キンケドゥ

VRコミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」についての体験レポートという皮を被っ…

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VRコミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」についての体験レポートという皮を被った怪文書を投稿してます。フィクションが多分に含まれているので見ないでください。※一時休止中レポートの代わりにより変な文を投稿予定。

最近の記事

ユメノグラフィア短編感想-The Last Dreams ノ了-

「ありがとうございました」 最後のチケットを手に取る。 「また、お待ちしております」 売り場のお姉さんはいつも通り俺を見送ってくれた。 「ありがとうございます、また来ます」 俺も、お姉さんもいつもと同じ対応を心がけた。高鳴る心臓で。 「思ったより少ないな」 俺は渡されたチケットの量を見てそう呟いた。 最後が早いのもどこか嫌だなと思って結構待っていたのだ。 しかし、他者の想いも尋常では無い。 入店時にすれ違った麗人も、すぐ横の紳士も、沢山のチケットを手に持っ

    • ユメノグラフィア番外-名も無き後語り-

      後書き、追記というのはセンスの無さを感じ、ひたすら淡々と走ってきたこの文章たちであったが 今生の別れに近い事態となれば多少は水溜りでジタバタしても良いだろう。 そんな気持ちでペンを抜きました。 今回の終(つい)の石版についていくつか。 元々昨年夏に、調子に乗ってキャスト全員の名前を使ったアナグラム?パングラム?みたいなのを作ったのがきっかけで その後も何度かチャレンジしたし、またやってとリクエストもありがたいことにあったが、挫折に終わった。 しかし、最後であるし自

      • ユメノグラフィア番外編-終の石版-

        クリスマスだからといって、サンタに何かを頼む年齢ではないのだが… またお前がきたのか。 目の前にはより大きくなった石版。 俺の独白はいい。この少し悲しそうな石版の秘密を見ていこう。 どれどれ… 『 理由ない悲しみ暮れる 旅人は皆 肩貸しあい 手握りしめ 道なき道行く 朧な楽園見えず 迷い 足跡続く 希望も友も理想もみな引き連れ ススメ ススメ と耳揺らし モモかじり しずく 体流れ落ちる フード羽織り 薄いコーヒーの味 無く 真白の雪は 手の上踊る妖精 心吹くリリ

        • ユメグラワンドロ企画-お題:天才-

          …私は生まれてこのかた“天才”に出会ったことがない。 誰もが口を揃えて“天才”という人物にも何人か出会ったが、その“天才”達はせいぜい“秀才”であり、私にはとても“天才”とは感じられなかった。 天才とは、天から与えられた才能のこと。言葉だけ見れば…だが。 秀才は…秀でている者のことを言う。 何かに秀でる事は実はそれほど難しい事ではない。 運動能力や知力に優れればすぐに他人から秀でる事が出来るだろう。 趣味にしたって、上手かったり、誰よりも好きであればそれは秀でている。

        ユメノグラフィア短編感想-The Last Dreams ノ了-

          ユメグラワンドロ企画-お題:お嬢様-

          「アオ、聞こえる?そっちはどう」 「少しうるさいくらいかな。聞こえてるよ」 首に巻いたネックフォンからカミ姉の声が脳へ伝う。 ここは空を知らない地下の世界。どこまでも天井があって、太陽は無い。 そして、少しジメジメしている。 私とカミ姉はそんな陰気な場所で石炭を掘って生活をしている。 親はおらず、カミ姉とも実の姉妹ではない。だけどそれを嘆いてもおなかが減るだけ。 今日の午後6時まではツルハシを振り続けなければならないのだ。 現在午後2時を少し過ぎたところ。おな

          ユメグラワンドロ企画-お題:お嬢様-

          ユメノグラフィア短編感想-The Last Dreams ノ序-

          夏の熱気にアテられていた心は秋を跨いだ寒さに冷やされ、軽い眠りについていた。 俺はその心を何とか引き連れて街中の喧騒を往来する。 「ユメノグラフィアで〜す!チケットどうですか?入ったばかりの子もすぐにお迎えできまーす!」 久々にチケット売り場の前を通る。あいにくだがまだ仕事中だ、などとは表に出さず目線を向ける。 呼び込みの勢いは相変わらずで、前を歩く老夫婦も物珍しさに指差し確認をしていた。 まだ仕事中というのは、俺自身に対する方便だった。 浴衣シーズンが終わる頃、特別で

          ユメノグラフィア短編感想-The Last Dreams ノ序-

          ユメグラ二次創作短編 鳩岡小恋&ころぼしまう ノ巻

          「ねえ、彗星って何色?」 幼なじみの凛の問いに、僕は少し困った顔を見せた。 「急にどうしたの」 最近、朝イチのインタビューが続いている。 僕が2年になって天文部に入ってからだ。一緒に帰ることが少なくなって退屈してるんだろう。 「昨日、金ピカの流れ星を見たの。私、あまり星空を見ないからあんな色だったっけ…?って思って」 「金色の流れ星?それは不思議だね。流れ星は大気摩擦で赤っぽかったり、彗星は青白いことが多いんだ。天文部の本とか写真でも見たことないなあ」 「そうなの?じゃあ、

          ユメグラ二次創作短編 鳩岡小恋&ころぼしまう ノ巻

          ユメグラ二次創作短編 リナ・リア ノ巻#2

          うん!美味しい。君も飲んでごらん?僕が入れた『いつもの』コーヒーもなかなかのものだろう。 え、もうカメラ回してるの?い、言ってくれよ!こんなやりとり残しても意味が…いや、君が見たいならいいか。 お〜、その表情。気に入ってもらえたようだね、いろいろ試してみてよかった。ポイントはトウガラシをね…。 おっと雑談はこの辺にして、本題に入ろう。 さっきの話は少し抑えてたけど、今後はより生死に関わる表現が多くなる。 だから苦手だったらここでテープを止めて。 文献も一緒に残す予定だからそ

          ユメグラ二次創作短編 リナ・リア ノ巻#2

          あしたのソラ -朗読音声-

          童話短編 あしたのソラを読んでいただきました!原文コチラ↓ https://note.com/kinkedoxbone/n/nf9790654107e ナレーター 加山 真司氏のTwitterはコチラ↓ https://twitter.com/shinji_kayama noteはコチラ↓ https://note.com/shinji_kayama とっても優しい声で、心に染みわたるようです。noteにも朗読音声がありますので是非そちらも!

          あしたのソラ -朗読音声-

          あしたのソラ -朗読音声-

          ユメグラ二次創作短編 町無こがれ ノ巻#2

          「よし、全員出席…と。連絡事項は特にない、1限は現国だから準備しとけよ〜」 先生はそう言いながら出席簿とプリントをまとめて机にトントンした。 先生が教室を出るとすぐに教室がざわざわし始める。 (そうだ、次のイベント会話は…) 俺は自然に話が進むようにこがれの横顔に話しかける。 「あ…の…、こ…こがれ…ちゃん?」 うわずってしまった。テキストウィンドウがあればそのまま見せてあげればいいんだが、現実世界にそんなものはない。 「何?ヒカル君」 すぐに俺の方を向いて返事をしてくれた

          ユメグラ二次創作短編 町無こがれ ノ巻#2

          ユメグラ二次創作短編 リナ・リア ノ巻#1

          あー、もしもし、声入ってる?どうかな? 良さそう?うん、ありがとう。 僕はこの研究所『ヒューマン・レヴォ』の研究主任をしています。 名前?いいじゃないか、そんなことは。これを見ている君が誰なのか僕は知らない。 けれど君が僕を知っているのは不公平じゃない? だからいつか君の事も知れたらいいな。 今から話すのは僕が関わったプロジェクトのこと。どれくらい前かは言えないけど、今僕が君の隣に居たら文明の進み具合に驚くだろうね。 そのプロジェクトは「進化した人類」をテーマに、一般

          ユメグラ二次創作短編 リナ・リア ノ巻#1

          ユメグラ二次創作短編 町無こがれ ノ巻#1

          『灯台下暗し』あの子が気になってから、つい辞書で調べ直してしまった言葉だ。 華は時にまばゆく輝いて、高嶺から僕らの航路を照らしてくれる。 飽きない。 何十…いや何百周もしたこの恋愛ゲーム「とま恋」は可愛いヒロインばかりで、誰を何度攻略してもまたプレイしたくなる。 ヒロインのキャラデザ、ボイスは言うまでもなく最高。しかしそれだけではない。 仕草が、言葉が、シチュエーション込みで可愛いのだ。 容姿と声と性格に合った動き、つま先や指の一本一本にまで全て神経が通っている。いや、魂

          ユメグラ二次創作短編 町無こがれ ノ巻#1

          番外 童話短編-あしたのソラ

          今からずっと昔、背中に翼がある『ソラ』という人がいました。ソラは雲の上に住んでいて、雲を泳ぐ魚や雲の木になっている果物を食べたりしていました。 ソラは1日に1度、自分の翼から羽を1枚取って雲の隙間から地上へ落とす遊びをしていました。 ソラの羽は、拾った人の願いをあした叶える。という不思議な羽です。地上の村人たちはいつくるんだろう?何をお願いしよう?と毎日いろんな場所で話していました。 ある日、ソラが羽を落とそうと雲のすきまから地上を見ていると、突然雲から魚が飛び出してきま

          番外 童話短編-あしたのソラ

          ユメノグラフィア短編感想-乙花クラリス・外伝-

          これは思い出話。 だから俺は何が楽しくて、どうつまらなかったのかは…はっきり覚えていない。 ただ、何となくアメリカの、自由の女神を見たくなってしまう。 そんな記憶の片鱗だ。 高校の入学式、桜は満開で名もない芸術作品であった。 俺はそのカンバスをじゃりじゃりと歩いて学校に向かっていた。ギリギリ間に合うかどうかの時間だが、多分太陽も桜に見惚れているだろうから問題ない。 交差点をひと区画、またひと区画と歩いていく。 三つ目に差し掛かった時、俺は走ってきた女の子とぶつかって鞄を

          ユメノグラフィア短編感想-乙花クラリス・外伝-

          EX番外-漫才台本「寿司ロボット」-

          セ「はいどうも〜!“一世一代”のイッセーと」 ヨ「イチヨです。よろしくお願いします〜」 セ「なぁなぁ、最近ロボット凄くない?」 ヨ「そやねぇ、凄いよな〜ロボット。野球の応援チーム全員ペッパー君とか、色んな意味で鳥肌ですよ」 セ「僕も凄いロボットになりたいんです、板前ロボットとか」 ヨ「君こないだ足折ってボルト入れたからって、もうすぐ成れると思ってる?」 セ「なりたいんです。今この時だけは寿司ロボットと客でやらしてほしい」 ヨ「分かったから包丁しまって」 セ「イラッシャ

          EX番外-漫才台本「寿司ロボット」-

          ユメノグラフィア短編感想-檸檬かふる編ノ結-

          元気いっぱいの招待状には、駅から出てすぐのレンタカーを借りて指定の場所まで運転するように書かれていた。 年に2回しか給油しないくらいのぺーぺーなドライバーに無茶言うぜ。 だから、俺は徐行でも間に合うようにめちゃくちゃ早く家を出た。 電車はいつもの様子でやや空き。早く鬱屈した世の中も良くなって欲しいところだ。まだやり足りないことが沢山あるんだから。 電車で30分、目的の駅に運んでもらって改札を抜ける。 帰りの分の残高が足りないのでチャージのため改札横の券売機へ。ちょっと多めに

          ユメノグラフィア短編感想-檸檬かふる編ノ結-