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言葉のテリーヌ

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色とりどりの言葉を僕の好みで集めてみました。
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2021年9月の記事一覧

「雇われない世界へようこそ!」といわれてから4ヶ月経って

「雇われない世界へようこそ!」といわれてから4ヶ月経って

フリーランスの特許翻訳者になり、4ヶ月。

それまでの20年間は、特許事務所で働いていた。外国事務を数年担当し、その後の16年間は翻訳者として勤務した。

今年の5月にフリーランスになり、ありがたいことに仕事は安定している。

今まで働いていた特許事務所のほか、翻訳会社数社と業務委託契約を結んだ。いずれも3年更新の契約だ。

そのほか、ライターとして、知財系Webメディアで記事を書かせていただける

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ぶどうの露と Big Tic、最期の時間

ぶどうの露と Big Tic、最期の時間

 頬が熱い。手足はさっきまでの冷房で冷えているのに、頬だけが焼けるように熱かった。もしかしたら赤くなっているかもしれないけれど、わからない。ただ顔が火照っている。

 床のタイルにかたい音が刻まれるのをぼんやりと眺めていた。誰の足音かはわからない。この部屋はやけに音が響く。そして、哀しいくらい白く、明るかった。

 

  

「うたちゃん、ええ時計しとるなぁ。ちょっと見せてみよ」

 そう祖父が

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お花を買う夜

お花を買う夜

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

よくギフトをくれるボーイフレンドがいますが、彼が私に贈ってくれないものがあります。それは花束です。

私は、ファッションもメイクもそれほど興味がなく、彼にとって私は女性には珍しい実用的な生活を送っているように見えるようです。

花束を女性に贈るというのは男性にとって特別なのかもしれません。

私の父は、いつもバレンタインのお返しや母の日に、母や私たち娘には、

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紳士な彼と神楽坂の夜

紳士な彼と神楽坂の夜

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

その時、きっとデートらしいデートを最近していないとぼやいていたのです。飲み会に居合わせた大学生の男の子は、「それなら僕とデートにいきましょう」と誘ってくれました。

恋愛をせず、仕事に忙しくしていた20代の前半。それでも、たまに大勢で飲みたくて、mixiの「その日に行ける飲み会」によく参加していました。私は会社員で、彼は大学生でした。

ガレットが流行ってい

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