ビールを片手に、母親は寝る準備をしていた。 ぼくは、東京での暮らしや10年間の懺悔を告白しようと思っていた。 台

回想法レクリエーション

※ページが重いので開く時はご注意ください。 デイサービスでレクリエーションの時間。手を変え品を変えいろいろと試していくのだが、その中で「回想法」がある。 「昔のことを思い出して(記憶の想起)もらい、利用者さん同士コミュニケーションをとりながら認知予防につなげる」と、ぼく的にはそんな解釈をしている。「回想法 とは」で検索したら「心理療法」とあった。 ムヅカシイので「なつかしい記憶にひたり心を癒すこと」としよう。 介護職を始めた時は、新しいレクリエーションを考えていろいろ

排泄の失敗を防いで記録より記憶に残る介護をしたい

ぼくは1日に何回トイレに行っているのか。 排泄は意識的な行動であり無意識の衝動であり、回数なんかいちいち数えていない。 デイサービスに来ている利用者さんは、介護職員によって排泄の回数を記録されている。排尿だったのか排便だったのか。量はどのくらいか、硬さはどうか。記録の目的は健康管理と排泄のタイミングを見極めるためだが、よくよく考えると「流さないで、そのままにしておいてください」と言ったり言われたりするのはやっぱり違和感がある。 年齢を重ねたら「まぁ減るもんでもないし」って

タオル一枚されど

デイサービスには、入浴に必要なタオルを持ってきてもらう。 全部で三枚。脱衣所で椅子に座るときお尻の下に敷くタオル。入浴中に体を洗うタオル。そして体を拭くバスタオル。このタオル3点セットは必ず持ってきてほしいもの。着替えなどは都度必要なときに入れてきてもらえば大丈夫だ。 このタオル。このごく普通のタオルたちが、大騒動に発展するのもデイサービスの特徴かもしれない。 特殊なタオルなのか。いや違う。新聞を契約したときに記念品でもらう白のタオル。百円均一で帰る白のタオル。皆同じよ

開幕、前蹴りが飛んできた。

前蹴りが飛んできた。 これでも学生時代はハンドボール部に所属していた体育会系出身。ディフェンスを抜き去るためには近づき過ぎてもダメで、遠過ぎたら今度はフェイントが効かない。 その人に合わせた適切な距離を保ちながら声掛けする。これが無意識のうちにできているのは、もしかしたらハンドボールをしていたおかげか。 ぼくは前蹴りをバックステップでかわし、距離を取り直して様子を見る。 深いソファに腰掛けたその人は、眉間に皺を寄せている。この頃、明らかに精神状態に変化が見られる。という

デイサービスの1日

ご自宅へお迎えにあがることから始まる。 送迎ひとり暮らしの方もいるし、今日が利用日なのか抜けてしまっていて、出掛ける準備が全くできていない方もいる。 朝食後のくすり、昼食後のくすりなど、お風呂セット以外にも持っていくものはある。杖だったりシルバーカーだったり。火の元の確認やエアコンのスイッチを切ること。戸締りはもちろん、玄関のカギを持って行かなくては帰りに困る。外出することが、これほど準備のいることなのかと。自分の意思で好きなように出かけられることが、どれだけ自由なのかを思

10年前のチラシデータ

朝起4時起き、まず大きなため息をつく。 暗がりの中、カーテンを探し月の光を部屋の中へ招き入れ、着替えて顔を洗い家を出る支度をする。 アルバイト先のスーパーまでは自転車で行った。昨日遅くまでヤケ酒をしていてもバイトのシフトだけは守る。そういえば芸人をしていた頃も居酒屋のアルバイトを休んだことはなかった。ひとつも破天荒でない。それはもうただのフリーターだ。5年経った今も同じことを繰り返しているようで「チッ」。舌打ちをする。 おばちゃんたちにまみれて、惣菜コーナーで働く。早朝から

共感しないことも大事

「あの人気難しい人だから、なんか難しいことばかり言うでしょ」 確かに誰が見ても気難しい人はいる。誰が見ても気難しい人を前に「気難しいよね」と言ったところで「そらそやろ」ってなるだけだから、ぼくは共感しないようにしている。これでは思考が止まる。 「え?そうですか?ぼくはそんなこと思わないですけどね」ぼくはそうして共感しないことにしている。 もし「気難しい人だけど、よく喋る人懐っこい方だよね。」と言われたのなら。 これには深く共感する。 これにはその人が発見した気づきが含

あ・うん

ぼくの肩に手を置いて、上から押しつけて体重を乗せてくる。 隣にいるじいさんは、ぼくを上から見下ろして得意気な顔をしている。 スクワットをしなければならないのはアンタや。ぼくはトレーナーとして一緒にやっているだけ。いわばパフォーマンスでしかないのに。 結局一回もスクワットはせずに、ぼくだけ皆んなより重い負荷でスクワットをしてた。 「ちょっと!〇〇さん!一回もやってないじゃないですか!ぼくの肩ずっと押さえて!」斜め上、天井を見上げてぼくと目線を合わせようとしない。 そんな

母に提出する反省文

夕飯前、リビングのソファーで座っている母。 いつもと変わらぬ光景だが、その部分だけがぼくの目には立体的に映った。 「あれ、お腹でてきない?」 いつもなら見てみぬフリをするのだが、今日はなんとなく虫のいどころが悪かった。帰り道「ハラ立つなぁ〜」と言いながら帰ったのでもっぱら自覚はある。 失礼なものいいをしてくる人に対しては等価交換。ぼくも失礼なものいいをしていいとマイルールを定めている。 たとえばコンビニの店員さん。商品を手にレジに行き会計のとき「袋は?」と言われる。はじ

優しい嘘ってあるじゃないですか。あれですよあれ。

「ぼくね洗濯もの畳むことが下手くそで、綺麗に畳めないからお願いしてもいいですか?」 東京で一人暮らしをしていた時は、毎日のように洗濯していたし今でも自分の洗濯物は自分で畳むようにしている。 「包丁うまいですね!料理人だったんですか?ぼく手を切ってしましそう」飲食店のバイトをしていた。まかないを作っていたし、包丁や台所の捌き方には自信がある。 「掃除機とモップがけお願いしてもいいですか?他の仕事が忙しくて手が回らなくて」 利用者さんの後ろについて、掃除しているところを見守っ

大きな誤解を生みそうだが、しかし

「こちらに来て頂いていいですか」「ぼくと一緒に来ていただけますか」「お風呂の準備が出来たので、こちらへ来ていただいていいですか」「そちらの椅子に座ってもらっていですか」「上着を洗濯に出したいので、脱いで頂いていですか」「少しお手伝いさせて頂きますね。」「ありがとうございます。洗濯させてもらいますね。」「じゃあズボンも洗濯に出したいので、一度立って頂いていいですか」「ズボン下ろすのだけお手伝いさせてくださいね」「一度座って頂いていいですか」「じゃあ、ズボン脱いでもらえますか。ズ

はじめて自分で「1円」を稼いだとき、 小学生のようにハシャギました😄 執筆中は全文公開! 毎日少しずつ更新中! https://note.com/kotobuki_care/n/n26edc758c2a9

解けないナンプレ

「新聞読んでるの?」 「この数字を埋めてくやつ?難しいね意外と」 「ああ、それナンプレって言ってうちのデイサービスでもやってもらってるよ」 「毎日ね、頭使わないとって頑張ってるんだけどね」 「いいよ、無理してやらなくても。楽しくないならあんまり効果ないかもしれないし」 「・・・」夢中になってナンプレに挑む母。 ぼくには、一生懸命やっているところをアピールしている母に見えた。 ぼくが介護の仕事をしているおかげで、毎日にように介護を意識せざる終えなくなった母は、もし