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まさかのエジプト料理でキッチンカー開業!脱サラ店主の成功への道筋

キッチンカーでお客様に支持される人気のメニューとは何なのか?

食欲を満たしてくれるガッツリ肉料理、手軽に食べられるタコライスやガパオなどの南国系炒めご飯などなど。親しみやすく、そしてもちろん美味しくて、どこの営業場所に出店しても安定した人気のお店は存在します。

ただ今回、皆さんに知ってもらいたいのは、道無き道を切り拓く一人の挑戦者のストーリー。エジプト旅行で食べた「コシャリ」に魅せられて脱サラ。本場エジプトでの修行を経て、2016年3月に念願の日本初コシャリ専門キッチンカーを創業した、エジプトめしコシャリ屋さんの店主、須永司さん。

「コシャリ」とは一体?そう思われる方も少なくないかもしれません。こちらがその「コシャリ」です。

日本ではまだまだ知名度が低いとはいえ、須永さんの奮闘の甲斐あって、じわじわと、でも確実にコシャリの風は吹いてきています。たとえマイナーだとしても、いえ、マイナーだからこそ。自分の大好きな、この世界観をみんなにも知ってもらいたい!そんなチャレンジをしやすいのがキッチンカーの魅力だと私たちは考えます。

とはいえ、そのチャレンジは当然、生半可なものではありません。今回の主人公須永さんも、珍しいメニューというハンデを武器に変え、様々な工夫と改善を重ね、各営業場所でコツコツと常連客の数を積み上げてきました。その道のりにはたくさんの試行錯誤があったのです。

キッチンカー営業風景〜エジプトめしコシャリ屋さん〜

須永さん
「いらっしゃいませー!」
金色のピラミッドロゴが配された真っ青なウォークスルーバンの中から、須永さんのハツラツとした元気な声がよく通る。さすがは元某大手メーカーの営業マンだ。

車の周りはツタンカーメンの置物や、イスラム風タイル模様で彩られている。エジプトの世界観を余すことなく表現していて、見た目にも異国感があって楽しい。

キッチンカーマガジン
「こんにちはー!今日は色々とお話聞かせてください!では早速、コシャリをいただきます!!」
須永さん
にこっ「 どうも、毎度あり!」

コシャリって何ですか?

キッチンカーマガジン
「藪から棒ではありますが…、コシャリって何ですか?」
須永さん
「エジプトの国民食です。朝昼夜、いつでも食べられていて、日本でいう牛丼とかラーメンみたいに、エジプトではそこら中に専門店があるんですよ。」

キッチンカーマガジン
「ほうほう。わかりやすい説明をありがとうございます!さすがのメディア慣れですね!」
須永さん
「いやいやいや(照)」

須永さん
「ショートマカロニ、エジプトピラフ、トマトソース、フライドオニオン、ひよこ豆が入っていて、それらを混ぜて食べます。コシャリっていうのは『混ぜる』っていう意味なんですよ。あ、トッピングのサワークリーム、おまけしときますね!」
キッチンカーマガジン
「わーい!ありがとうございます!あの、どうぞ召し上がれ的な目線おねがいします!」

須永さん
「いやいやいや、いらないでしょ!(照)」

照れながらもオーダーに応じてくれるサービス精神旺盛な須永さん。そんな須永さんの元にはエジプト関連のコラボレーション企画や、メディアの取材依頼が続々と舞い込む(本誌含む)。もちろんこれらの成果は、須永さんの戦略や人柄あってこそ。

今でこそキッチンカー営業を軌道に乗せたとはいえ、大手企業の営業マンからキッチンカーのオーナーシェフへと転身したその道のりは、決して平坦なものではなかったことでしょう。しかし、須永さんはあらゆる壁を持ち前のガッツと情熱、チャレンジ精神を持って、体当たりで突破してきたのです。

それでは、一大決心となった脱サラエピソードと、背水の陣で挑んだというエジプト修行時代からお話を伺っていきましょう。

コシャリとの出会い、そして脱サラを決意!

キッチンカーマガジン
「もぐもぐもぐ。う〜ん、パスタのもきゅもきゅ感、フライドオニオンのサクサク感、甘酸っぱくてしっかりとパンチもあるトマトソース。いろんな食感を楽しめてとっても美味しいです!それにボリュームも満点!コシャリを知ったきっかけは何だったんですか?」
須永さん
「2011年にピラミッドが見たくて一人でエジプト旅行に行って初めて食べました。そうしたら衝撃的に美味しかったというか。エジプト料理はとっつきにくいイメージだったけど、全然尖ってなくてこれは食べやすいなと。安いですしね。」

キッチンカーマガジン
「旅先で珍しくて美味しい料理ってみんな食べると思うんですけど、そこからコシャリ専門店をやろう!と至るにはどういう過程があったんでしょう?」
須永さん
「それまでメーカーの新規開拓営業をしていました。何か自分にしかできないことをやりたいな、というのはずっと思っていて、サラリーマンをやりながらもアイデアを探したり、面白いことないかな、とアンテナを張っていたんです。」

キッチンカーマガジン
「そのアンテナに引っかかったのがコシャリだったんですね。」
須永さん
「はい。それまで自分は日本が世界の中心だったんですけど、中国赴任に3年行って価値観が変わったんですよ。日本が世界の中心だなんて誰も思っていない。世界はまだまだ広いなと。それからひとり旅に行くようになりました。
それに身の回りに日本発祥のものってすごく少ないでしょ。誰かが『これは売れる』と思って日本に持ってきて生活の一部にまで持っていっているわけで。日本にはまだまだ知られていないものがある。エジプトに行く前から何かないかな、と着眼点を持って過ごしていたので、エジプトを旅したときにコシャリと出会って『これだ!』と思ったんです。」

大手電子部品メーカーの家電担当営業だったというサラリーマン時代の須永さん

キッチンカーマガジン
「でも、なかなかできる決断じゃないですよね。須永さんには小さなお子さんもいらっしゃいますし。」(2018年1月現在須永さんは7歳と0歳の女の子のパパ!)

須永さんは少し考え込むようにしてから、こう教えてくれた。

須永さん
「若くしてすごく出世して順風満帆にエリートコースを歩んでいた先輩がいたんですけど、僕が30歳超えて、中国赴任から日本に帰ってきた頃に、急に亡くなってしまったんです。本当に急なことでした。
こんなことあるんだ…って、とてもショックで。でも、じゃあやっとかな、と決心がついたんです。それまでもやりたいことは色々あったけど、経験もお金も人脈も何もないし、なかなか踏ん切りがつかなくて10年間サラリーマンしましたけど。でももうやらんと。全く知らない世界でも、まずはやってみないと、と奮い立ったんです。」

こうして、ついに長年勤めた大手メーカーを辞め、退路を絶つことでキッチンカー開業へと歩み始めた須永さん。

須永さん
「脱サラして、さあコシャリをやるぞ!でも作り方知らないぞ、と(笑)。日本で見よう見まねで作ってみたけど、あの時食べた味と全然違って。やるからには本物やらなあかん。日本には知ってる人おらんから聞きに行かなきゃあかん…。ほんまアホやと思うんですけど、それでエジプト修行に行くわけです。」

キッチンカー開業に向けて、いざエジプト修行!

キッチンカーマガジン
「行く前に現地のレストランのアポを取っていたんですか?」
須永さん
「取ってないです (笑)。ただ、以前エジプトで働いていた友達がいて、一人現地人を紹介できる、と。それでその人に一緒にカイロ市内を回ってもらって、ここが有名店だよと教えてもらって、そこからあとは自分で…」

キッチンカーマガジン
「エジプトというとアラビア語…喋れたんですか?」
須永さん
「全然喋れないです (笑)。 片言の英語とジェスチャーでひたすら」

キッチンカーマガジン
「かっこ良すぎる…!」
須永さん
「いやただのアホですわ (笑)。 カイロのコシャリ店30軒くらい周ったんですけど、全部断られて。『誰やねんお前は』みたいな。まさに門前払いです。」

キッチンカーマガジン
「ひえ〜!もうそこで心折れそうです…」
須永さん
「でももう会社辞めちゃってるんでね (笑)。家族も日本に置いてきてるし。断られたからって日本には帰れません。 どうにか突破口が見つからないもんかと、間違えたフリして厨房入っていってめちゃくちゃ怒られたりしました (笑)。」

キッチンカーマガジン
「最終的にはエジプトの首都カイロにある老舗のコシャリレストラン『LUX(ルークス)』での修行に漕ぎつけたんですよね。そんな調子で一体どうやって…?」
須永さん
「LUXは、支配人みたいな人がいて、『いいよ教えてあげるよ、でも今日はもう仕込み終わってるから明日来いよ』って言われて。ちょっと嫌な予感したんですけどね。次の日行ったら、案の定その人はいなくて『お前誰や、帰れ』と(笑)。 当然引き継ぎなんてされてないですから。」

キッチンカーマガジン
「でもそこを突破口にしたんですね…!」
須永さん
「そう、ここで食らいつかないと!でも『今日はもう仕込み終わってるから帰れ』と帰され、翌日オープン前に行ったら『アラビア語わからないなら、まずはアラビア語をレッスンしてから来い』とかなんとか…。そんなことを毎日やってたら、見かねた厨房の人たちが『いいよ入れよ』と迎え入れてくれたんです。」

キッチンカーマガジン
「すごい!!粘り勝ちですね!!厨房の人たちは須永さんの熱意を見ていてくれたんですね。」
須永さん
「ほっとしましたね。手ぶらじゃ帰れないから。
で、あとはもう見て覚える。知らない食材とかいっぱいあるし、これ何だって聞いても、アラビア語で「クズバラ!」と一言。その場では分からなくて、後から日本スーパーに『ああ、コリアンダーか』って確認しに行ったり。まぁ、コシャリ自体はそんなに難しいものではないので、ビザの期限ギリギリ2ヶ月で、もうこれ以上盗めるものはないな、と帰りました。」

味の追求

キッチンカーマガジン
「エジプトから帰って、コシャリの再現に取り掛かるわけですね。」
須永さん
「同じ食材でも手に入らないものがあるから、なかなか同じ味にならないんですよね。トマトもそうです。エジプトのトマトが世界で一番旨み成分が多いらしいんです。(某ケチャップ大企業に勤める知人談、とのこと)パスタも手に入らないものがあったりして。大使館に相談したり、エジプト人がやってる商社に電話してみたりと試行錯誤して、日本で買える食材で探してみたりして、ちょっとずつイメージに近づけていきました。」

キッチンカーマガジン
「本物を知っているからこそ、できることですね。」
須永さん
「あとは義理の兄が祇園の有名な割烹料理屋のオーナーで、味のアドバイスをもらったり、知人の有名中国料理店のオーナーシェフが何回も試食してくれたり、作ってくれたりと色々な方からもアドバイスをもらって、エジプトのコシャリよりも美味しいのを作ってやる!と思って突き詰めていきました。今でもちょっとずつ改良を加えながら探求しています。」

キッチンカーマガジン
「妥協なき探求。素晴らしいです。お客さんもシビアですからね。」
須永さん
「はい、エジプトから帰国して、6ヶ月くらい準備に費やしました。」

超マイナー料理はキッチンカーがぴったり?!

キッチンカーマガジン
「キッチンカーの存在を知ったのはいつ頃だったんでしょう?」
須永さん
「ドン・キホーテの前に出てるクレープ屋さんとかはね、昔から知ってたけど、『ランチ出店』というと東京で働いてからですね。関西にはなかったんで。サラリーマン時代に国際フォーラムにたくさんキッチンカーが出店しているのを見かけて『こんなんあるんだ、いいなぁ』と思ってました。」

キッチンカーマガジン
「コシャリ×キッチンカー。それぞれ須永さんのアンテナに引っかかったんですね。」
須永さん
「やっぱり見たことのない食べ物って誰も手を出さない。自分もそうですから。だから人がいるところに出向いて自分から知名度をあげていけるのがキッチンカーかな、と。お金がなかったというのもありますね。それこそ借金して店構えて、人が来なかったら、もうあとは死ぬだけでしょ(笑)。ほとんどの人が名前も聞いたことない料理ですから。」

コシャリは一体誰にウケるのか?!学園祭に体当たり出店

キッチンカーマガジン
「ご友人づてでデザインを頼まれたキッチンカーも出来上がり、須永さん流コシャリも完成!いよいよ出店!ですね。」
須永さん
「はい。でも、どういう風に売ったらいいのか全くわからなくて。コシャリって目新しいものだから、多分若い人が食べるんじゃないか。そうすると、非日常的な空間、お祭りがいいかな?と仮説を立てて。それなら大学の学園祭で試せないかなぁ?と。それで本格的に開業したら色々な大学に置かせてもらいたいな、と出店計画を考えました。」

キッチンカーマガジン
「まず顧客動向をつかむための実験的なステップですね。すごく計画的!さすがです。大学の事務局か何かに掛け合ったんですか??」
須永さん
「いや、大学に単身乗り込んで、『自分おっさんやねんけど、こういうことやりたいから、学園祭に出店するの協力してくれへん?』って若い子に声かけて(笑)。」

キッチンカーマガジン
「でた!!須永さんの体当たりスピリッツ!!!」
須永さん
「ははは(笑)。それで名前貸してくれるって子を見つけて、9、10、11月と4つの大学の学園祭に出店してみたんです」

キッチンカーマガジン
「すごい行動力です!それで、ターゲットの狙いは合ってましたか?」
須永さん
「いやぁ、それが大ハズレ(笑)。 どういう人が買ってくれるんだろうって見てたら、30〜40歳くらいの人が買ってくれてる。学生は買わないなと。エジプト料理=ハラルフードですから、やっぱり学生はガッツリ系にまっしぐらなんですよね。」

キッチンカーマガジン
「効果的な仮説と検証ですね。」

最初は営業場所が思うように見つからず、大学から声をかけてもらって引き続き営業することもあったが、やはり学生には売れず、先生や職員さんにウケていたという。こうして30、40代、外国人や留学生が多いところをターゲットにしていこうと狙いを定めていったのだという。

いよいよランチ出店へ!

キッチンカーマガジン
TLUNCHはどのようにして知ったのですか?」
須永さん
「その頃引っ越した地域に、たまたまキッチンカーが出店している場所がいくつかあって。そのオーナーさんに『キッチンカーやろうと思ってるんですけど、給料無しでいいから、色々教えてもらえませんか!?』と言って飛び込んだんです。それでこの業界のことや、ランチ出店したいならここに登録しなさい、と色々教えてもらいました。」

キッチンカーマガジン
「須永さんの行動力、突破力、それを実現する人柄…!感服です!!本当にたくさんの人に助けられて漕ぎつけたキッチンカー開業なんですね」
須永さん
「ほんとそうなんです(笑)。 全部助けてもらってる。自分で何でもやりたい、決めたい!って独立して経営者になろうと思ったけど、逆に、自分何にも出来ひんやん、むしろ働いていた時より助けてもらうことが多い。自分だけでなんとかやってやろう!なんて大間違いだったな、と心から思っていますね。」

キッチンカーマガジン
「本格的にランチ営業を開始してギャップはありましたか?」
須永さん
「めちゃくちゃありましたね。そもそもどれくらい売れるのか?とか何もわかってなかったんで。事業計画ではランチで1日300食売れる計算してたんですよ。牛丼屋だったら◯席で◯回転すると…って。フタ開けたらまあ、絶対に行かへんわと。※そこが一番のギャップでした。」

※営業場所により何食売れるとは一概にいえません。ビジネス街のランチライム11時半~14時頃の営業時間の中で、1店舗売り上げ20食台〜200食台とかなり幅があります。営業開始してしばらくしてから食数が上がっていくこともあり、それぞれのお店が自身のお店に合った出店計画を練っています。

須永さん
「あとは始めたばかりだといいところしか見えないじゃないですか。お客さんがたくさん並んでるお店とかもよく見かけるんで。でもそんなに甘くない。メニューPOPなんかも、自分ではうまくできたなと思っても、お客さんから見て美味しそうに見えているかというと、そんなこともない。ほんとトライ&エラーというか。ひとつひとつ、いっこいっこ考えてやっていかなくちゃいけないんだな、と身に沁みました。」

キッチンカーマガジン
「最近やっているお肉とコシャリのセットなんかも、そうした改善の取り組みの一つなんですか?」
須永さん
「そうですね。やっぱりコシャリを売りたいんですけど、若い女性でもガッツリ肉料理のお店に行ってしまいますから。エジプトやハラルというキーワードの中で、出来ること、チキンやラムなんかを取り入れてみました。売上も伸びてきて、やってみてよかったな、と改めて思っていますね。でも、メニュー表記がわかりにくい、とお客さんに言われたりもするし、他のお店みたいに、豪華なサイドメニューがつくとどうだろう、とか改良の余地はまだまだあるなと思っています。」 

キッチンカーマガジン
「現場で学んで、試してを繰り返していらっしゃるんですね。」
須永さん
「盗みまくってます(笑)。店舗だったら、お店を構えたらなかなか人のつながりって増えていかないと思うけど、キッチンカーだったら、毎回違う現場に行くと、色んな人と出会えますから。で、みんなほんといい人なんでね、色々教えてくれるんですよ。このお肉どうやって下処理してるんですか?とか、このパラパラのパエリアどうやって炊いてるんですか?とか。めちゃくちゃ教えてもらってます。」

営業手腕を発揮する!メディアへの売り込み術

キッチンカーマガジン
「ところで、エジプト映画やバレエの演目とのコラボ商品、J-WAVE出演、エジプトのフリーペーパー掲載、TV取材などなどなど…コシャリのメディアの露出のさせ方に、ただならぬ力を感じるのですが(笑)」
須永さん
「いやいや(笑)。皆さんにコシャリのことを知ってもらえる機会が増えれば、たまたま見かけたときに興味を持って食べてみてくれるのではないか、と思ってちょっとずつ露出したいと思っていますね。オファー受けたり、自分で探したり、機会があれば、かたっぱしから受けるようにしています。」

キッチンカーマガジン
「メディアからも面白がられるのは、須永さんのサラリーマンからの転身ストーリーも強烈ですし、エジプトという日本ではユニークな世界観だからこその強みですね。」
須永さん
「映画『キング オブ エジプト』とのコラボ商品なんかは、普通にやっても面白くないから、『限定商品やりましょうって提案したら、すごく喜んで食いついてくれました。」
キッチンカーマガジン
「大衆が好きなものを『ほら、これみんな好きでしょ』と発信する時代ではなくなりつつありますね。個人の強烈な『私はこれが好き!』という発信に、個人個人が共感して、新しい風を作るというか。メディア側もそういうものを求めていますね。」

須永さんの思い描くコシャリの未来

キッチンカーマガジン
「今後コシャリ屋さんをここまで持っていきたいなど、目標はありますか?」
須永さん
「牛丼屋みたいに、どこでも食べられる状態まで持っていきたいなぁと。1000店舗は厳しいとは思うけど。どういうステップを踏んでやったらいいかなとか、どこと組んだらいいかなとか色々戦略を練っていますね。あとは、コシャリがインスタントだったり冷凍食品にまでなったら、まぁまぁ広がったのかな、というゴールかな。」

キッチンカーマガジン
「2020年の東京オリンピックの時に、コンビニの一角にハラルコーナーがあってコシャリ商品が並んでいたら、その裏には須永さんあり、ですね (笑)。」
須永さん
「色々考えてやっていきたいなと思っているところです (笑)。」

キッチンカーマガジン
「体当たりで道を切り拓いたかと思えば、事業計画をコツコツ立てていたり。サラリーマン時代の経験もすごく活かされているんでしょうね。」
須永さん
「そうですね。ルートセールスがメインのそこそこの規模の会社で、新設されたばかりの新規開拓営業部隊に入社してすぐに配属されたんですよ。だから、これをここに売り込んだら、将来的にはこれだけ大きなマーケットになるよという目測を立てたり、チームみんなをこっち向けて巻き込んで動かそうということを学べましたね。
コシャリ屋だけをやって、生活できればいいやという考えではなくて、どんなステップで広めていこうという絵を描くというか、そんな感じが生きていると思います。」

キッチンカーマガジン
「小さい時からそんな開拓者精神があったんですか?」
須永さん
「なんか逆子だったらしいんですよ、生まれてきた瞬間から逆らってたんやって(笑)。 人がやっていることやっても面白くないなという反骨精神は昔からあったけど、グレたりはしてないですよ(笑)。 」

キッチンカーマガジン
「そして突撃あってこその人生ですね。」
須永さん
「全部ですね(笑)。 かなり崖っぷちですよね。なんの考えもなしにやってますからね(笑)。」

これからキッチンカーを開業する方へ

キッチンカーマガジン
「最後に、これからキッチンカーをやりたいと思っている方にメッセージをいただけますか?」
須永さん
「やりたいと思ったらすぐやるべき。すぐやったらええやんって思います。新しいこと始める人がいて、辞める人もいて。うまくいかなかったら時代が来ていなかったとか、風が吹かなかったと思う人もいると思うんですけど、僕はそれを起こすのが経営者なんじゃないかなと思う。いかに風を起こすかっていうのを考えてます。ただ、僕だけの知恵じゃだめなんで、どんどん新しい風に入ってきて欲しいなと思っています」

キッチンカーマガジン
「こういう人はキッチンカーに向いてないんじゃないかっていうのはありますか?」
須永さん
「ある程度はどんな人でもできると思いますよ。でもお客さんのためにって考えられない人、お客さんが何を望んでいるのかをキャッチして、それを反映させられない人はあまり続かないんじゃないかな。…すみません、偉そうなことばっか言っちゃって(笑) 全然偉くないんで…。」

キッチンカーマガジン
「とんでもない!先輩の言葉は貴重ですから。須永さんがたくさんの先輩たちの経験を、自分のものにしてきたように」
須永さん
「僕は自己満でやりたいというより、仕事で社会貢献したいなって思ったんです。コシャリが何かの役に立つってわけじゃないけど、ライバルって日本の中だけじゃなくて、世界の人材だな、とサラリーマン時代からヒシヒシと感じていたので。だから日本を元気にしたい、日本だけ見て働いていたらだめだ、と。
コシャリをやることによって、暗に、まだまだ知らないことがあるんだぞ、っていうメッセージになればなって。世の中まだまだ広いぞ、こんなにものが溢れているなかで、やっていかなきゃいけないんだぞ、と。そして僕は、『新しい風を吹かせたい、そういうチャレンジをしたい!』っていう人を支援できるようになりたいんです」

須永さんは思い描く未来を真っ直ぐに見据えた表情で、そう語ってくれた。そして照れくさそうに、最後にこう付け加えた。

須永さん
「ま、偉そうなことばっか言ったけど、実際はこんな人間なんですけどね (笑) 」

2018/1/5取材

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