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仲間の感情を認識する力がチームのクリエイティビティを高める


チームのパフォーマンスと他者の感情を認識する力


仕事をする上でチームワークが大事であることに異論はないと思いますが、チームワークを十分に発揮して、チームのパフォーマンスを最大化するには何が必要でしょうか。仕事の能力や知能が高い優秀なメンバーを揃えることはとても大事なことですが、実はそれと同じくらい大事なことがあります。

それは、他のチームメンバーの「感情を認識する力」です。

これに関連する、アメリカのカーネギーメロン大学テッパービジネススクールのアニタ・ウィリアムズ・ウーリー博士らの研究を紹介します。

この研究では、699人を対象に、以下の4タイプのグループ課題に取り組んでもらいました。

  ① アイデアや計画を創出する課題

  ② 正しい回答や判断を選択する課題

  ③ 異なる意見や考えを協議する課題

  ④ 決められた作業を実行する課題

そして、これらの課題を遂行する能力に影響する要因が何であるかを分析しました。

その結果、チームメンバーの知能の平均値や最大値よりも、集団的知能(collective intelligence)が最も重要な要因であり、集団的知能は、他のチームメンバーの感情を認識する力によって決まることがわかりました。

ここで、「他者の感情を認識する力など、どうやって測定するの?」と思われたかもしれないので説明します。

他者の感情を認識する力は、RMET(The Reading the Mind in the Eyes Test、目の表情から感情を読み取るテスト)という心理学で用いられるテストを使って測定しました。これは、人物の目の周辺が写っている画像を、次から次へとモニター上に提示し、各画像からその人の感情を推定してもらい、4つの選択肢から正しい感情を選択させるというテストです。

このRMETの成績が高いメンバーで構成されたチームは、他のチームメンバーの感情を敏感に読み取り、配慮することで集団的知能が高まり、それがグループのパフォーマンスの向上に役立った可能性が高いということですね。

グループワークの中でも、①の「アイデアや計画を創出する課題」、つまり、クリエイティビティを要する課題は、特にチームワークが大事になってきます。個々人の知能だけに依存するよりも、他のメンバーの感情を汲みながら共同作業をすることで、ポジティブな雰囲気がチームに芽生え、それが良いアイデアの創出につながります。

では、他のメンバーの感情を認識する力を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。

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