高田公太

実話怪談作家、エッセイスト。近作は「絶怪」(竹書房刊)の編著。投げ銭歓迎。

高田公太

実話怪談作家、エッセイスト。近作は「絶怪」(竹書房刊)の編著。投げ銭歓迎。

メンバーシップに加入する

高田公太がファンクラブ向けにいつもよりも頑張った記事を投稿します。(写真なども載せていくタイプ)

  • 普通プラン

    ¥500 / 月
    初月無料

マガジン

  • 連載小説「死神捕物帖」

  • 連載小説【あるファンからのメール──愚狂人レポート】

    法律も医療もそこには届かない……「隣の暗黒」に迫る大問題小説

  • Outsider Media 【BATON】

    • 0本

    Outsider Media 【BATON】 ユーモアと好奇心だけがコンパスだ。 豪華執筆陣連載開始 田中俊行/高田公太/住倉カオス/横田徹 and more...

  • 日記

    普通の日記

  • ラジオ「住倉カオス・高田公太の『百円の濃い』」

    コンテンツクリエイター/プロデューサーの住倉カオスと作家・エッセイストの高田公太による、高次元トーク番組です。1エピソード100円。

最近の記事

高田公太46歳のエッセイ

■いつでも構わない           高田公太  めでたく四十六回目の誕生日を迎えた。    わたしは「いつ死んでもいい」とよく口にするのだが、どうもネガティヴな響きがあるようで、これを聞いた人から妙に気を遣われてしまう。  こちらからしたら、「(どうせ死に際なんて選べない。いつ何時、操作を誤った車両が自分にぶつかってくるかも知らないし、何かの病気にかかる可能性は歳を取るごとに増える。だから、毎日を精一杯生きて、悔いのない人生を歩もうとわたしは努力しているわけで、)

    • 「厄介」にならないために

      今日、とある男性芸人に粘着行為をし、出禁になった男性が記したnote記事を読んだ。中には理路整然と「自分がしたこと」とその先で「自分がどういう扱いを受けたか」が書かれていたのだが、読んでいて悲しくなるのは全体を通して「自分は強い意志と理性を保ちつつそうしたかったからそうした、水が合わずに受け入れられなくて残念だ」というトーンになっていることだ。他人から見たら完全にラインを越えていて、ラインを越えたから出禁となってしまった事実があっても、まだそのままの自分でいようと正当化するた

      • 「寛容」を押しつけようとしないのも「寛容」

        わたしの思考回路の傾向として、なにか気に食わないものを見つけてまずは苛立つ、次にその気に食わないものがなぜこの世に生じたかを考える、考えた結果手に入れた知識をもって苛立ちを消す、というものがあります。 面倒臭い奴だな、と思われるかもしれませんが、こういう風にしないと増え続ける苛立ちの原因に包囲されてしまい、毎日がしんどいんです。元々自分の苛立ちとの付き合い方が上手い人はこんなことをせずにいいと思う。でも、わたしは無理。苛立ちに押しつぶされたあとには、「いや、そもそも自分がちゃ

        • 2024/04/02の日記

          5月末ごろ発売の共著作「青森怪談」の締め切りがやばいので相当に必死である。毎回こうなる。ほんとにギリギリまで書かない。しかし、その割に良い感じに書けるという成功体験がありまくるので、直らない。原稿を落としたこともない。だから、直らない。というか、何をどう書くのかについて熟考していることに何の罪があろうか。いや、罪とかはどうでもよくて、ただこの感じを直したいんですが。

        高田公太46歳のエッセイ

        マガジン

        • 連載小説「死神捕物帖」
          7本
        • 連載小説【あるファンからのメール──愚狂人レポート】
          35本
        • Outsider Media 【BATON】
          0本
        • 日記
          8本
        • ラジオ「住倉カオス・高田公太の『百円の濃い』」
          3本

        メンバー特典記事

          高田公太46歳のエッセイ

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          ■いつでも構わない           高田公太  めでたく四十六回目の誕生日を迎えた。    わたしは「いつ死んでもいい」とよく口にするのだが、どうもネガティヴな響きがあるようで、これを聞いた人から妙に気を遣われてしまう。  こちらからしたら、「(どうせ死に際なんて選べない。いつ何時、操作を誤った車両が自分にぶつかってくるかも知らないし、何かの病気にかかる可能性は歳を取るごとに増える。だから、毎日を精一杯生きて、悔いのない人生を歩もうとわたしは努力しているわけで、)

          高田公太46歳のエッセイ

          「厄介」にならないために

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          今日、とある男性芸人に粘着行為をし、出禁になった男性が記したnote記事を読んだ。中には理路整然と「自分がしたこと」とその先で「自分がどういう扱いを受けたか」が書かれていたのだが、読んでいて悲しくなるのは全体を通して「自分は強い意志と理性を保ちつつそうしたかったからそうした、水が合わずに受け入れられなくて残念だ」というトーンになっていることだ。他人から見たら完全にラインを越えていて、ラインを越えたから出禁となってしまった事実があっても、まだそのままの自分でいようと正当化するた

          「厄介」にならないために

          「寛容」を押しつけようとしないのも「寛容」

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          わたしの思考回路の傾向として、なにか気に食わないものを見つけてまずは苛立つ、次にその気に食わないものがなぜこの世に生じたかを考える、考えた結果手に入れた知識をもって苛立ちを消す、というものがあります。 面倒臭い奴だな、と思われるかもしれませんが、こういう風にしないと増え続ける苛立ちの原因に包囲されてしまい、毎日がしんどいんです。元々自分の苛立ちとの付き合い方が上手い人はこんなことをせずにいいと思う。でも、わたしは無理。苛立ちに押しつぶされたあとには、「いや、そもそも自分がちゃ

          「寛容」を押しつけようとしないのも「寛容」

          2024/04/02の日記

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          5月末ごろ発売の共著作「青森怪談」の締め切りがやばいので相当に必死である。毎回こうなる。ほんとにギリギリまで書かない。しかし、その割に良い感じに書けるという成功体験がありまくるので、直らない。原稿を落としたこともない。だから、直らない。というか、何をどう書くのかについて熟考していることに何の罪があろうか。いや、罪とかはどうでもよくて、ただこの感じを直したいんですが。

          2024/04/02の日記

          累計百物語 青森篇初回まとめ②

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          5 村長さん 1周目  グループホームで働く二十代の女性、石田さんから聞いた話。  ホーム利用者の一人に「神さん」という女性がいた。  神さんは八十代で、身体こそ年齢に勝てず不自由だったが我儘もなく、思考はしっかりしているようだった。暴言を吐かない利用者は安心してお世話ができるため、石田さんは神さんを「お気に入りの利用者」として見ていた。

          累計百物語 青森篇初回まとめ②

          累計百物語 青森篇初回まとめ①

          「普通プラン」に参加すると最後まで読めます

          わたしが主催する会合「累計百物語」で語られた参加者の怪談を文章化しました。遅いペースになるかもしれませんが、「累計百物語」で語られたものはほぼすべてを文章に起こせたらいいなと思っています。 1 鶴乃大助さん 1周目  場所、時期などは特定を避けるために秘す。  鶴乃さんも時折出入りしている、とある事業の事務局でアルバイトをする女性が亡くなった。 「あの事務局に関わってる人で亡くなったの、あれで四人目だよ」  鶴乃さんが顔馴染みの死を嘆いていたところ、仕事仲間からそう言わ

          累計百物語 青森篇初回まとめ①

        記事

          ドラマ版「ファーゴ」シーズン5の素晴らしさ

          コーエン兄弟の不朽の傑作映画「ファーゴ」の世界観から着想を得て作られたドラマシリーズ「ファーゴ」の最新となる、シーズン5がとにかく最高でした。ランダムにネタバレありで感想を書きたいので、以下は読みたい人だけ読んでください。ちなみに、ドラマ版ファーゴはシーズン間のストーリーにつながりがない(厳密はごく稀にあるけど、気にせずにいい)作りになっているので、シーズン5だけ観てもイケます。 【荒めのあらすじ】 一見して平凡、よりもやや挙動不審な主婦ドロシー・ライオンは夫、娘と共に、超

          ドラマ版「ファーゴ」シーズン5の素晴らしさ

          森崎和江著「まっくら 女坑夫からの聞き書き」を読んで

          オモシロ仲間の作家、文学者の蛙坂須美にオススメしてもらった(というか、ネットストーキングして勝手にキャッチした)、女性たちも従事していた炭坑の時代を聞き書きで描くノンフィクション、森崎和江著「まっくら 女坑夫からの聞き書き」を読んだ。 副題にもあるように「聞き書き」も「聞き書き」で、各章末にある森崎の地の文以外は、ほぼ九州の方言。しかも近代化以前の香りが濃厚な、相当に強めの方言が改行も少なくびっしりと書き連ねられている。「九州弁」とひとことで言っても筑豊、筑後、肥後などと微

          森崎和江著「まっくら 女坑夫からの聞き書き」を読んで

          累計百物語 青森篇初回まとめ②

          5 村長さん 1周目  グループホームで働く二十代の女性、石田さんから聞いた話。  ホーム利用者の一人に「神さん」という女性がいた。  神さんは八十代で、身体こそ年齢に勝てず不自由だったが我儘もなく、思考はしっかりしているようだった。暴言を吐かない利用者は安心してお世話ができるため、石田さんは神さんを「お気に入りの利用者」として見ていた。

          累計百物語 青森篇初回まとめ②

          累計百物語 青森篇初回まとめ①

          わたしが主催する会合「累計百物語」で語られた参加者の怪談を文章化しました。遅いペースになるかもしれませんが、「累計百物語」で語られたものはほぼすべてを文章に起こせたらいいなと思っています。 1 鶴乃大助さん 1周目  場所、時期などは特定を避けるために秘す。  鶴乃さんも時折出入りしている、とある事業の事務局でアルバイトをする女性が亡くなった。 「あの事務局に関わってる人で亡くなったの、あれで四人目だよ」  鶴乃さんが顔馴染みの死を嘆いていたところ、仕事仲間からそう言わ

          累計百物語 青森篇初回まとめ①

          詩「瞬間の延長」

          胸のむかつきと窓から見える茶色の壁が  おれの昨日までの価値を肯定し 否定し 重さと軽さをあいまいにしようと 鎮座しているのである。 おれは間違った世界で おれは間違った味を舌にのせ おれは間違った屋根に寝そべり おれは間違ったうたを聴いていた。 手錠と足枷 おぼろな小鳥 一万人の中の気づかれない孤独 軒と軒の間からわずかに覗く雲をつかんで千切る少女が 原っぱを駆けていた。 おれはほとんど見えなくてもいいのである そこにいるとわかってもらえる程度で おれはかまわないのだ

          詩「瞬間の延長」

          +30

          2024/3/2「夜馬裕3時間店長@弘前BARルーズ」の記録写真30枚

          この記事はメンバーシップに加入すると読めます

          2024/3/2「夜馬裕3時間店長@弘前BARルーズ」の記録写真30枚

          メンバーシップ限定

          +29

          ホワイトデー返礼エッセイ「かつての、恋について」

          ※このエッセイはバレンタインPayPayをくれた方に個別で送付したPDFの全文となります。 「かつての、恋について」                高田公太  わたしの初恋の記憶は幼稚園児のころにある。小さなわたしと同じたんぽぽ組にいた、小さなマナちゃんのことが好きだったのだ。  マナちゃんはショートカットで、丸っこい目が好きだった。ボーイッシュな雰囲気が、少年ジャンプの漫画に出てくるヒロインのようだった。

          ホワイトデー返礼エッセイ「かつての、恋について」

          ギラギラした言葉

          わたしのようなふわふわしたフリーランサーの世界観を読んでもらうことが多くの勤め人にとってどれだけの意味を持つのだろうと、ときどき思う。 一応はサラリーマンをしていたことがあるものの、ほんの4、5年ほどの経験。しかもたったそれだけの年数の中で数回転職をしている。大学中退からのフリーター歴はとても長く、二十代のころは日払い、週払いの肉体労働ばかりしていた。作家デビュー後の三十代になってからスナックのボーイのアルバイトをしていたり、兎にも角にもまともな社会人の経歴を持っていない。「

          ギラギラした言葉

          「ボーはおそれている」を観た

          仕事をしたり休んだりの毎日を過ごしている。 前回、うつでしんどい旨の記事を投稿したら、多くの人から心配された。 心配はとてもありがたいことなのだが、わたしは「しんどい」をカジュアルに伝えられる世の中になってほしくて、自らが率先してそれをやろうとしている意図に過ぎないので、そんなに心配しなくていいのです。「しんどい」は珍しいことじゃない。それなのにどこか発信し難い雰囲気が蔓延している。「しんどい」を発信する人がいる。それをあくまで見守る人がいる。ファジーに寄り添う人がいる。そん

          「ボーはおそれている」を観た

          街裏ぴんくに捧げる詩

          空は知っている あなたが涙を溜めていたことを 月は知っている みんなのため あなたが秘密を持ったことを 狂わないよう 狂わないよう たくさん考えた そうして白紙に色がつくと 世界は光であふれた ずっとこの明日のために進んでいたことを 街は知っている 風は知っている 宝を求めて船は進む あの人の微笑みを求めて この船は進む きらめきの予感は 間違いではなかった

          街裏ぴんくに捧げる詩

          【津軽方言詩】岩木山

          雲っこあっても なもいいネ でえんと立ってりャ そいでいい ずんぶど見えねぐなってもサァ そごさいるって おべでらネ わぁはおめとば おべでらネ 夏は緑がいくちゃあノ 秋は枯れ葉がいくちゃあノ 冬は白して水墨画ァ 春にはまんずお疲れ様ァ 親方町の五階の窓がら 見えるおめがら力っこもらう 見えねば見えねしても なもいいネ どだい いるのっきャ わがってら おめはいづでも なも変わンネ わぁはまだまだ ちっぺェわらし でげえおめ見で はしゃいでら わぁはまだまだ ちっペェわ

          【津軽方言詩】岩木山

          怪談とビジネス──作家/語り/配信

          わたしが実話怪談作家商業デビューをしてから、16年が経ちました。 16年前、すでに「出版不況」を耳にしていたのですが、初めて原稿料をもらったときの実感は「兼業でこれだけの額を貰えるなら、悪くないかな」という程度のもので、それほど不況を感じなかったことを覚えています。 同業者の話を聞いても「実話怪談」というジャンルもので一財を築けるイメージを誰も抱いていないことは明確で、そもそも作家という職業は兼業でやるもの、という共通認識が現在でもごくごく普通にあります。デビュー当時は自ら

          怪談とビジネス──作家/語り/配信