【教育用語かんたん解説①】STEAM教育とは?
【3/5追記】STEAMの「A」がビジネスに役立つ例 ~メルカリと倫理学~
STEAM教育の「A」、つまりリベラルアーツがどうして仕事で重要なのか、分かりやすい投稿をXで見つけたので補足で載せておきます!
メルカリみたいなメガベンチャーでも、倫理学(哲学)の勉強が大事だとされてるんですね。
メルカリの出品物も、「どこまでを削除して、どこからを残すか」みたいなことは答えのない問題なんですよね。
でも、「俺はこう思うからこれは削除する!(残す!)」みたいに、主観で決めることも許されない。
最近話題の生成AIとかもそうですが…「みんなが納得するルール」を作るには、やっぱり歴史に裏付けられた文系の学問(哲学や倫理学など)を学ぶとすごく役に立つんだな、と分かる投稿でした。
ここからが本編です
こんにちは!
今日はSTEAM教育って何なのか?を解説してみようと思います。
最近の教育用語、多すぎ問題
というのも最近、新しい教育用語が多すぎると思うんです。
STEM、STEAM、モンテッソーリ、レッジョエミリア、探究学習にPBL、〇〇リテラシーなどなど…種類が多すぎて分かりにくいと思うんですよね。
なので、専門家の視点から子育てや教育の用語を解説したらnoterさんたちの役に立つかも!と思い、ブログにしてみることにしました。
【記事の要約】STEAM教育をひと言で
① 理系の4領域(理科 / 情報・技術 / ものづくり / 数学)と
② それを貫く文系の学問群(Liberal Arts)が、
・テクノロジーの発達が著しい、今の時代では欠かせない教育だよね!
というのが、STEAM教育の概要です。
次の章で、もっと分かりやすく説明します!
5分で分かる「STEAM教育」
S=Science(科学)
・自然現象などを学ぶ学問。
・具体例:光の屈折や反射、熱やエネルギーなど理科全般
・学校の授業で言うと「理科」の領域。
・習いごとで言うと「理科の実験教室」とか
T=Technology(技術、情報)
・科学を役立てて、実際になにかを作る学問。
設計や処理をする「技術者」のイメージ。
・具体例:電気回路や情報処理など
・学校の授業で言うと「技術」や「情報」の領域。
・習いごとで言うと「プログラミング教室」とか
E=Engineering(工学、ものづくり)
・主に工業のための学問。
手を動かして物を作る「職人」のイメージ。
・具体例:金属加工、ロボット作り、工作や設計 など
・学校の授業で言うと「技術」や、一部は「図工」の領域。
・習いごとで言うと「ロボット教室」とか、「3Dプリンター体験」とか
A=Liberal Arts(リベラルアーツ/芸術、歴史、哲学など一般教養)
「アート」というと美術や音楽のイメージがありますよね。
でも文部科学省の定義によると、それは誤解です。
・リベラルアーツの起源は古代ギリシア・ローマなんですが、細かいことは置いておいて…世の中を「自由に生きていくために必要な=Liberal」「技術=Arts」という意味の言葉です。
社会はいろいろな要素で構成されていますよね。
たとえば資産運用をするには経済の知識が必要だし、リーダーシップをとってチームを率いるなら哲学が必要です。
外国の文化をきちんと理解したいなら、地理や世界史、芸術の知識も必要です。
・こんなふうに、リベラルアーツは「いろんな教科を広く学んで、人間力の基礎を作ろう!」みたいなイメージの領域です。
(※定義は国や団体によって違います。ここでは分かりやすさ優先で書いています!)
詳しいことは下の方の「【質問】STEAMって理系重視の考え方?なんで「A」があるの?」で説明します!
M=Mathematics(数学)
・おなじみ数学です。統計やデータ分析などもここに含まれます。
まとめると…
・Mは座学や理論、Sは実験で手を動かしてその理論を確かめる
・TとEはそれらを応用した創造(クリエイティブ)
みたいなイメージになります。
STEAM教育のメリット
これら5つの領域を幼児期とか小学生とか、早い段階から学んで(体験して)いくと、
①いま社会に必要な人材である、科学や情報分野で活躍できる人が育つ
(そういう人材が少なすぎるので、国も経済界も困っている)
②科学や情報が複雑になってるこの時代でも、自力で生きていける子を育てられる
(疑似科学や怪しい情報に騙されず、正しい判断と表現ができて、自己実現しながら生きていける)
みたいなことを文部科学省が言っています!
いま、特に小学生の習いごとでSTEAM教育が話題になっているのには、こういう経緯があったんですね。
【質問】STEAMって理系重視の教育?なんで「A」があるの?
ここからは私の経験に基づく記事になります。
学校でも習いごとでも、STEAMというと実験(=理科)やプログラミング(=情報)をウリにしているところが多いです。
なので、習いごとや教育業界でSTEAMという言葉を使っている場合は、「理系重視の教育方針っぽいな」と考えるのが良いと思います。
でも、大学やビジネス界(=成長した子どもたちを採用する側)の視点から見ると、「A」も重視しているなという感じがします。
【回答】課題解決には哲学が必要。そして哲学を育てるのは「A」の領域だから
私は個人事業主なので、よく起業家や経営者の方たちのお話を伺ったりブログを読んだりします。
そこでは、こういう感じ↑の話がよく出てきます。
どういうことかと言うと…たとえば自分が小さなアパレル企業の経営者だったとして、こんな状況があるとします。
・Aという選択肢を取ると、自分の会社は儲かるけど、委託先の工場の人を安く働かせないといけない。
その結果、工場の人が苦しい思いをするかもしれない。
・Bという選択肢を取ると、委託先の工場の人の賃金を上げることができる。
その結果、工場の人の生活を守れるけど、他社との競争に負けて自社が潰れる(=多額の借金を負うことになる)かもしれない
で、どっちの選択肢を取るかの判断を迫られるんですが…これって「正解がない」んですよね。
合理的に解決できない、つまり数字で計算できない問題なんです。
人を解雇したり大幅な値上げをしたりする時とかもそうなんですが、経営をやってるとこういう「理系の領域だけでは解決できない問題」が、山ほどでてきます。
じゃあどうやったらそこを乗り越えられるかというと…これこそが「A」の領域なんですね。
・対話や議論から、新しい選択肢をつくり出す力(コミュニケーション能力、課題発見力)
・その前提となる幅広い知識や教養
・人を巻き込むための、信念や哲学(リーダーシップ)
俗に言う「非認知能力」みたいなものが、ビジネスの現場ではめちゃくちゃ大事です。
そこを育てるためには、理系以外の学びも欠かせないんです。
学寮生活を中心としたリベラル・アーツ教育で有名な「HLAB」の代表、小林氏※もおっしゃっていますが(32:26のところ)
※…ハーバード大学卒業の起業家。在学中の2011年にHLABを創設。リベラルアーツ・サマースクールや、奨学金、寄宿型の教育機関「カレッジ」などの教育事業を運営。現在はスタンフォード大学院(MBA/教育修士)で同分野を研究。2019年、米フォーブス誌が選ぶ「アジアの30歳未満の30人」に選出。
これからの時代は、答えのある問題はAIで解けるようになるので、
「リーダーにはリベラルアーツが大切になってくる。問題を解く力よりも、問いを立てる力や前提を疑う力、相手と議論して新しいものを生み出していく力が重要になってくるよね。」
という話を、ビジネス界隈ではよく聞きます。
まとめ:理系の「STEM」+それを貫いて軸になる文系の「A」=STEAM教育
ということで、教育業界の知識(=子どもを教育する側の視点)と、ビジネス界隈での見聞(=成長した子どもを採用する側の視点)の両面からSTEAM教育を解説してみました。
文科省も猛プッシュしてるので、STEAMはこれからますます盛んになっていくと思います。
この記事が、読者の皆さまの参考になれば嬉しいです!
もし他にも「この用語ってどういう意味?」みたいに知りたいことがあれば、コメント欄やクリエイターへのお問い合わせで教えていただけると嬉しいです。ブログのネタを欲しています!
私の知っていることや調べて分かることであれば、記事で書いてみようと思います(^^)
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