「ステージ近いですね」 わたしに向けられたその言葉を聞きとれず「えっ?」と聞き返すと、アキはもう一度「ステージ、近いですね」と繰り返した。らしい。 アキの記憶に…
フユと出逢ったのは、ある年の夏の始まり頃。 第一印象は「コドモみたいな人」だった。良くないほうの意味で、稚さを感じた。(とはいえ悪事を働いていたわけではない) 屈…
わたしたち3人は、日常的によく会話をする。 そのことについて「ふぅん」と思うか、驚くか、反応は人それぞれで、その反応の違いによってわたしは、世の中にはいろんな家…
わたしには夫がふたりいる。 婚姻届が受理された夫と、受理されていない夫。 ややこしいので便宜上ここでは、受理されたほうの夫を「フユ」受理されていないほうを「アキ…
琥珀あめ
2020年8月29日 10:23
「ステージ近いですね」わたしに向けられたその言葉を聞きとれず「えっ?」と聞き返すと、アキはもう一度「ステージ、近いですね」と繰り返した。らしい。アキの記憶には鮮明に残っているというそのやりとりを、残念なことにわたしはあまり覚えていない。その場面を誰かが録画していてくれたらよかったのに、と思うけれど、そんなことはあり得ないので、わたしはアキに何度もせがんで思い出話をしてもらう。わたしと
2020年8月28日 00:49
フユと出逢ったのは、ある年の夏の始まり頃。第一印象は「コドモみたいな人」だった。良くないほうの意味で、稚さを感じた。(とはいえ悪事を働いていたわけではない)屈託のない笑顔だな、とも思った。今気づいたけれど、その笑顔は良い意味で幼く、つまり良くも悪くも「コドモみたいな人」だとあのときの私は思ったのだった。一方フユはわたしを初めて見たときから「かわいい」と思い、つまりは「ひとめぼれだった
2020年8月20日 02:12
わたしたち3人は、日常的によく会話をする。そのことについて「ふぅん」と思うか、驚くか、反応は人それぞれで、その反応の違いによってわたしは、世の中にはいろんな家族や夫婦がいるのだとつくづく思う。「ふぅん」という反応をする人は、同じように家族内でよく会話をする人なのだろう。「まぁ、同年代が3人いれば話す相手には困らないだろうね」と言う人もいた。驚く人からはたいてい「よくそんなに話すことがあ
2020年8月18日 00:03
わたしには夫がふたりいる。婚姻届が受理された夫と、受理されていない夫。ややこしいので便宜上ここでは、受理されたほうの夫を「フユ」受理されていないほうを「アキ」と呼ぶことにする。そしてわたしはふたりから「コハク」と呼ばれている。わたしたち3人の関係は“一般的”ではないし、他者に説明すると驚かれたり困惑されたりするけれど(そしてそれは自然な反応だと思うけれど)、当人たちからすると至ってシン