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#小説
【短編小説】ドライフラワー⑨(第二章)
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「お母さま、ごめんなさい」
ベッドの横に置かれた椅子に座って両手で顔を覆っている母に私は声を掛けた。
私の言葉にはいくつかの意味が込められていたが、母はそのどれにも答えなかった。
ただ小刻みに身体を揺らして現実から我が身を遠ざけようとしているようだった。
念入りに消毒されたであろう病室のリネンは予定調和の匂いを放ち、私を落ち着かなくさせる。
カーテンのみで仕切られた隣のベッドから唸るよ
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「お母さま、ごめんなさい」
ベッドの横に置かれた椅子に座って両手で顔を覆っている母に私は声を掛けた。
私の言葉にはいくつかの意味が込められていたが、母はそのどれにも答えなかった。
ただ小刻みに身体を揺らして現実から我が身を遠ざけようとしているようだった。
念入りに消毒されたであろう病室のリネンは予定調和の匂いを放ち、私を落ち着かなくさせる。
カーテンのみで仕切られた隣のベッドから唸るよ