「普通の女の子」になりたかった。

「 " 普通の女の子 " に戻りたいから、アイドルを引退します」


「普通」って何だろう?

辞書で「普通」と引くと、以下のように出てくる。

特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま。

変わっていないこと。

ありふれていること。

あたりまえなこと。


つまり、変わっていて、ありふれていなくて、あたりまえではなければ、

「普通」ではないということ。


なんとなくわかるような気がするけど、ぜんぜんわかんない。

だって、人によって価値基準はちがう。

自分にとっては当たり前でごく「普通」のことであっても、

それがマジョリティーでなければ、

「普通」ではないことになる。


「普通になってほしい」

「なんであんたは普通じゃないのよ」

「もうそんなことやめて、普通の人になりなさい」

「そんなこといつまでもやってて、どうするの?ちやほやされてるのなんて今だけなんだから。早くそんなことやめて、普通に戻りなさい」


なんで普通にならなきゃいけないんだろう。

他人のことなんてどうでもよくない?

どうして「普通」であることを他人に対して強要してくるお節介な人っているんだろう?

多様性が認められつつある、この令和の時代でも、そういう人っている。

口に出さなくても、「普通」でないことに対して

あまりよく思っていない人だって、きっとたくさんいる。


別にアイドルしてたって、

派手髪してたって、

学校行ってなくたって、

組織に属さず個人で稼いでたって、

人と違う生き方してたって、

女の子が女の子を好きになったって、

男の子が男の子を好きになったって、

本人が幸せならそれでよくね?

少なくともあたしはそう思う。


「普通」でない選択をするのであれば、

世間と戦う覚悟が必要だ。

強い心が必要だ。

誰よりも強くならなきゃいけない。

そうでないと、世間の声に負けて、

また本当の自分を偽って、「普通」を演じて生きる生活に戻ってしまう。


覚悟がないなら、諦めて「普通」の、

つまりマジョリティーと同じ生活をすることだ。

自分らしさなんて言わず、

大衆に迎合することだ。


そうは言っても、自分は自分でしかないわけで。

あたしはアイドルをやってた自分が好きだった。

たくさんのファンがあたしのことを好きだと言ってくれた。

ステージに立って、歌って踊ることが楽しかった。

だけど、だれかには認められなかった。

絶対に絶対に認められなかった。

あたしが「普通であること」を強く強く望んでた。

その人に認められたくて、あたしは「普通の女の子」に戻ることを選んだ。

だけど、全然楽しくなくて、

幸せじゃなくて。

無理して笑ってる。


本当は「普通の女の子」になりたかった。

普通の女の子の感性に。

「普通の女の子」じゃないあたしは、

あたしの人生じゃなく、

だれかの人生を生きている。


あたしは強くもないし、自分を貫くことなんてできない。

だから、「普通」じゃない人を、ちゃんと自分を生きている人を、

かっこいいと思う。憧れる。

あたしもいつか強くなって、そんな大人になりたいと思う。


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