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右脳と左脳の都市伝説

よく昔から「左脳」は論理思考で「右脳」はアート、という言い方を耳にしたことがあります。
そんなまだ未解明の多い脳について、面白い連載が始まりました。

まず、我々の脳はセンサー(知覚)機能は左右対称で脳で処理されます。
例えば右目で見た映像は脳の左側の個所で、抽象性で分解(大きさ、角度、とか)されて段階的に分析され、最後に左目側の処理と統合されて立体的に見えます。
余談ですが、この視覚処理はAIの主流となった深層学習にも応用されています。

ただ、記憶や思考といったより高度な脳処理になってくると、明確に左と右で分かれているわけではありません。

では、なぜ冒頭のような仮説が生まれたかというと、左右の脳はある程度独立に機能することが出来、それぞれ分離させた状態で色々とテストをした結果、冒頭のような結果として研究成果をまとめたという経緯です。

上記記事にも記載されてますが、ロジャー・スペリーやマイケル・ガザニガがその代表的な研究者です。

これは「分離脳(Split Brain)」と呼ばれますが、その経緯が下記記事でまとまっています。

どう実験をしたの?と不思議におもわないでしょうか?

大体1960年代に脳が部位によって機能差があるということが動物実験から人間に対しても分かってきました。
特に、左と右を繋ぐ領域を「脳梁(のうりょう)」と呼びます。(下記の赤色の個所)

この脳梁が機能しない、つまり左と右の情報連携がなく独立に動く患者に対して実験を行うことでその特徴が分かってきました。

それを実証した有名な実験方法を1つだけ挙げます。
患者には、2つに分離されたスクリーンとその先には目に見えない物体があり、回答させるというイメージ(下記図)です。

出所:Wiki「分離脳」

例えば、左視野に提示された視覚刺激は前述のとおり脳の右側へ伝えられます。すると、その右脳で分析した物体を言葉で答えることは出来なったが、それを同じものを左手でつかむことは出来ました。

こういった実験を続けて、冒頭の仮説が生まれたというわけです。今では部位ごとに役割が異なることはある程度定説となっています。

ただ、冒頭記事にも記載してますが、
「だから自身が弱い能力を高めるため左脳または右脳を鍛えよう」
というのはやや乱暴で、実際にはバランスよく右と左はキャッチボールをして補完しあっているようです。

過去にその機能差や利き脳のような概念はない、ことを証明する実験も行われています。

逆に、その媒介である脳梁の機能が重要である可能性も否定しきれません。

例えば、天才アインシュタインは死後に脳が解剖されたことで有名ですが、そこから一般人より脳梁が10%ほど大きかったことも示されています。

と、言いましたが、これだけで決めつけるのは相当乱暴な論拠で、屁理屈に近く、現時点ではワイドショーネタだと思ってください☺

いずれにしても、脳の特定部位だけをして優劣を語るのだけはやめたほうがよさそうです。

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