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【実録】オンライン合わせの可能性に迫る #StayHome

こんにちは、ライターの大橋です。

「アンサンブルしたい!」
そんなおうち時間を持て余したライター大橋が、先日オンラインで合わせをしてみました。

【合わせとは】
アンサンブルや合奏のために、互いの音や音楽を合わせて、音楽の方向性を話し合ったり、聴き合ったりする行為のこと。「楽器合わせ」という言葉には、様々な要素が含まれています。例えば、合唱練習など。


「実際オンラインで合わせできるの?」
「試してみたいけど、誰に試してもらおう・・・。」
「レッスンに使いたいから音質知りたい・・・。」

そんなあなたに読んでいただきたい記事です!

今回使用したアプリはこちら!

・LINEビデオ電話
・FaceTime
・Skype
・カカオトーク
・Google Duo
・messenger
・Zoom
・YAMAHA NETDUETTO

今回実験に参加したのは、同じくライターの前田直哉と、わたくし大橋奈菜。ちなみにこれまで二十以上の公演を共にしてきた二人でのチャレンジだったのですが・・・。

果たしてどうなるのでしょうか?

※1:通話機能はネットの環境に大きく左右されます。
※2:また、アプリ等の仕組みの専門家ではありませんので、あくまでも「楽器の音」を試してみた使用感レポです。
※3:実際の音質等は、下の動画を参考にお読みください。なお、各項目名のリンクをクリックすると、動画内でそのアプリを試している箇所に移動します。
※4:参考動画では、ピアニスト側から録音したものを使用しています(録音イメージ図を参照)。そのため、ピアノの音が生の音を録音したもの、サックスの音が電話越しに聞こえた音を録音したものです。

オンライン合わせ


1.LINEビデオ電話

まずは、おなじみのLINEビデオ電話です。
今回使用した中では、一番馴染みがあるアプリ。

音声の入力と出力が同時にできない点が最も顕著に現れていたように思います。音質も決して良いとは言えず、音質はラジオのようで、響きがなく、音が平たく感じました。

【アプリについて】
LINEの国内ユーザー数は2019年の調べで8200万人。一番手軽に試すことのできるビデオ電話ではないでしょうか?ご存知のようにチャット機能があるため、通話発信の合図を送ることができます。
(参照:総務省「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」


2.FaceTime

こちらは、iPhoneユーザーなら馴染みのあるアプリかもしれません。先ほどのLINEビデオ電話と比較すると、少し丸みのある音(良く言えば)で尖りが少なく感じます。若干の…本当に若干のビブラートも聞こえ…なくもない...。

ただ、ラグによって、合わせは不可能。特に付点やタイなどでラグを感じます。

【アプリについて】
こちらのアプリは、Appleユーザーであれば誰でも使用することができます(ただAndroidユーザーが使えないのが痛い点)。
今回比較したアプリの中で、最も通信データ量が少ないとされています。一つ付け加えるならば、チャット機能はありません。
(参考:ライター大橋の個人ブログ「アプリデータ量比較」


3.Skype

Skypeは音の入力と出力が同時にできるのか、こちらが音を鳴らしていても、相手からの音が途切れにくいと感じました。しかしラグはどうにもならない...。

筆者はSkypeでレッスンを数回受けたことがありますが、先日受講した先生は、配信サービスOBSと連携してSkypeでのレッスンをしてくださいました。
(参考:OBSサイト

以前Skypeを使用して別の先生に聴音のレッスンを受けましたが、こちらは電波の影響もあって非常に残念な結果になってしまいました。ラグや音が途切れる可能性があるオンラインでの「聴音」は、非常に難しいと思われます。

【アプリについて】
Microsoftが提供しておりMicrosoftのアカウントが必要ですが、アカウント取得は非常に簡単です。
また、LINEと似ていますが、LINEはスマホ用に、Skypeはパソコン用に発達してきた経緯があります。LINE同様チャット機能がついているので、電話前の合図がしやすいですね。


4.カカオトーク

トークする分には問題ないのですが、楽器の音は最もよくなかったと言えます。また、ラグも他のアプリと同じようにあります。

LINEと同じようにエフェクトや、フィルターもあるので、通話のみの場合は十分に楽しめるでしょう。

【アプリについて】
こちらは韓国企業カカオが開発しているアプリ(比較:LINEは、韓国ネット企業の日本法人)。そのため、日本国内ユーザーは750万人。登録はLINEのように電話番号で行うことができます。

5.Google Duo

音質はLINEと似ています。
しかし、楽器が奏でる音以上にサクソフォンのキーを押す音を拾っていたりするので、余計な音が「バチバチ」と聞こえます。操作のシンプルさ故、筆者の推しでしたが、音質は今一つのようです。

【アプリについて】
Google Duoは電話番号を登録するだけで使用開始できる手軽なアプリです。FaceTimeと対抗してできたアプリと言われており、操作のシンプルさを売りにしています。そのため、ビデオ通話初心者にも使い方の説明をしやすいところが良い点です。

同じくGoogleが提供しているハングアウト(2020年にサポート終了予定)はGoogleアカウントが必要なため、Google Duoの方がより手軽に始められます。また、Googleの通話アプリの中で最も安定性が高いとされています。さらに、Wi-Fiに接続できない場合は、接続速度を自動で1Mbpsに低下してくれる機能もあります。
(参考:情シスHack


6.messenger

FaceTimeの音質に似ているものの、音が小さい!
同時に音が出ても互いにあまり影響がないアプリだったように思います。しかし、ラグはありますね...。

【アプリについて】
Facebookの一部としてリリースされた機能。しかし2014年からアプリが独立し「Facebook Messenger」となりました。そのため、Facebookのアカウントがなくても電話番号のみの登録で使用が可能です。チャット機能で最も特徴的なのは、自動翻訳機能がついていることでしょう。

7.Zoom

一番雑音が少ないと感じました。また、所々ロングトーンでビブラートが誇張されるときがあります。音質は今ひとつですが、他のアプリと比べると良い方に分類されるでしょう。

どちらの音が優先されているかは画面上にて光りが灯るため目に見えて分かるので、やはり会議用に向いてると言えます。合わせは「できるかも!」と思ったのですが、実は相手にイマイチ聞こえていなかったというオチでした。

【アプリについて】
アメリカにある「ズームビデオコミュニケーションズ」という会社が出しているサービスです。会議のためのサービスなので、画面共有や、グループ分けといったような機能充実が良い点です。一方で登録の仕方がややこしいと感じている層がいるのも事実。
また、こちらは安全面で問題になっているのが懸念点でしょう。今後の改善が行われれば「会議」にとっては良いサービスになるのではないでしょうか。
(参考:米ズーム・ビデオにプライバシー懸念浮上、新型コロナで利用急増の中 - Bloomberg

番外編.YAMAHA NETDUETTO

【使用感】
こちらのソフトは、イヤホンがないとハウリングを起こしやすく、録音に至らず、動画の中に入っていません。他アプリと比べて音質は少々良いように感じました。

「音の遅れ」を小さくしてくれるソフトなのですが、そう簡単にはいきません。データを圧縮すれば、音質が低下します。また、音質を保とうとすると、ラグが大きくなります。
例えば、曲を弾き始めて自分のテンポを信じて相手を聴かずにインテンポで弾けば、それなりの曲になるかもしれません。ですが、果たしてそれを”セッション”、”合わせ”というのでしょうか。

また、こちらのソフトは専門用語に溢れていた為、初心者は勉強が必要です。
(参考:ZOOM+NetDuettoでの音楽セッション!システムテスト - YouTube

【ソフトについて】
「ヤマハ株式会社のネットワークを介して音楽セッションを実現する技術「NETDUETTO」を活用した、アプリケーションの開発や他のサービスとのコラボレーションなどを模索する実験の場。」となっています。
(引用:NETDUETTOラボについて | NETDUETTOラボ

しかし、2020年秋ごろにサービスが終了するそうです。その代わり、新たな「SYNCROOM」というサービスが2020年6月より開始するとのことです。こちらでは「合わせ」ができることを期待しています。


まとめ

note_オンライン合わせ比較表

実際アンサンブルの「合わせ」は、音質が重要になるので、はじめのチューニングの時点で「合わせ」にならないことは皆さんお分かりだったと思います。しかし、音だけなら・・・と頑張ってみたものの、やはりラグはどのアプリもあるので、軽いセッションだけでも難しいようです。

オンライン合わせ_挿絵

この外出自粛期間で感じたことは、「オンラインの楽しさ」よりも「生のアンサンブルの良さ」。そして、アンサンブルの恋しさでした。ぜひ感染症が収束した暁には、筆者は室内楽に取り組みたいなと、密かに思っています。

一方で、合わせはできなくても、レッスンとしては最低限のティーチング、コーチングができるかもしれません。この機会にぜひオンラインの実験と、実用化を図ってみてはいかがでしょうか。

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文責:大橋 奈菜(おおはし なな)
大分県出身。大分県立大分舞鶴高等学校卒業。大分県立芸術文化短期大学音楽科ピアノコース卒業。京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。
2020年4月より、関西にてフリーで音楽活動を開始予定。
HP : ななを。ホームページ
協力・文責:前田 直哉(まえだ なおや)
鹿児島県出身。9歳からサクソフォンを始める。第17回日本ジュニア管打楽器コンクール銀賞(第2位)受賞。第23回日本クラシック音楽コンクール1位なしの2位。第22回KOBE国際音楽コンクール優秀賞を受賞。第20回大阪国際音楽コンクールエスポワール賞を受賞。アジアユースオーケストラ2018の一員として、香港や北京などアジア11都市を巡るツアーに参加。2019年12月、韓国ソウルにて「Amuse Saxophone Ensemble 創立演奏会」にゲストとして参加。これまでにサクソフォンを土田まゆみ、有村純親、國末貞仁、須川展也、本堂誠の各氏に師事。京都市立芸術大学音楽学部音楽学科管打楽専攻卒業。
問合せ:maedanaoya.sax@gmail.com


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