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書籍紹介:「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」その7


前回に引き続き経済学者ヤニス・バルファキス氏の著書
「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」の紹介を行います。

前回の内容はこちら。よろしければ読んでみてください。

はじめに~ブロックチェーン自律分散型社会と価値観の共有

結論:ブロックチェーンは仮想通貨だけの技術ではない。社会そのものを創造できる可能性がある。

ブロックチェーンはBitcoinなどの仮想通貨の仕組みだと解釈されている方が多いと思います。確かに2008年のサトシ・ナカモト氏の論文発表以降にBitcoinが世界中で注目されました。しかしブロックチェーンは「自律分散型社会で価値観を創造する事が出来る」思想なのです。仮想通貨はブロックチェーンに価値を提供している部分で、それだけではブロックチェーンを使いこなしてはいません。
仮想通貨>ブロックチェーンではなくブロックチェーン>仮想通貨なのです。これ以上書くと長く成りますので本題に入らせて頂きます。

ヤヌス氏もこの仮想通貨の可能性について第七章で説明されています。

第七章誰にも管理されない「新しいお金」

結論:お金は政治により流通量を管理する必要がある。お金と政治を切り離す事は不可能である。

ヤヌス氏の話は第二次世界大戦の捕虜収容所での事。
連合国の捕虜がタバコを通貨として、物と物が交換できる経済社会が形成された事を例にして、現実社会に照らし合わせています。
収容所のタバコは人道支援団体の赤十字から供給されていました。現実社会に照らし合わせると中央銀行からお金が供給されています。
では、この中央銀行をぶっ潰す存在が出てきたらどうなるとおもいますか?新しい経済が形成されると思いませんか?そして全国民がそうなる事を望んでいたらどうなるとおもいますか?

まさに、2008年それが現実に成った事があります。
当時リーマンショックで経済が混乱し、資本主義社会の崩壊が噂され、中央銀行の権威が地に落ちて金融不安が世界を震撼させました。
そこに登場したのがサトシ・ナカモト氏のブロックチェーンの論文です。
「P2Pという方式を活用した電子的な通貨が実現すると、金融機関を挟まずに当事者間でのオンライン支払いが可能になる」
という内容です。これがBitcoinの誕生です。(P2Pについては他の記事で説明しています)

金融機関を挟まずにお金という価値が流通するという事は、そこには一つの社会(コミニティ―)が形成されるという事になります。
国家にも中央銀行にも干渉されない自律分散型社会が誕生し、格差も無く成り全世界が平等なユートピアが誕生するわけです。

しかし、残念な事にこの電子的通貨(Bitcoin)は通貨に成りえないとの事です。
それはBitcoinは供給制限が有るという事で、Bitcoinの供給制限に合わせて社会経済を形成するのは不可能。社会経済を予測するできるなら不況など発生しない。政治でコントロール出来るお金でなければ流通したとしても長続きしない。とヤヌス氏は言っています。

余談ですが、

スタートレックという映画をご存知でしょうか?ほとんどの方がご存知だと思いますが、このスタートレックの世界ではなんとお金は流通していません。
未来の世界(連邦というコミニティ―)では無尽層な反物質エネルギーと完全リサイクルシステム、レプリケーターなどのテクノロジーのおかげで、コミニティ―の人々への富の分配が可能になり、貧困がまず撲滅されました。つまりすべての連邦市民は働かなくても最低限の生活は営めるというわけです。
まさにベーシックインカムの世界です。時代は23世紀との事ですがテクノロジーの行き着く先はこの様なユートピアである事を祈ります。
さて、一方で第七章はなんとも後味の悪い終わり方でした。

そして次回は最終章の第八章を紹介させていただきます。

最後までお読み頂き有難うございます。

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