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静 霧一/小説
2021年6月6日 15:21
私は、『熱狂』に恋焦がれている。私自身、働くことは嫌いではない。この世に存在しない価値を生み出し、顧客に予想外の付加価値をもたらすことが出来るからだ。この感情を誰かに押し付けようとは思わない。なにせ、これは私自身の自己満足に過ぎないからだ。私の一つの小さな組織に所属する身ではあるが、『井の中の蛙、大海を知らず』ということをひどく痛感している。それもこれもこの本に出会ってしまったか
2021年5月29日 20:16
僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。気づかぬ間に、声もなく、音もなく。僕らの価値は、目に見えぬ形で出現する。それは蝉を捕まえて喜ぶ少年の心だったり、目と目が合っただけでドキリと揺れてしまう初心な恋心であったり、変声期の前の透き通った少年の声であったり。僕らの価値は、宝石にも劣らない輝きを持ち、様々な可能性の光を反射させているのにも関わらず、当の本人はそれに気づくことが出来ない。
2021年5月5日 18:01
久しぶりに読書感想文を書いた。それは、私の大切な友人に宛てたものだ。書き方など覚えていなかったが、とにかく私は読んだ本の感想を伝えるべく、必死になって書いていた。夜の10時から書き始め、書き終えた頃には、気がつけば夜中の3時になっていた。6000文字、原稿用紙にすれば15枚分にも相当する。私は書き終えた後、安堵の息を漏らしたと同時に、不安の震えを感じていた。私は小学生の頃、夏休みの