板生研一 | 起業家兼研究者が考える クリエイティブ・メンタルマネジメント法

WINフロンティア株式会社 創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SO…

板生研一 | 起業家兼研究者が考える クリエイティブ・メンタルマネジメント法

WINフロンティア株式会社 創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / クリエイティブ・メンタルマネジメントの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術論文等)と、大企業&起業によるビジネス経験に基づき発信します!

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小さなクリエイティビティがメンタルの鍵になる

このnoteで最も伝えたいこと このnoteで最も伝えたいこと、それは「小さなクリエイティビティがメンタルの鍵になる」ということです。「クリエイティビティ」というと、途端に自分には関係ないと思う人が結構いると思うのですが、ここでいう「クリエイティビティ」は、誰もがその気になれば発揮できる「日々の小さなクリエイティビティ」のことです(これを「リトルC」といいます)。 下の図を見てください。私がこのnoteで書くことは、全て、この図がベースになっています。 少し言葉で説明す

    • 思考スピードを上げて、クリエイティビティを高める

      作業の「慣れ」を回避する デスクワークで同じような作業ばかりを長時間していると、集中力が低下し、パフォーマンスが下がる経験は誰しもあることでしょう。そのような時は、思考力も低下し、クリエイティビティを発揮することは難しいと考えられます。この状態への対処法としては、まず、作業の「慣れ」を回避すること、そして、思考スピードを上げることでクリエイティビティを高めることができます。 まず、作業の「慣れ」を回避する方法について、アメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の有賀

      • 天気と気分とクリエイティビティ

        天気が良いと満足度が高い? 私たちの気分は、その日の天気の影響を少なからず受けることが研究でわかっています。 ドイツのハイデルベルク大学のノーバート・シュワルツ博士らは、天気と気分の関係について、興味深い実験を行いました。 シュワルツ博士らは、84人の参加者を対象に、天気の良い日と悪い日にそれぞれ電話インタビューを行い(1980年代前半の研究なので、インターネット普及前ですね)、その会話の中で、現在の「幸福度」と「生活の満足度」を尋ねたところ、天気の良い日に回答した人

        • 「AWE」という感情がもたらす効果とは?

          「AWE」とはどんな感情? 「AWE」(“オウ”と発音)という感情をご存知でしょうか?満天の星空を見上げて自然の美しさや雄大さ、宇宙の壮大さに思いを馳せたり、地震や津波などの自然の脅威を目の当たりにして畏れおののいたりした時に感じる、人生観や世界観が変わるような感情を心理学ではAwe(日本語では「畏怖」と訳される)と言います。AWEはネガティブな側面もあるものの、基本的にはポジティブ感情の1つと考えられています。ここでは、このAWEを日常で感じる機会を取り入れることで、ク

          「ファスト映画」がウェルビーイングを下げる理由

          コンテンツを「倍速」で視聴するライフスタイル 「ファスト映画」という言葉をご存知でしょうか。「映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度にまとめてストーリーを明かす違法動画」(出典:ウィキペディア)のことです。説明の通り、この行為自体は著作権を犯す違法行為ですが、合法的な個人視聴においても、映画やドラマを早送りで見る人がとても増えているようです。 書籍『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史著/光文社新書)は、このような視聴スタイルが出現した理由について

          クリエイティビティに対する自信と健康

          日本人のクリエイティビティに対する自信 アメリカのソフトウェア会社アドビシステムズのグローバル調査(State of Create global benchmark study、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本の5カ国の計5,000人を対象)によると、人間が本来持っているクリエイティビティを開花させることが経済成長のカギであると考える人は80%にものぼるにもかかわらず、そのクリエイティビティを発揮できていると感じる人は、たった25%しかいないことがわかりました。

          タイムプレッシャーがクリエイティビティを殺す

          日本は慌ただしさで世界第4位 世界各国を見渡すと、のんびり生活している国もあれば、せかせかと暮らしている国もあります。アメリカのカリフォルニア州立大学のロバート・V・レウィン博士らは、世界31か国の大都市の生活ペースを比較する実験を行いました。 この実験で、生活ペースの指標としたのは、 ① 繁華街での人々の歩行スピード ② 郵便局で切手1枚を頼んでから、出てくるまでの時間(働く人の作業スピード) ③ 繁華街の銀行(計15の銀行をランダムに選択)の壁掛け時計の時刻の正

          サウナで自律神経を整え、クリエイティビティを高める

          ビジネスパーソンに人気のサウナ 常に時間に追われるビジネスパーソンにとって、「うまく息抜きをする」ことはとても大事ですが、これが難しいと感じる人が結構多いのではないでしょうか。なぜなら、何にどれくらい時間をかければ効果的な息抜きになるか、わかりづらいからかもしれません。短すぎると効果は薄いですし、長すぎると再び仕事に戻るまでのロスが多そうですよね。 そんな忙しいビジネスパーソンの間で人気なのが、サウナです。サウナに入ることで心身が「ととのう」という効果がクローズアップされ

          心理的安全性がクリエイティビティを高める

          心理的安全性とは? 心理的安全性(psychological safety)とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも、安心して発言できる状態のことで、ハーバード・ビジネススクールの組織行動学者エイミー・エドモンドソン博士は、「チームの心理的安全性」を提唱する世界的な第一人者です。 学術的に長年研究されてきたこの概念をビジネスの世界に広めたのはグーグルです。グーグルは、社内プロジェクトで、最高のチームをつくるために必要な要因を調査した結果、この心理的安全性という概

          焚き火でコミュニケーションを深め、自律神経を整える

          焚き火のあるライフスタイル 昔の日本の家屋には囲炉裏や火鉢があり、欧米では現在でも暖炉が一般的に使われており、火は私たち人間のコミュニケーションを促進する重要な要素として利用されてきました。 アフリカの部族のライフスタイルを174日間調査した、アメリカのユタ大学の文化人類学の研究では、アフリカの部族も日中の会話は経済的な問題や部族内のルール等についてのものがほとんどである一方で、夜は焚き火を囲んで、日中の緊張感から離れて、歌や踊りに興じるとともに、みんなが知っている人々に

          レム睡眠がクリエイティビティを高める

          睡眠の役割 睡眠はメンタルヘルスやクリエイティビティにとって、とても重要です。特に、睡眠効率、つまり、ベッドにいた時間に対して実際に眠っていた時間の割合が翌日のクリエイティビティに影響します。(詳しくは、「起業家のクリエイティビティと睡眠」をご覧ください) ところで、私たちの脳活動は睡眠中にも様々に変化します。具体的には、私たちの睡眠は、レム睡眠(REM sleep)とノンレム睡眠(non-REM sleep)という質的に異なる二つの睡眠状態で構成されています。 レム睡

          「短歌」で小さなクリエイティビティを高め、メンタルを整える

          SNSに通じる「短歌」 「短歌」がちょっとしたブームのようです。特に中高生の間で流行っているといいます。 以下、日経新聞の記事を引用してみたいと思います。 同記事では、コロナ下での閉塞感から日常が戻りつつある喜びを表現した高校生の短歌として、こんな1首が紹介されています。 ご存知のように、短歌は、5・7・5・7・7という文字制限の中で、いかに自分が伝えたいことを表現するかが勝負ですが、この一首を例にとっても、短い言葉の中に強いメッセージが込められており、その人が直面し

          「短歌」で小さなクリエイティビティを高め、メンタルを整える

          起業家のクリエイティビティと睡眠

          起業家に求められるクリエイティビティ 「小さなクリエイティビティがメンタルの鍵になる」というのがこのnoteのテーマですが、クリエイティビティには、誰もが日常で発揮できる「little c」以外にも、職業専門家が発揮する「Pro C」というタイプがあります。 この「Pro C」と関連の深い職業は、映像、音楽、ゲームなどのクリエイターやデザイナー、斬新な研究テーマを追い求める科学者や新たなマーケットを創り出そうとするマーケターなど様々ですが、今回は、起業家(アントレプレナー

          クリエイティビティを高める「ブレスト」のひと工夫

          リトルCを増やす「ブレスト」 「ブレスト」をご存知でしょうか。ビジネスパーソンなら聞いたこと、やったことがあるかと思いますが、これは「ブレインストーミング」の略で、1938年にアメリカのある広告代理店の創設者であるアレックス・オズボーン氏によって考案されたアイデアの発想技法です。設定したテーマ(課題)に対して、グループで新しいアイデアを一定の時間内にどんどん出して行くのが通例です。 私は、ビジネスパーソンとしてのスタートを切ったソニーでは、商品企画の部署に配属されましたの

          「笑い」でポジティブ感情を増やし、パフォーマンスを上げる

          週1回以上、声に出して笑うことが大事 私たちの脳は、ポジティブなことよりもネガティブなことに強く反応しやすいようです。なぜなら、人は進化の過程で、様々な外敵から身を守るために、ネガティブなイベントをいち早く察知し、それを未然に回避するように脳が発達したからで、これを「ネガティビティ・バイアス」といいます。 フランスの哲学者アランはその著書『幸福論』の中で、「悲観主義は気分だが、楽観主義は意志である」と述べています。この言葉からもわかるように、私たちは気分に任せていると、ど

          「笑い」でポジティブ感情を増やし、パフォーマンスを上げる

          クリエイティブな人の内面の特徴

          クリエイティブな人は判断を急がない クリエイティビティは主に4種類あり、その中でも、誰もが発揮できる日々の小さなクリエイティビティ「little c」が大事なのですが(詳しくは、「クリエイティビティとメンタルヘルス」をご覧ください)、今回は、専門的な職業の中で発揮する「Pro C」というクリエイティビティに関する研究をベースに、クリエイティブな人の内面の特徴について書きたいと思います。今回、心理学者のブライアン・R・リトル教授の書籍『自分の価値を最大にするハーバードの心理学