ジョン久作

たまに雑記や短編小説を書きつつ、主にババア・パルプ小説を連載中。『ジュディ婆さんの事件…

ジョン久作

たまに雑記や短編小説を書きつつ、主にババア・パルプ小説を連載中。『ジュディ婆さんの事件簿』は完結。現在は『ダンジョンバァバ』連載中。小説はマガジンにまとめています。

マガジン

  • 逆噴射小説大賞2023:投稿作品

    逆噴射小説大賞2023の投稿作品

  • 逆噴射小説大賞2022:投稿作品

    逆噴射小説大賞2022年度の投稿作品

  • 逆噴射小説大賞2021:投稿作品

    2021年10月に開催された『逆噴射小説大賞2021』の投稿作品

  • 逆噴射小説大賞2020:投稿作品

  • 読み切り小説

    1記事~2記事で完結する短いやつです。

記事一覧

固定された記事

【目次】ダンジョンバァバ

ファンタジー × 老婆 × 長編小説 = ダンジョンバァバ ●登場人物【名簿】 ………▽ 目次 ▽……… ◇第1話『バァバの武具屋』 【前編】・【後編】 ◇第2話『セラド…

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逆噴射小説大賞2023、大賞受賞

2023年、12月22日(金)。 今日は、第6回目の開催となった逆噴射小説大賞2023の最終結果発表日。 2018年の第1回から皆勤賞で挑み続けたワシは・・・ ついに大賞を受賞した…

ジョン久作
4か月前
70

パルプ小説において『物語を動かす』とは

ワシは、逆噴射小説大賞2022チャンプであるしゅげんじゃサンの記事(こちら)を読み、あらためてソンケイの気持ちを抱き、刺激を受けた。以下に一部を引用する。 そう………

ジョン久作
5か月前
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逆噴射小説大賞2023ピックアップ

※前置きは去年と95%同じ※ 今年はアッチもソッチもアレコレありすぎてタイム&パワーがピコンピコン赤点滅して……皆勤賞の逆噴射小説大賞に参加できないかも……みんな…

ジョン久作
6か月前
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贖命のダイヤモンド

河南省開封市  十六歳の傅小琛は、人もまばらな路上に竹籠を並べて西瓜を売っていた。色褪せた西瓜の売れ足は鈍く、茣蓙に座って地面の小石を数えていると、熊のような体…

ジョン久作
6か月前
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悪魔の風の軌跡

 ディアブロ山から吹きすさぶ猛風が山火事の煙と炎を巻き上げ、雷雲を生み続けている。絶え間なく降りそそぐ稲妻と火の粉は、今日も原野のどこかで新たな火災を引き起こす…

ジョン久作
6か月前
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数字メモ)逆噴射小説大賞2022

個人的に気になったので、以下ざっくり。 ・エントリー作品数:260作品 ※昨年:ひとり3作品まで(398作品)  ※今年:ひとり2作品まで ・エントリー作者数:163人 ・…

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逆噴射小説大賞2022ピックアップ(後編)

前回までのワシ 10/26までに投稿された作品のうち、21作を誠に勝手ながらピックアップした。 →前回は【こちら】 今回のワシ その後もじわじわ投稿は増え、最終日にめちゃ…

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逆噴射小説大賞2022。ワシも投稿デキタヨ&ピックアップ(10/26時点)

今年の8月9月あたりはアレコレありすぎてタイム&パワーがピコンピコン赤点滅して……皆勤賞の逆噴射小説大賞に参加できないかも……みんながドンパチやってる荒野の決闘場…

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ジオラマの境界線

 工務店の狭い事務所に響いた「ジオラマ」という四音を、私は聞き逃さなかった。デスクで夕刊紙をめくりながら、従業員たちのお喋りに耳を向ける。 「廊下を通ったときに…

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魔道

1984年 日本 長野県 「山で天狗が死んどる」  森林組合の男性による110番は、駐在所の巡査が到着するまで悪戯だと思われていた。  応援要請を受けて正午に臨場した矢…

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『赤、青、白』 #パルプアドベントカレンダー2021

 ――2021年12月24日 四谷三丁目  二ヶ月ぶりに来てみれば、四谷の夜に活気が戻っていた。新宿通りから一本入ったこの通りにも、クリスマス効果でずいぶんと人が流れて…

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『僕の親友』 #架空ヶ崎高校卒業文集

1996年 3年E組 是田 紅丸  架空ヶ崎高校で過ごした僕の四年間を振り返ると、牧くんのことばかり頭に浮かびます。  一年生のときに同じクラスになった牧くんは、サイバ…

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逆噴射小説大賞2021:ピックアップ

パルプ小説の「冒頭800字」の面白さ(&800字の先への期待感)で競うお祭り、イコール、逆噴射小説大賞。 今年で第4回。 ●ハッシュタグ:#逆噴射小説大賞2021 ●エントリ…

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不死者たちのネクロロジー

 パパが女を連れ込んだのは、家族の思い出が詰まった別荘だった。  枯れ枝が刺々しい森の中、細い林道の終わりにポツンと建つ木造のそれは、幼い頃の記憶よりもずいぶん…

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銀の網

 利三は警察に通報しないまま、残りの弁当を配り終えた。  営業所に戻る途中、河川敷で原付を停める。 『高齢者専門宅配弁当 サブちゃん』のロゴが貼られた後部ボックス…

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【目次】ダンジョンバァバ

【目次】ダンジョンバァバ

ファンタジー × 老婆 × 長編小説
= ダンジョンバァバ

●登場人物【名簿】

………▽ 目次 ▽………

◇第1話『バァバの武具屋』
【前編】・【後編】

◇第2話『セラドの独唱』
【前編】・【後編】

◇第3話『正体不明の存在』
【前編】・【後編】

◇第4話『テンガチ探検隊』
【前編】・【後編】

◇第5話『ホビット × ホビット』
【前編】・【後編】

◇第6話『フロン王と戦士たち』

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逆噴射小説大賞2023、大賞受賞

逆噴射小説大賞2023、大賞受賞

2023年、12月22日(金)。
今日は、第6回目の開催となった逆噴射小説大賞2023の最終結果発表日。
2018年の第1回から皆勤賞で挑み続けたワシは・・・

ついに大賞を受賞した。

まずはじめに、このエキサイティングな企画を6年間、欠かさず続けてくださった(そしてすでに来年の開催も決断的に宣言されている)ダイハードテイルズのみなさま、逆噴射聡一郎先生に、深く感謝したい(毎年感謝しています!)

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パルプ小説において『物語を動かす』とは

パルプ小説において『物語を動かす』とは

ワシは、逆噴射小説大賞2022チャンプであるしゅげんじゃサンの記事(こちら)を読み、あらためてソンケイの気持ちを抱き、刺激を受けた。以下に一部を引用する。

そう……
ワシも、逆噴射2023エントリー作品をすべて読み、その過程で感じていたことがある。
まず、今年は例年にも増して「小説書いた経験アリ」という新規参加者が(たぶん)多く、2018年にワシを含め大勢の小説ニュービーが全裸ステゴロで飛び込ん

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逆噴射小説大賞2023ピックアップ

逆噴射小説大賞2023ピックアップ

※前置きは去年と95%同じ※

今年はアッチもソッチもアレコレありすぎてタイム&パワーがピコンピコン赤点滅して……皆勤賞の逆噴射小説大賞に参加できないかも……みんながドンパチやってる荒野の決闘場……そのヨコを通り過ぎるときにワシは……マブシイ彼/彼女たちを見て小さく溜息をつき……などと覚悟していましたが、なんやかんや2作品、投稿できました。

●1作目:悪魔の風の軌跡
●2作目:贖命のダイヤモンド

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贖命のダイヤモンド

贖命のダイヤモンド

河南省開封市

 十六歳の傅小琛は、人もまばらな路上に竹籠を並べて西瓜を売っていた。色褪せた西瓜の売れ足は鈍く、茣蓙に座って地面の小石を数えていると、熊のような体格の中年男がフーの前で立ち止まった。
「你是傅小琛吗?」
 男は拙い発音でフーの名を口にした。
「ヤクザは日本に帰れ」
 日本語であしらうと、男は一瞬呆けた顔をしてから勝気な笑みを浮かべた。
「日本語うまいね。私がヤクザ?」
「見ればすぐ

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悪魔の風の軌跡

悪魔の風の軌跡

 ディアブロ山から吹きすさぶ猛風が山火事の煙と炎を巻き上げ、雷雲を生み続けている。絶え間なく降りそそぐ稲妻と火の粉は、今日も原野のどこかで新たな火災を引き起こす。投入された消防士は2週間で6千人を超えたというのに、制圧率は上がらない。
 ゾーイはスコップを地面に突き立て、防火グローブの指先で腕時計の煤を拭った。
 午後3時、気温49度。
 軽くなった水筒で喉を湿らせる。
 新米のゾーイを含む受刑者

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数字メモ)逆噴射小説大賞2022

個人的に気になったので、以下ざっくり。

・エントリー作品数:260作品 ※昨年:ひとり3作品まで(398作品)
 ※今年:ひとり2作品まで

・エントリー作者数:163人 ・・・1作品:66人
 ・・・2作品:97人
 

・日別エントリー数※曜日の傾向はあまり見られず
※最終日は、初日の突風の2倍で56作品。ラスト3時間で30作品がエントリー・・・!

例年、1次&2次選考(まとめておこなう)

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逆噴射小説大賞2022ピックアップ(後編)

逆噴射小説大賞2022ピックアップ(後編)

前回までのワシ
10/26までに投稿された作品のうち、21作を誠に勝手ながらピックアップした。
→前回は【こちら】

今回のワシ
その後もじわじわ投稿は増え、最終日にめちゃくちゃモリモリ増えて、読めば読むほどワシは自信をなくした。結果260作品くらいになったので、残り5日ぶんのなかからもピックアップし、ぜんぶは書けないから絞って前編・後編の合計が40ピックアップになるようにしてみた。
※と思って投

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逆噴射小説大賞2022。ワシも投稿デキタヨ&ピックアップ(10/26時点)

逆噴射小説大賞2022。ワシも投稿デキタヨ&ピックアップ(10/26時点)

今年の8月9月あたりはアレコレありすぎてタイム&パワーがピコンピコン赤点滅して……皆勤賞の逆噴射小説大賞に参加できないかも……みんながドンパチやってる荒野の決闘場……そのヨコを通り過ぎるときにワシは……マブシイ彼/彼女たちを見て小さく溜息をつき……などと覚悟していましたが、なんやかんや2作品、投稿できました。

●1作目:魔道
●2作目:ジオラマの境界線

なんでこの内容にした、とか、こういうこと

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ジオラマの境界線

ジオラマの境界線

 工務店の狭い事務所に響いた「ジオラマ」という四音を、私は聞き逃さなかった。デスクで夕刊紙をめくりながら、従業員たちのお喋りに耳を向ける。
「廊下を通ったときに襖が半開きで、婆さんが閉める前に見えたんすよ。山とか道とか、小さい建物とか」
「あたしご近所だけど、壇原さんって不愛想で付き合いがないのよね。出戻りした娘さんと二人暮らしだから、娘さんの趣味かも?」
 どうやら今日、柴本くんをボイラー修理に

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魔道

魔道

1984年 日本 長野県

「山で天狗が死んどる」
 森林組合の男性による110番は、駐在所の巡査が到着するまで悪戯だと思われていた。

 応援要請を受けて正午に臨場した矢島は、白樺林のヒグラシが静まる時間になっても検視を続けていた。早急に報告を上げるべきだが、好奇心が「まて」と言う。
 もう一度、オオワシの死骸に触れる。精根尽きたのか仰向けに倒れ、翼を広げたまま絶命している猛禽類の後肢、この大腿

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『赤、青、白』 #パルプアドベントカレンダー2021

『赤、青、白』 #パルプアドベントカレンダー2021

 ――2021年12月24日 四谷三丁目

 二ヶ月ぶりに来てみれば、四谷の夜に活気が戻っていた。新宿通りから一本入ったこの通りにも、クリスマス効果でずいぶんと人が流れてくる。真っ赤なショートダウンにサンタ帽姿の私に、道ゆく人たちの目が向いて、それて。向いて、それて。向いて、それて。

 私は小さく咳払いして、もう一度――

「クリスマスケーキ、いかがですか……」

 バイト収入を失う大学生が多い

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『僕の親友』 #架空ヶ崎高校卒業文集

『僕の親友』 #架空ヶ崎高校卒業文集

1996年
3年E組 是田 紅丸

 架空ヶ崎高校で過ごした僕の四年間を振り返ると、牧くんのことばかり頭に浮かびます。

 一年生のときに同じクラスになった牧くんは、サイババみたいな髪型で、骨川筋衛門みたいにガリガリで、昼飯は必ず煎餅か食パンで、根暗な感じで、休み時間は寝るという変わり者だったので、はじめの何ヶ月かは挨拶すら交わしませんでした。

 そんな牧くんと仲良くなったのは、一年目の虚像祭で

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逆噴射小説大賞2021:ピックアップ

逆噴射小説大賞2021:ピックアップ

パルプ小説の「冒頭800字」の面白さ(&800字の先への期待感)で競うお祭り、イコール、逆噴射小説大賞。

今年で第4回。
●ハッシュタグ:#逆噴射小説大賞2021
●エントリー作品収集マガジン:こちら

10月8日から受付がはじまり、日々note上に増えていくエントリー作品(現時点で270くらい)。
※募集期間は10月31日まで。アナタもまだ間に合うよ・・・!

ワシも参加者であり、すでに3作品

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不死者たちのネクロロジー

不死者たちのネクロロジー

 パパが女を連れ込んだのは、家族の思い出が詰まった別荘だった。
 枯れ枝が刺々しい森の中、細い林道の終わりにポツンと建つ木造のそれは、幼い頃の記憶よりもずいぶん小さく思えた。
 パパのジープの後ろに車を停める。
 深呼吸。
 助手席のジョーが、咎めるような目で私を見た。
「なによ」
「充分だろ。叔父さんも男なんだ、わかってやれよ」
「ぜんぜん理解できない」
 ママが死んでまだ一年。もう女を作って、

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銀の網

銀の網

 利三は警察に通報しないまま、残りの弁当を配り終えた。

 営業所に戻る途中、河川敷で原付を停める。
『高齢者専門宅配弁当 サブちゃん』のロゴが貼られた後部ボックスを開けて、相田久子に届けるはずだった鰤の照り煮弁当を取り出す。

 梅雨入りも近い平日の昼。一直線の遊歩道に人影はない。
 ベンチに腰掛け、手を合わせる。
「いただきます」
 利三も70手前の高齢者だが、ムース食を口にするのは初めてだっ

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