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短編小説

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#小説

ドライフラワーあとがき+(全文掲載)

ドライフラワーあとがき+(全文掲載)

ええ、今回書かせていただいた文章、非常に読みづらい構成になっております。
申し訳ございません😭

愛の形も文章構成も歪んだ、ごちゃごちゃした文章が書きたい!という欲望に任せて書いてしまいました(笑)
文体、表現も極力キザな感じなど意識してましたので気持ち悪い所も多分にあるかと思います。
この読みにくい文章に最後まで付き合っていただいた方にまず感謝でございます!

そして文章構成やオチの性質上、細

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【短編小説】ドライフラワー⑰(エピローグ)

【短編小説】ドライフラワー⑰(エピローグ)

エピローグ

パタン。
風の力であろうか。
書棚の一番端に置かれていた本が横倒しになった。
その音で私はふと現実に引き戻される。
「もう三十年になるのか。君たちと暮らし始めて」

いつの間にかピアノの自動演奏機能で再生されていたモルダウが止んでいた。
窓の外で笹の葉がサラサラと音を立てて揺れる。

まだ私が若かった頃、笹舟に幼い願いを託したことが不意に思い起こされる。
あの笹舟は、私の気持ちを一体

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【短編小説】ドライフラワー⑯(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑯(第3章)

●●●
彼女は驚いたようだった。
しかし、私は彼女が抵抗するふうでもないのを見て取ると、彼女のズボンを脱がせた。

左右不揃いな彼女の白い太ももに触れ、ゆっくりと丁寧に、愛撫するように義足を取り付けた。
「作ったんだ。時間が掛かってごめんよ」
彼女は言葉を発することなく、自身の新たな右脚をさすった。
見立て通り、彼女の左脚とぴったり長さが揃っているようで安心した。
「立てる? 行こう」
私は手を差

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【短編小説】ドライフラワー⑮(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑮(第3章)

●●●
私は笹舟に込めた願いを実現させるため、それこそ寝食を惜しんで勉強した。
彼女の苦しそうな笑顔はそれほどまでに私の心を強く揺さぶったのだ。
一緒に山の向こうへ行こう。
そう伝えてあげたかった。
ただ、今のままでは言ってあげられない。それが悔しかった。

昼夜が逆転し、曜日の感覚は麻痺した。
何日が経過したのかも、いつ最後に食事を摂ったのかもわからない。
同じ日が何度も廻っているような錯覚さえ

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【短編小説】ドライフラワー⑭(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑭(第3章)

●●●
「人があまりいない場所が良いわ」
 彼女はほとんど顔を上げることなく言った。
「それなら河川敷に行こう。犬の散歩をする人くらいしか通らないだろうし」

毎日のように彼女の家に通ってようやく外へ連れ出すことに成功した。
彼女の不具を意識しながらも私は有頂天だった。

私はそっと車椅子を押した。
彼女が顔を隠すために被っていた大きな麦藁帽からこぼれる黒い長髪が、湿気を含んだ夏の風に吹かれて車椅

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【短編小説】ドライフラワー⑬(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑬(第3章)

●●●
彼女が通う高校が夏休みを迎える数日前からパタリと彼女の姿は見えなくなった。
彼女がこの工房に来て、人形を見て行ったあの日以来、私と彼女は少しずつ言葉を交わすようになっていた。
彼女の姿が見えなくなったのはその矢先の事だった。

工房の窓から臨める世界。
雲が隙間なく空を覆い、長雨が景色を滲ませる。
窓ガラスを舐めるように流れた水滴がガラス面に反射した私の頬をなぞる。

数日間続いた鬱々とし

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【短編小説】ドライフラワー⑫(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑫(第3章)

●●●
彼女の表情があまりにも悲しげで、考える余裕もなく声を掛けてしまったことを私は今更、後悔していた。
きっと失礼な私の振る舞いに彼女は腹を立てていることだろう。
事実、彼女の顔にあの男に見せるような瑞々しい笑顔はない。
むっつりと黙ったまま、工房に飾られた人形たちを眺める彼女の横顔を見ながら、私はそんな悲観的な想像をしていた。
 
工房内の空気を循環させるために働く扇風機の風が、普段ならばおが

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【短編小説】ドライフラワー⑪(第3章)

【短編小説】ドライフラワー⑪(第3章)

●●●
何か行動を起こさなければ変化は得られない。
私は彼女に認識してもらうために、毎朝彼女の登校時間に合わせて工房の外に出た。
自分自身、気味の悪い行動だと理解しつつも他に妙案は浮かばなかった。

怪しまれないよう適当な距離を保って、私は彼女に近付く機会を窺った。
日々の積み重ねは次第に功を奏していった。
目が合えば軽い会釈を交わし、徐々にではあるが、彼女も私の存在を受け入れ始めたように思えた。

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【短編小説】ドライフラワー⑩(第三章)

【短編小説】ドライフラワー⑩(第三章)

第三章

◆◆◆
病床に横たわる彼女を見ると、私の心中は非常に複雑なものとなった。
もちろん、心の大部分は悲嘆に占められていたのだが、あるどこか一部分では奇妙な恍惚を覚えていた。
私はこの恍惚が何に由来するものなのか、暗に自覚していた。
それというのも、実はこの感覚は初めてのものではなかったからだ。

恐らくもう長くはない……
彼女の周囲を取り巻く黒い靄のような漠然とした予感が、その美しさを清冽に

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【短編小説】ドライフラワー⑨(第二章)

【短編小説】ドライフラワー⑨(第二章)

***
「お母さま、ごめんなさい」
ベッドの横に置かれた椅子に座って両手で顔を覆っている母に私は声を掛けた。

私の言葉にはいくつかの意味が込められていたが、母はそのどれにも答えなかった。
ただ小刻みに身体を揺らして現実から我が身を遠ざけようとしているようだった。

念入りに消毒されたであろう病室のリネンは予定調和の匂いを放ち、私を落ち着かなくさせる。
カーテンのみで仕切られた隣のベッドから唸るよ

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【短編小説】ドライフラワー⑧(第二章)

【短編小説】ドライフラワー⑧(第二章)

***
机の上に置かれたキャンドルの炎が一瞬大きく揺らめいた。
「この前の話、正式に親に話そうと思っているんだ」
行きつけのレストランで唐突に発せられた彼の言葉に私は思わず咽せた。
おそらく彼にはそう見えただろう。
咳をしながら、私は白いハンカチで口元を抑えた。「大丈夫かい。それでどう思う?」
「もちろん素敵なことだと思うわ」
私は口を抑えていたハンカチをテーブルの下に隠しながら言った。
「今度、

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【短編小説】ドライフラワー⑦(第二章)

【短編小説】ドライフラワー⑦(第二章)

***
「ごめんなさい。せっかく予定を立ててくれたのに急に体調が悪くなってしまって」
「気にすることないさ。テニスなんてまたいつだって行けるんだから」
電話越しに聞こえてくる彼の声は相変わらず穏やかなもので私を安心させた。
「お見舞いに行ってもいいかい」
「ダメよ。あなたにうつしてしまったら申し訳ないもの」
クスクスと彼の笑い声が聞こえる。
「たまには僕のわがままも聞いてくれよ。……会いたいんだ」

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【短編小説】ドライフラワー⑥(第二章)

【短編小説】ドライフラワー⑥(第二章)

***
「わざわざ送って下さってありがとう」
車を降りると、マフラーを巻きなおしながら私は彼に向かって軽く頭を下げた。
「ようやく仕事が一段落しそうなんだ。今度時間を作るからテニスでもしよう。また連絡するよ」
そう言い残して彼は窓から出した手をひらひらと振って車を発進させた。
丁寧に磨かれた黒塗りの高級車はするりと夜の闇の中に溶けて見えなくなった。

「おかえりなさい。お食事はどうでした?」
父が

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【短編小説】ドライフラワー⑤(第二章)

【短編小説】ドライフラワー⑤(第二章)

第二章

***
「こんなに立派なレストランに連れて来て頂いて申し訳ないわ」
コーヒーカップをソーサーの上に置いて私は彼に向かって言った。
「別に構わないさ。だって来てみたかったんだろう?」
「ええ、それはもちろん。いつも外から眺めていて素敵な店構えだと思っていたから」
「それならいいじゃないか。……僕のデザートも食べるといい」
そう言って彼はデザートの乗った皿を私の方へ差し出した。ベリーソースや

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