【ふたりの夫】はじめに

わたしには夫がふたりいる。

婚姻届が受理された夫と、受理されていない夫。
ややこしいので便宜上ここでは、受理されたほうの夫を「フユ」受理されていないほうを「アキ」と呼ぶことにする。
そしてわたしはふたりから「コハク」と呼ばれている。

わたしたち3人の関係は“一般的”ではないし、他者に説明すると驚かれたり困惑されたりするけれど(そしてそれは自然な反応だと思うけれど)、当人たちからすると至ってシンプルな関係だ。

わたしはフユのこともアキのことも同じくらい(そもそも比較の仕様がないけれど)愛しているし、そんなわたしのことをフユもアキも愛してくれている。(と、思う)


3人の関係について話したときによく訊かれるのがフユとアキの間の関係性なのだけれど、フユとアキの間に恋愛感情はない。友情に近いけれど、それも違う。1番しっくりくるのは“家族”という表現だと思う。

実際わたしたちは3人同じ家で衣食住をともにし、同一生計のもと日々のやりくりや将来の貯蓄を行っているので、それを“家族”と言わずして何と言うのか。

とはいえわざわざ余計な波風をたてて無駄な労力をつかいたくもないので、ごく親しい一部の友人以外には『シェアハウスのようなもの』と説明している。

実際その言葉はたいていの人にすんなり受けいれてもらえるので便利な言い回しだ。決して嘘ではないし、内心どう思っているかはさておき、少なくとも表面上は納得してくれる。
わたしたちも別に理解してほしいわけではなく、説明が必要な場面で使うだけのワードなのでそのくらいの軽さでいいのだ。

わたしたちの関係は、わたしたちとそれぞれの大切な友人が知っていればいい。

ずっとそう思ってきたのだけれど、先日、米・マサチューセッツ州サマービル市が“ポリアモリー”の関係を公的に認める条例を定め、それについて書かれた様々な記事や意見を読み、わたしなりに色々思うところがあったのでnoteに綴ることにした。

わたしたちが“ポリアモリー”なのかどうかは、また別の機会に書こうと思う。
ひとまず今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?