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自分の仕事について

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実況アナウンサーという自分の仕事について書いた記事を集めています。
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#私の仕事

古舘伊知郎初の小説「喋り屋いちろう」の読書感想文を書いてみた

古舘伊知郎初の小説「喋り屋いちろう」の読書感想文を書いてみた

古舘さんのエピソードで僕がいちばん好きなのが、アナウンサー駆け出し時代の話である。今より圧倒的に勢いのあったテレビ局に存在した、先輩から受けた厳しい指導や上下関係のエピソードは、いかにも放送局というかんじで、地方の小さなラジオ局で育った自分にはとても羨ましく思えるからだ。豪快で、おおらかで、理不尽。例えて言うなら、室温40度の中でヒンズースクワットを繰り返す昭和の新日本プロレス道場伝説のようなもの

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知らなかった業界コンテストを「実況」で伝える異色すぎる番組がNHKでスタート

知らなかった業界コンテストを「実況」で伝える異色すぎる番組がNHKでスタート

日本国内には、業界のスキルアップを目的に開催されているコンテストが数多く存在することをご存知だろうか。大小合わせて年間に100を超える大会が行われているものの、一般的にはほとんど知られていないのが現状である。『ニッポン知らなかった選手権 実況中!』とは、そんな“日本の技術力”を支えている業界コンテストを紹介する番組なのである。

テレビの世界では、高い技術を持った人をスタジオに呼んで大会を開いたり

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インドでも実現していない、世界初の「タブラ実況」とはどんなものだったのか?

インドでも実現していない、世界初の「タブラ実況」とはどんなものだったのか?

東京オリンピックは選手にとってはもちろん、実況アナウンサーにとっても晴れ舞台だ。中継を担うNHKや民放キー局のアナウンサーたちは、ずいぶん前から取材を重ねて、選手の姿や競技の様子を言葉で伝えるのである。彼らの声がテレビから流れる裏で、僕はタブラの演奏を実況することを思いついたのだ。

しかし、タブラ、と聞いてもピンと来ない人も多いだろう。

タブラとは、北インドの古典音楽には欠かせない打楽器で、い

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東京オリンピックの裏でタブラの演奏を実況することになった

東京オリンピックの裏でタブラの演奏を実況することになった

(追記)このイベントはすでに終了しています。

次回の実況芸イベントは、タブラ奏者のU-zhann(ユザーン)さんとセッションする。タブラとは、北インドに伝わる打楽器で、インドでは日本のピアノのように習い事に含まれるポピュラーな楽器だが、日本では演奏する人は少ない。では、なぜこの珍しい楽器を僕は実況しようと思ったのか。ここで説明しておこう。

イベントの開催を決めたのは楽器よりも、まずU-zhaa

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僕が実況芸に力を注ぐ理由

僕が実況芸に力を注ぐ理由

僕がここ数年、力を注いでいることの一つに「実況芸」がある。「実況芸」とは、自分の本職である実況というスキルを使って、スポーツ中継以外で表現するパフォーマンスのことだ。現在は僕しかやっていないので、この分野の先駆者は僕ということになる。もちろん、知ってもらう作業をするのも僕しかいないのである。

そもそも「実況」を「芸」として見てもらおうと思ったのは、局アナ時代の古舘伊知郎さんが、オーケストラの演奏

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