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落語の國

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カラッと壮快な気質が気持ちいい肌触りは、どこかラテン世界のその感じと似たものが香る気もする。同じ物語なのに、聴くたびに、少しずつ違う粗忽な登場人物、少しずつ違う粋な計らいの想像を…
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なぜ私は落語がスキッ!なのか

なぜ私は落語がスキッ!なのか

この世の中にいろいろエンタメが溢れかえるほどあるのに、どうして落語に今さらハマるのか。自分でも摩訶不思議でした。落語にハマり始めて半年ほどが経って、一度コトバにしてみたいなと思いました。うまく綴れるかは別なんですが。。

私の今現在の状況も、もちろんハマるキッカケだっと思います。人のカッコ悪い部分でさえ肯定する世界は、救われるキモチになる。少なからずワタシの心象風景が投影されるのだろうと。

聴き

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思い出し落語 -その4-

思い出し落語 -その4-

2019年ワタシが聴いた落語533席で印象深い高座を振り返ってみようと思います。

柳家喬太郎師の「ハンバーグができるまで」

なぜそれほどまでにキュンとしちゃうものなのか。ニンジンの甘酸っぱい味がする、なんともステキな噺です。

思い出し落語 -その3-

思い出し落語 -その3-

2019年ワタシが聴いた落語533席で印象深い高座を振り返ってみようと思います。

瀧川鯉昇師の「千早ふる」です。

寄席だろうが、ものすごく大きな会場であってもまったくブレない師匠。

初めの沈黙の間合いで笑わなかったことはないです。

とぼけた内容をマジマジと話す師匠は、ステキな噺家さんです。

また来年も聴きたいです。

そして、よいお年をお迎えください。

思い出し落語 -その2-

思い出し落語 -その2-

2019年ワタシが聴いた落語533席で印象深い高座を振り返ってみようと思います。

五街道雲助師の「藁人形」です。

落語って、こんなに上品で美しい世界があるのかと思った高座でした。

ハメモノの三味線との重なりあいに初感動したのを憶えてます。

ワタシの中で、美しい落語といえば雲助師匠。

雲助一門もステキです!

思い出し落語 -その1-

思い出し落語 -その1-

2019年ワタシが聴いた落語533席で印象深い高座を振り返ってみようと思います。

まずは、神田松之丞です。

真景累ヶ淵 宗悦殺しを間近で聴いて素晴らしかった。美しくも儚い。その頃音源でよく聴いていたので、感動がハンパなかった。

終わってから隣りに座っていたジジイが、贅沢な大ネタやったって話しかけてきたのも印象的だったな。

2019年-らくごはワタシの生きる拠り所だった

2019年-らくごはワタシの生きる拠り所だった

去年の2018年12月20日に初めて落語を生で聴いた。初老の男性が話しているだけなのに、涙が出てきた。演技が抜群に上手というわけでもない。座布団の上に座って扇子と手拭いだけで、煙草やお箸の表現をする。身振り手振りもそれほど使わない。江戸らしき時代の物語だし、誰が喋ってるだとか、場面が変わっただとか、わからないこともあるが、丁寧に説明はしてくれない。

なのに、なぜ涙が出てくるのかよくわからなかった

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今年さいごの最後は富Q!祭り

今年さいごの最後は富Q!祭り

いま年の瀬をいちばん感じさせるのは、やっぱり落語だ。銀座の街を歩いても、渋谷パルコに行こうとも、もうそれほど年末を感じることはない。落語を聴きはじめて、季節の移り変わりを想う気持ちが、わかるようになった。気がする。。

ワタシの今年さいごの落語は、池袋演芸場の昼席。トリは三遊亭白鳥師の「富Q」祭り!ラストは、パッと明るくいきたい!みなさん考えることは同じで、ずっと立ち見。それでもイイのだ。

出演

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創造のミルフィーユはディスカッションで積み重なってく

創造のミルフィーユはディスカッションで積み重なってく

友人に、SWA(創作話芸アソシエーション)のことが書かれた本をもらった。まだしっかり読めてないんだけど、以前綴った時にモヤモヤしてたコトが書かれていた。

前綴ったのは、それぞれの物語が連なっていく相乗効果みたいなことだったと思う。

活動休止前のSWAの本には、それぞれの刺激を受けた興奮が描かれていた。ワタシも興奮した。

落語をするために、演者としての役割や、噺の演出までを手掛けるのは、基本1

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しばらくの別れ。

しばらくの別れ。

今年最後の新宿末廣亭でした。

そして、しばらくの別れとなる。次行く予定は立たないし、ふらっと聴きに行くコトも、もうカンタンにはできないようになる。

落語は、ワタシを救ってくれた恩人であり、末廣亭に行くといつもと変わらず、迎えてくれる親友のような存在だった。

そして、いつもの見慣れた友人が下手側のどこかで笑っている。愛おしくてたまらない空間だ。

そんな寄席のトリは、林家彦いち師ってのもシアワ

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物語がはじまり、噺は連なりはじめた。

物語がはじまり、噺は連なりはじめた。

SWA(創作話芸アソシエーション)へ行ってきました。
SWAというのは、8年ぶりに復活した新作落語などを行う4人のグループ。林家彦いち師、三遊亭白鳥師、春風亭昇太師、柳家喬太郎師という豪華メンバーな集団だ。もう、このメンツだけで興奮してしまう。

演目は、
●柳家喬太郎 「八月下旬」
●春風亭昇太 「心をこめて」
●林家彦いち 「泣いたチビ玉」
●三遊亭白鳥 「奥山病院綺譚(きたん)」

もちろん

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God is in the details -神は細部に宿る-

God is in the details -神は細部に宿る-

11月に「五貫裁き」を聴いてすぐに独演会のチケットをとったのが、立川談春師。立川談春35周年記念独演の 『阿吽』(あうん)-平成から令和へ- へ行ってきました。

「文七元結」と「芝浜」という年末を彩る名作で、紅白なら何十年と連続で出場するような落語だ。

まず、会場がデカい!セットも凝ってる!長めの三味線が流れ、ついに立川談春師登場。小さい!なかなか前の席だけど小さく感じる!そして、座布団がデカ

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(続)噺家は噺家のやり方で愛を込める

(続)噺家は噺家のやり方で愛を込める

引き続き「柳家小三治・三三 親子会」について綴ります。
昨日は、弟子である柳家三三師が、かけた演目「火事息子」に込めた(であろう)想いを想像し綴りました。

そして、この会のトリ(ラスボスみたいな)は、師匠である柳家小三治師です。弟子のネタを聴いて、高座に上がる師匠は、どうするんだろう。
背筋の伸びた小三治師が、ゆっくりと高座に向かって歩いてくる。その様子は、まるで武士。悠然としている。
申し訳な

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噺家は噺家のやり方で愛を込める

噺家は噺家のやり方で愛を込める

引き続き昨日の「柳家小三治・三三 親子会」について綴ります。
この落語会は、柳家小三治師80歳の誕生をお祝いするためにお弟子さんたちがサプライズで開いた会です。
なので、小三治師はこれまで通りの親子会だと思っていたでしょう。
この会に参加したお客は、みなサプライズの「共犯者」ということです。

小三治師の前に高座へ上がったのは、柳家三三師。
何度か聴いて大スキになった師匠のおひとりだ。

「目立た

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80歳の師匠を祝うための落語会

80歳の師匠を祝うための落語会

柳家小三治師が、明日2019年12月17日で、80歳になる。師匠はまだ現役だ。それも楽勝で。小三治師が、高座に上がる姿を初めて目の当たりにした。背筋をビシッと伸ばして悠然と歩く姿は、まるで武士。武士を見たことないけど、師匠は見たことあるんだと思う。

ゆっくりと座布団に座るだけで、会場の空気が変わる。それが伝わってくるのは、ワタシが一番空気が変わったからだ。期待が高まるというか、会えただけでそれで

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