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ノートココロト魂がふるえる/展覧会・美術評

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【脳と心と私の魂が揺さぶられた企画展・作家・作品に注目する美術評】 目に見えている現象や、頭で考えた理屈を超え、 心と魂がふるえた瞬間の波動こそARTというものの真髄に違いない…
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#吉原治良

青い人体レリーフに何を感じているのか?/イヴ・クライン 私の見かた

青い人体レリーフに何を感じているのか?/イヴ・クライン 私の見かた

イヴ・クラインといえば、
自ら開発した「インターナショナル・クライン・ブルー」と呼ばれる
青の顔料一色で作られた《人体レリーフ -PR3》(彫刻の森美術館蔵)が、
印象に残る。

あの青い人体とは、一体何なのか?
真っ青な《人体レリーフ》に私たちは何を感じているのか。

その一つは、下記のようなこともあるかも知れない。                          

イヴ・クラインは、フラン

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美術鑑賞とは「不在の霊性」を感じ取れたかどうか、その一点に尽きる/BACK TO 1972・50年前の現代美術へ

美術鑑賞とは「不在の霊性」を感じ取れたかどうか、その一点に尽きる/BACK TO 1972・50年前の現代美術へ

2022年12月4日・日曜日。
ふと思い立ち、西宮市大谷記念美術館へ向かった。
イベントの仕事で神戸・六甲を訪れ、普通電車から急行に乗り換えるため、阪急「夙川」という駅に降り立ったとき、
今日行っておかなければ、と感じて、駅を出て美術館へ歩いた。
そして特別展「BACK TO 1972・50年前の現代美術へ」を見た。

この美術館が開館した1972年という年は、
その後今に至る半世紀の日本の運命と

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「具体」が切り開く未来はあるか/グタイ・ピナコティカがあった大阪中之島

「具体」が切り開く未来はあるか/グタイ・ピナコティカがあった大阪中之島

大阪中之島美術館と国立国際美術館で共同開催されていた「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」という、この2館だけで開催された昭和・日本の現代アートの全開催日程80日間の展覧会がありました。

私は結局、開幕前の2022年10月21日の報道関係者向けの内覧会と、閉幕日2023年1月9日にも会場へ行きました。最終日には、けっこう多くの若い人たちが来ており、新しい世代の潜在的関心を感じることが

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