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【3分要約・読書メモ】会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために

ご覧頂き、ありがとうございます。
今回は「会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために」についての記事となります。

こんな人におすすめ

・起業家を目指している人
・経営者の近くで働いしている人
・ビジネスの本質を学びたい人
・経営者の悩みを理解したい人

著者

石井 光太郎(いしい こうたろう)
1961年、神戸市生まれ。東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループを経て、1986年、経営戦略コンサルティング会社、(株)コーポレイトディレクション(CDI)設立に参加。2003年から2021年まで、同社代表取締役代表パートナーを務める。現在は、同グループ CDIヒューマンキャピタル主宰。
2022年3月、MFA(株)代表取締役に就任。

「迷宮」の経営辞典

・戦略

「戦略」は、深みを覗いた人間が、そこに見出した何かに挑もうとする強靭な「意思」と「信念」の産物である。「意思」がないところに「戦略」はなく、その人間の「信念」に深さがなければ、そこに優れた「戦略」は生まれない。

・利益
いくら売れても採算を無視しては慈善事業になる、と揶揄する言い方がよくされるが、儲かるなら何でもやる、というのであればその慈善事業以下である。「売上」とはまず、会社が志す「価値」の代名詞である

「売り値ー買値=儲け」という次元の話であれば、そもそも「儲けました」「得しました」という意味で「利得」と呼べばいい。「利益」とは、会社が事業活動を行った結果、顧客や社会に対して創り出した「価値」に対する、顧客や社会からの還元物である。

「帳尻」としての「利益」数値から逆算・調整して装置を運転するだけの経営が、長い目で見て成功した例はないし、それ以前に、そのような会社は社会的にその存在意義もない。

・成長
「会社」にとって「成長」が止まることは、停滞という死に至る病だと思い込まれているが、その有機体の適したサイズを超えて永遠に大きくなり続けようとする「膨張」願望こそ本当の病である。

会社としての本当の「成長」とは、「大きな会社」になることではなく、「善い会社」になるための道程を歩むこと。

・会社

「会社」は、責任のある社会的主体(法人)である。「この会社は、何を成そうとしている存在なのか」という自覚が重要で、それが、「社格」である。

「会社」は、「社会がより善くなり、人がより善く生きられるために、リスクをとって挑戦すること」を、社会から託された「法人」である。

・組織

結局のところ、「組織」は、経営者自身の「自我」が発火点になって生まれるもの。経営者の「自我」が共感を呼び、「組織」となっていく。その「自分はこう信じているので、こうしたい」という「自我」が重要。

・改革

改革とは、経営者自身が変わる覚悟。「あなたが変わらなければ、会社は変わらない」。会社は、経営者の鏡であって、改革は、経営のテーマである以前に、経営者自身のテーマである。

・開発

「開発」とは、「会社」経営の中で最も多数決や大衆討議になじまない営為。だからこそ、経営トップにのみ許された大仕事。

芸術家で、「私は何でもいいからとにかく芸術家になりたい」という人はいない。「起業家になりたい」というのも、同じぐらい滑稽なこと。金儲けしか考えていないようでは、本来の「会社」として成すことはない。

「価値がある(と信じる)ものを売る」という事業の信念が、「売れるものが価値がある」と変わり、「売れるものを作れ」という指示に堕ちたとき、「開発」は目の前に見える結果の数字で判断されるものになってしまう。

・人材

「会社」にできることは、「人材」を活かすことであって、育てることではない。ヒトを「人材」にするのが、「会社」という「組織」の役割。

多様なヒトを採用するから多様性が増すのではない。ヒトは、そもそも多様である。多様なものを一色に染めようとせず、ヒトを活かして「人材」にする流儀の多様性が重要。

感想

本書を読んで、最も感銘を受けたのは、下記の文章です。

気づくと、「会社」は勝つか、負けるかの軍隊のようになっている。
「会社」は、国家であるべき。
よい軍隊の目的は、勝つことであり、方法論(どうやって勝つか?)が重要になる。
善い国家は、方法論や手段の前に、「善い国家とは何か?」根本的な問いが重要になる。
単純にGDPや軍事力が大きいから善い国家と定義する人はいない。
善い会社も同じ。
経営者の主観(価値観)から経営者の責任で何が良いのか?考える。
「どうしたら成功できるのか?」ではなく、
「どうなることが成功といえるのか?」という自己定義が重要。

会社とは、独自の何か(目的)をめざして、それを共有できる仲間を集め、自由な発想で、他にない独自な組織を作り、信念を以てユニークな開発を仕込み、熱意を以て賛同者を募り、たとえすぐには成功にたどり着けなくても、それを事業化することに挑戦し続けた結果として存在するもの。

ユーザーに寄り添うと口では言っているものの、戦争用語のマーケティング用語をバリバリ使って戦略を練っている。何を達成するために?誰の幸せのために仕事をしているのか?そんな疑問に突き刺さった。

綺麗ごとばかりでは、会社は経営できないと思うのと同時に、根本に綺麗ごとがあるから見失わずに済むのかもしれない。

自分の立場や、会社の状況によって読む感想が変わりそうで、一年に一度は読み返したくなる本でした。

最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。

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